Power Market Analytics-電力市場分析を通じた電力事業の将来性評価

再生可能エネルギーの導入をはじめ、水素・アンモニア、CCUS、蓄電池に係る取り組みなど脱炭素化に向けた動きが加速するのに伴い、電力ビジネスのオポチュニティーは拡大を続けています。一方で、電力自由化の進展により市場制度の複雑化が進み、脱炭素化の進展に伴ってマーケット構造が変化することにより、電力価格の将来見通しはますます困難になってきています。

PwCでは、需給調整市場や長期脱炭素電源オークションといった最新の事業機会に対応するクライアントに対し、独自に開発したモデルを活用することで、日本のこれからの電力価格や再生可能エネルギーの出力制御量などの分析や、その結果を踏まえた事業性の評価を支援しています。

さまざまな電力事業の将来性評価を支援

発電所は通常、数十年にわたる運転を前提としており、投資時に将来の見通しを立てることが重要です。PwCは独自に開発したモデルを用いることで、2050~60年頃までの市場価格などの将来予測を行い、売電方法の検討、各種市場での想定収益やリスクの分析などを通じて、クライアントの意思決定を支援します。

【予測モデル・最適化モデルによる将来市場予測】

卸電力市場価格
  • ファンダメンタルモデルにより、エリア別の電力市場価格を時間ごとに算定
  • 太陽光・風力など季節や時間により発電量が異なる場合の売電単価を算出(キャプチャープライス)
出力制御率(需給制約起因、系統制約起因)
  • ファンダメンタルモデルにより、需給制約による出力制御率の将来予測をエリアごとに実施
  • より精緻なデータを用いた潮流解析により、ノンファーム型接続適用電源における系統混雑を加味した出力制御率を予測(協力会社と共同で分析を実施)
需給調整市場価格
  • 既存市場(三次調整力市場・調整力公募)などから定量的に将来価格を推定
蓄電池の最適運用
  • 充放電制約などを加味した最適化モデル(MILP:混合整数計画法)により、収入を最大化する蓄電池の運用方法を分析
非化石価値取引市場価格
  • 非化石価値取引市場の実績やGXリーグ構想、将来の需給想定をもとに、将来の取引価格を推定
容量市場価格
  • 将来のNet CONE推移想定より分析

【予測結果を用いた財務モデリング・戦略検討】

系統用蓄電池採算性分析
  • 卸電力市場価格・需給調整市場価格の予測結果と蓄電池の最適運用シミュレーション結果を組み合わせ、蓄電池事業の採算性を分析
FIP収入分析・長期脱炭素電源オークション入札検討支援
  • FIP制度や長期脱炭素電源オークションなど、複雑な制度を反映した収入想定を実施
各種電源の将来事業性分析
  • 卸電力市場、出力制御、非化石価値取引市場、容量市場の価格予測結果などにより、総合的な収支・採算性を分析
公正価値評価
  • バーチャルPPAの会計処理で必要な公正価値評価を実施

豊富な経験

PwCには国内外で数多くの発電事業や小売電気事業に関する投融資やM&Aを支援した実績があり、電力事業の将来収益やリスク分析に係るノウハウを豊富に有しています。それらに基づき、モデルなどを用いた精緻な定量分析を行うことで、事業性を適切に評価することが可能です。

クライアント

目的

実施内容
電力会社

再生可能エネルギー事業への投資検討

卸電力市場価格・出力制御率(需給制約)の予測
電力会社

風力発電事業への投資検討

卸電力市場価格・出力制御率(需給制約・系統制約)の予測

FIP収入分析

発電事業者

再生可能エネルギー事業(蓄電池併設)への投資検討

卸電力市場価格・出力制御率(需給制約)の予測

FIP収入分析・蓄電池併設効果の検討

発電事業者

コーポレートPPA組成

卸電力市場価格・非化石価値取引市場価格・託送料金・再エネ賦課金等を含む需要家電気料金の予測
発電事業者

洋上風力発電事業への入札検討

卸電力市場価格・出力制御率(需給制約・系統制約)の予測
商社

系統用蓄電池事業への投資検討

卸電力市場価格・需給調整市場価格・蓄電池の最適運用・容量市場価格の予測
商社

電力ビジネスの事業戦略検討

2050年カーボンニュートラル実現時の卸電力市場価格・非化石価値取引市場価格・容量市場価格の予測 蓄電池普及の影響評価
金融機関

Non-FIT再生可能エネルギー、系統用蓄電池、マイクログリッドなどの事業参入戦略策定

卸電力市場価格・需給調整市場価格・蓄電池の最適運用・容量市場価格の予測

パートナー候補選定および事業性の試算

金融機関

火力発電所への投融資検討

卸電力市場価格予測
メーカー

太陽光発電設備売買の戦略的入札価格検討

卸電力市場価格・出力制御率(需給制約)の予測
メーカー グリーン電力調達や再生可能エネルギー投資戦略検討 卸電力市場価格・非化石価値取引市場価格・託送料金・再エネ賦課金等を含む需要家電気料金の予測

独自のモデル構築

将来の電力市場を分析するにあたっては、PwCが独自に開発したファンダメンタルモデルを活用しています。全国の発電所情報をデータベース化し、供給力と需要のマッチングを計算することで、時間ごとの限界費用(当該時刻に稼働している、最も可変費が高い発電所のコスト)を推定します。また同時に、発電所ごとに発電可否が判定されるため、需給制約に基づく再生可能エネルギーの出力制御率も算出されます。

ファンダメンタルモデルによる卸電力市場価格の分析手法 の図

全国の電力会社管轄エリア(沖縄を除く9エリア)ごとに分析でき、再生可能エネルギー導入量、原発稼働量、燃料費などのシナリオはオーダーメイドで設定することができます。

予測結果イメージ の図

得られた電力市場の需給・価格データをもとに、再生可能エネルギーや蓄電池などの収益性の検討、長期脱炭素電源オークションの想定、公正価値分析などを行い、事業戦略の策定につなげます。蓄電池の最適運用を検討するにあたっては、市場価格将来予測などのインプットや、稼働上の制約を加味した運用最適化モデル(MILP:混合整数計画法)を用いて精緻な検討を行います。

蓄電池 運用パターンイメージ
事業収支検討モデルイメージ の図

主要メンバー

吉田 英史

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

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池田 雄一

パートナー, PwCリスクアドバイザリー合同会社

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岩崎 裕典

ディレクター, PwCアドバイザリー合同会社

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小山 美生

シニアマネージャー, PwCアドバイザリー合同会社

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清水 康弘

シニアマネージャー, PwCアドバイザリー合同会社

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