京都府とのスマートシティづくり

2021-01-12

生活・体験価値向上を目的としたスマートシティ構想

京都府は、人々が培ってきた文化や伝統技術と、大学や研究都市を中心とする最先端技術の研究機能の両方を活用したスマートシティづくりを進めており、国家プロジェクトとして進められてきた「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」の建設や各種事業、7回にわたる「京都スマートシティエキスポ」の開催などを通じて、スマートシティの世界における牽引役およびハブとなることを目指しています。この取り組みをさらに推し進め、人々の生活・体験価値の向上を実現させるため、京都府は私たちPwCコンサルティング合同会社と、2019年10月、「サステナブル・スマートシティ」づくりを推進するための包括連携協定を締結しました。住まう人・訪れる人の生活・体験価値の向上を目的とし、「住民生活の質的向上」「観光振興」「文化発信・維持・想像」「産業・教育振興」「コミュニティの創造・持続」の5つを重点テーマとして設定しました。

生活・ 体験価値向上を目的としたスマートシティ構想

スマートシティにおける構想策定力と推進力

自治体や特定エリアでのスマートシティづくりにおいて、最新技術やデジタルデータの利活用は大きなポイントとなりますが、最も重要なことは、それによって地域の社会課題をどのように解決できるか、そして未来に向けて、人々の住みやすさ・過ごしやすさをどのように実現するかという「目的と将来像の明確化」です。京都府ではまさに「サステナブル・スマートシティ」「生活・体験価値の向上」というキーワードがその旗印となっています。これに加えて、課題解決に有用となる機能や最新技術・手法を適切に抽出・選定するための「課題解決のためのリテラシー向上」や、それらを全体統合し、幅広いステークホルダーや専門領域プレイヤーとともに実現に向けて取り組む「推進力」が不可欠です。

この考えのもと、PwCコンサルティングはこれまで、京都府のスマートシティづくりにおけるさまざまな取り組みを支援してきました。その一環として、IoT化された社会において必須となる「サイバーセキュリティ」のリテラシー向上を目的とした教育コンテンツを開発し、セミナーを開催しました。2020年12月12日・13日にオンラインで開催したハッキングコンテストには、セキュリティ領域のプロフェッショナルだけでなく、専門領域外のビジネスパーソンや学生ら約200名が参加。互いに競いながらも、スマートシティにおけるサイバーセキュリティの重要性について理解を深めました。

また、スマートシティの将来像を明確化し、実現に向けた具体的な取り組みにつなげていくために、ビジネス変革を成功させるためのPwC独自のアプローチであるBXT(Business eXperience Technology)を活用したセッションの企画・開催も予定しています。そのセッションでは、住まう人・集う人の個別かつ具体的な潜在課題をどのように解決していくかというアイデアを創発し、京都府の目指す「サステナブル・スマートシティ」「生活・体験価値の向上」を具現化します。すなわち、「住んでよし、訪れてよし」をどのように叶えていくのか、その未来像を描き、その実現に向けて必要な取り組みを定義していくという一連の流れを経験し、形にすることで、スマートシティづくりを牽引する人材の育成を有機的に統合することを目指します。

これからの自治体・地域におけるまちづくり

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、グローバルを前提とした組織戦略や経営判断が見直しを迫られている中、地域のあり方にも変化が見えています。注目すべきは、グローバル前提の戦略や考え方が、ローカルファーストへと変化している点です。つまり、これまで以上に地域・地方を主体とした考え方が主軸となる時代に突入したということになります。京都府もこの潮流に乗り、新たな戦略方針の提示やリーダーシップの変容を図っています。一方で、京都府の取り組みを通して日本の地域社会が抱える課題が見えてくるでしょう。これを「何によって」「どのように」解決していくかを明確にし、新たな自治体像を示しつつ、世界をリードできるモデルを構築し、展開していくこともこれからの自治体の重要な役割であると言えます。

地域の強みを見直し、課題解決を図るとともに、それを世界の社会課題の解決・予防につなげていくことを見据え、新しい世界・時代に調和するまちづくりを目指す京都府とPwCに今後もぜひご注目ください。

これからの自治体・ 地域におけるまちづくり

※詳しくは「2050年 日本の都市の未来を再創造するスマートシティ」レポートをご覧ください。

執筆者

石井 麻子

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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