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第13回「データの活用方法ーバラツキ分析 」

2020-11-17

1.バラツキ分析とは

第3回コラム「原価情報を活用した原価低減活動のイメージ」において、バラツキ分析を通じた原価低減活動を説明しました。ここでのバラツキとは、同じ品目の各ロット間の実際原価バラツキ、および原価のバラツキの原因となっている歩留、能率などの各指標のバラツキを指しています。バラツキの原因を分析して、問題点を深掘りし、改善活動を行うことで原価の低減を図ります。バラツキ分析は生産実績・原価実績をもとに行うため、標準原価が合理的に設定されていなくても原価低減につなげることができる点が特徴です。

以下で、BIツールを活用した場合のシステム画面を用いて、バラツキ分析の手法を改めて説明します。図表1は、各ロットの原価バラツキ確認のイメージです。図表1では、2019年1~10月に製造されたA製品群について、A01~A04の各品目の実際原価のバラツキ状況が確認できます。例えば、品目A04では、実際原価の最大値(Maximum)が34,203円/個、最小値(Minimum)が31,602円/個で、ロットによって最大で2,601円/個の差があることがわかります。最大値、最小値の対比だけでは、突発的な事象を要因としたバラツキなのか、恒常的にバラツキがあるのか判断できません。そこでもう少し詳しく分析してみると、実際原価が低い方から25%にあたるQuartile1が31,717円/個で、高い方から25%にあたるQuartile 3が33,512円/個となっています。すなわち、「4回に1回」は31,717円より低い原価であるものの、「4回に1回」は33,512円より高い原価となっており、恒常的な原価のバラツキが発生していることが読み取れます。

図表1:品目別原価バラツキ確認のイメージ

さらに、原価バラツキが大きい品目「A04」について、どの工程・どの指標のバラツキが大きいのかを特定するのが、図表2です。図表2では、2019年1~10月に製造された品目A04の各ロットの歩留・能率を工程(切削工程・熱処理工程・研磨工程)ごとに確認できます。例えば、切削工程では、歩留は95%近辺に集中し、大きなバラツキは発生していませんが、能率は92~105%の間で分布し、バラツキが比較的大きいことが分かります。

図表2:工程別の指標のバラツキ確認のイメージ

3.バラツキ分析を原価低減につなげるための要件

IoT技術によって、実績データを十分な精度・詳細度で、タイムリーに収集できる可能性は高まりましたが、それだけでバラツキ分析による原価低減が達成できるわけではありません。ここでは、バラツキ分析を原価低減につなげるために必要な要件について整理します。

バラツキ分析・改善の責任所在の明確化

バラツキ分析・改善を進めるためには、バラツキの状況確認から原因の深掘り、改善施策の実施・評価まで、それぞれの責任の所在を明確にする必要があります。具体的には

  • バラツキが発生している品目、工程、指標の特定
  • バラツキ発生要因の深掘り
  • 改善施策の検討
  • 改善施策の実施
  • 改善効果の確認・評価

といった一連の流れについて、誰が責任をもって進めるのかを明確にした上で、業務を設計することが求められます。

バラツキ分析の関係者が参照可能な情報基盤の構築

バラツキ分析・改善を行うためには、製造現場・設備保全部隊・生産技術・原材料購買など、さまざまな関係者を巻き込んで改善に取り組まなければなりません。例えば、作業員の熟練度不足によりバラツキが発生している場合には製造課で習熟教育を行う必要がありますし、設備の整備不良によるバラツキに対しては設備課によるメンテナンスが必要になります。

必要な人が必要なタイミングで、バラツキ分析のデータを参照できるような情報基盤を構築することで、事実把握から改善実施までのリードタイムが短縮し、より短いサイクルで原価低減活動を実施できるようになります。

本コラムでは、IoTで得られるデータの原価管理への活用方法としてバラツキ分析を紹介しました。当コラムで示したように、どの品目で大きなバラツキが発生しているのか、それがどの工程のどの指標で発生しているのか、さらに、それが何の要因で発生しているのかを特定することで、的確な施策を講じることが可能になります。しかし、日々、膨大な品目数を生産している中で、人の手で上記のような分析を行うには多大な工数が必要です。

そこで、こうした分析の自動化を検討することが有用です。次回は、分析の自動化の技術として、原価管理におけるデータアナリティクスの活用について紹介します。

執筆者

林 之煥

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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