第15回「グローバル製造業の原価管理のあるべき姿のとりまとめと原価情報の活用」

2022-02-25

1.これまでの振り返り

第1回では、現状の原価情報が経営者や現場管理者のニーズを満たしていないケースが多いという課題を提起し、その背景にある「事業やものづくりの変化」について整理しました。

第2回から第4回では、あるべき原価管理の基本事項として、「使える原価情報」とするための条件、原価管理(原価PDCA)を行う手法、原価管理へのテクノロジーの活用について解説しました。

第5回から第8回では、当連載のテーマとなっている、グローバル展開する製造業の原価管理について考察しました。グローバル原価管理、連結原価(連結ベースでの原価要素別の原価)の把握、グローバル原価企画という3つの視点から、課題と対応策を紹介しました。

第9回と第10回では、原価情報のもととなるデータについて考察しました。原価情報を作成するために必要となるデータの項目、把握単位(粒度)、把握サイクルについて整理しました。原価管理の目的に照らすと、データを網羅的に把握することは必ずしも必要ではなく、原価低減の余地が大きいかどうかに応じて優先度を判断すべきであるということを提言しました。

第11回から第14回では、テクノロジーの活用による原価管理の高度化について紹介しました。製造実績に関するデータは、今日のIoT技術の進化によりリアルタイムに、より安価に、人手を介さずに、正確かつ詳細に把握することが可能となってきています。これにより、原価差異分析、バラツキ分析といった原価管理がどのように高度化するのかを解説しました。これまでは月次で分析することが一般的でしたが、より早いタイミングで、より詳細かつ正確なデータに基づいて分析することで要因の特定を精緻に行い、迅速かつ的確に施策を打つことが可能となります。さらに、IoTで収集した大量のデータの分析にAIを活用することで、原価の変動要因の特定や原価改善施策の効果予想を効率的かつシステマティックに行えることを紹介しました。

図表1:連載の全体像

図表1 連載の全体像

終わりに

グローバル製造業の原価管理をテーマとした連載の締めくくりとして、経営者が先頭に立って原価情報の活用を推進することで、組織の至るところで原価を強く意識することが重要であることを述べました。

当連載が、皆様の企業が原価管理の高度化に向けた取り組みを推進するにあたってのヒントとなり、競争力強化の一助となれば幸いです。

今回まで当連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。

執筆者

南里 幸宏

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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