JC-STARの現況と今後の展望-他国制度を見据えた企業に求められるアクション-

  • 2025-12-22

欧州のCRA(Cyber Resilience Act)をはじめ、IoT製品を中心にセキュリティ対策を求める動きが国際的に活発化している中、日本では2025年3月より「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度(JC-STAR)」の運用が開始され、およそ半年が経過しました(2025年10月時点)。いわゆる「立ち上がり期」にあると言える同制度ですが、すでに適合ラベルを取得している製品も複数出てきています。これらの現況や今後の制度浸透・発展予測を踏まえ、本稿では特に、「IoT機器を製造するメーカー」企業への影響と求められるアクションを取り上げて解説します。

1. 制度概要

JC-STARは、経済産業省とIPAが主導する「IoT製品のセキュリティ要件への適合評価」と「ラベリング(見える化)」を目的とした制度で、関連する制度としては、「ITセキュリティ評価及び認証制度(JISEC)1」が挙げられます。JC-STARでは、各レベル・製品類型毎に想定されるセキュリティ脅威や保護すべき情報資産などを考慮したセキュリティ要件を汎用的な適合基準として設定しており、JISECのように、個別の脅威や利用環境に応じたセキュリティターゲットを調達者によって定めるようなことはしていません。図表1は、JC-STARにおけるレベルごとの位置づけと評価方式をまとめたもので、適合ラベルの違いを「★(レベル)」で表しています。★1~★2は、申請者自身が基準に適合していることを確認・申告する「自己適合宣言」によって適合ラベルが付与されます。ただし、★3以上の高レベルのラベルにおいては、高い信頼性を確保するために、JISECと同様「第三者による評価」を必要としています。

図表1:JC-STARにおけるレベル毎の位置づけと評価方式
(IPA公式ホームページ2の情報を基にPwCが作成)

5. 企業への影響と求められるアクション

制度の浸透・発展に伴う組織の調達要件や消費者の購買意欲への影響により、今後JC-STARへの対応有無が企業にとってのビジネス活動へ少なからずインパクトを与えると予想されます。昨今特に、欧州CRAへの対応や、その他規制などへの対応が急がれるなか、それぞれに対して個別に対応することは現実的ではありません。そのため、製品市場と対応すべき規制・制度の把握(任意制度であったとしても、主要クライアントや対象市場動向として制度取得が調達要件になっているなど)を行い、各製品・規制・制度に対して横断的に要求を分析・把握することで、既存プロセスの見直しなど組織における重要な変更を必要最小限に抑える、適合における運用工数を最適化するといった、流動性のある製品セキュリティ規制や制度に対する適合戦略が重要となります(図表3)。

図表3:製品リスク対応のCoE化およびゲートレビュースキームによる適合戦略例

6. まとめ

JC-STARは国内のIoTセキュリティの「共通言語」として、国外規制や制度と整合した実効的なラベリングを提供し、利用者の選択と企業の説明責任を両立させる制度となっています。今後は、複数の製品類型に対するJC-STAR★2以上の基準の運用や、国際連携など制度拡充が行われる見通しとなっており、それに伴ってラベル取得製品数も徐々に増加していくと予想されます。

制度対応においては、前述の通り制度としては国際的な調和や協調を考慮しつつも、各市場およびそこで求められる要求にそれぞれ対応する必要があり、効率的な対応・運用を考慮した適合戦略が国内外の市場展開において重要です。

執筆者

奥山 謙

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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和栗 直英

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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木本 達也

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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