
「スマートシティで描く都市の未来」コラム 第89回:ユーザーの課題・ニーズ起点のスマートシティサービスの考え方
スマートシティサービスは国内で多くのプロジェクトが進められており「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも2024年6月時点で286件の掲載が確認できます。多くの実証実験が実施されてきたその次のステップとして、実装化が大きな課題となっています。本コラムでは実装化を進める上で、キーとなりうる考え方を紹介します。
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2021-08-03
近年スマートシティ関連の支援を行う中で、都市の情報をデジタル空間に再現する「デジタルツイン」に関して質問を受ける機会が多くなりました。私たちが考えるスマートシティの姿である「社会課題を解決する『仕組み』を有し、新たなテクノロジーを活用しつつ、継続的に住民満足度を高めるまち」を実現するうえで、デジタルツインは「人々に気付きを与え、問題解決に向けた行動変容を生み出すコミュニケーションツール」という役割を果たします。その活用は、自治体や省庁、民間企業が推進するプロジェクトの中ですでに始まっています。
自治体の中には、地元の企業と連携した都市ソリューション開発を推進し、その一環としてVR(仮想現実)のR&Dを行っているところもあります。
例えばシビックテック系市民団体の参加者が開発を担い、過去と現代2パターンの航空写真をもとにフォトグラメトリー(複数のアングルから撮影した写真から3Dモデルを生成する手法)によるバーチャルジオラマを作成し、その上に市民が撮影した写真を重畳してコンテンツ化した横浜市の取り組みなどがあります。こうしたコンテンツは、「公害などの社会課題を抱えていた過去の街」と「市民に選ばれる現代の街」を比較することができ、都市を変えていく力や、市民との対話を大切にする姿勢が反映されたコミュニケーションツールになっています。
国土交通省が推進するPLATEAU(3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト)では、時系列浸水シミュレーションや災害リスク情報の3D可視化など、デジタルツインならではの強いメッセージ性のある表現がユースケースとして公表されています。
今後予定されているPLATEAU活用の取り組みとしては、エリアマネジメント主体で行われるSDGs推進活動にて発行されるポイントデータと3D都市モデルを活用し、「街にある場所」と「地域の価値を向上させる取り組み」を一目瞭然に認知できるデジタルツインの構築などがあります。
これらはデジタルツインだから伝えられる、「時間軸によって対比すること」「空間に情報を積み上げること」「街を俯瞰的に把握すること」が生かされた事例です。
デジタルツインを通じ、私たちは街を今までと異なる視点で見ることができるうえ、「自分の住む街のサスティナビリティとその対応状況」といった大きな視点も得られます。気づきを得た人々の行動が変わり、その変化に追随する人々が加われば、変化は加速します。こうした変化に対して地方自治体・省庁・民間企業などが双方向にコミュニケーションをとり、「継続的に住民満足度を高める試行錯誤」が行われることで、社会課題の解決が進むでしょう。
スマートシティサービスは国内で多くのプロジェクトが進められており「スマートシティ官民連携プラットフォーム」でも2024年6月時点で286件の掲載が確認できます。多くの実証実験が実施されてきたその次のステップとして、実装化が大きな課題となっています。本コラムでは実装化を進める上で、キーとなりうる考え方を紹介します。
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