「チームとして最大のバリューを提供する」。長期視点で、各コンサルタントに合った成長を促す人事施策とは
2021/04/23

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コンサルタントにとって、携わるプロジェクトは、キャリア構築という観点でも非常に重要だ。また、業務成果に対する評価や昇進に関心を寄せるコンサルタントも少なくない。コンサルティングファームは、プロジェクトのアサインや評価、昇進をどのように実行しているのか。PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のCHRL(Consulting HR Lead)を務める石塚喜昭氏に、同社の人事施策の特徴を語ってもらった。

〈Profile〉
石塚喜昭(いしづか・よしあき)パートナー
外資系コンサルティングファーム、日系証券会社、米国系銀行などを経てPwCコンサルティング入社。経営管理、企画業務、ミドルオフィス、プロダクトコントロール、金融機関や事業会社への規制対応、リスク管理、データ管理、財務主計領域に関するコンサルティングに携わる。

携わるプロジェクトは会社が一方的に決めない。納得いくまで議論する

――PwCコンサルティングでは比較的短い期間のうちに、別のプロジェクトに移ることも少なくないそうですね。

石塚:はい。プロジェクトに参画し、一定期間が経過したメンバーには、その案件を離れて、別のプロジェクトやクライアントの担当になる「ロングタームアサインメント」という制度があります。

「一定期間」とは、12カ月です。1つのプロジェクトのクールは平均3カ月程度ですので、9カ月以上・12カ月以上・24カ月以上を目安に、同一のクライアントやプロジェクトに参画しているメンバーを識別し、所属チームに半年ごとにアサイン状況を報告しています。なお、クライアントやプロジェクトチームとの交渉・引き継ぎも考慮し、一定期間より3カ月少ない9カ月以上の継続参画のケース、最長期間である24カ月以上の継続参画のケースは、半年ごとではなくタイミングをみて報告することにしています。

ただ会社から一方的に、12カ月経ったら別のプロジェクトにアサインする、という主旨の制度ではありません。あくまでこの期間は目安であり、メンバーの成長やキャリアについて話し合いの場を設けるというのが制度の目的です。

――会社側の意向だけを通したり、本人の要望のみを聞き入れたりする制度ではない、ということですね。

石塚:本人の意思は尊重しますが、客観的にメンバーの成長やキャリアを考えた上で、最適なプロジェクトを提案します。自分の資質に気がついていないメンバーや、キャリア形成で迷っているメンバーも少なくないですからね。ふだんからキャリア相談に乗っているキャリアコーチ、プロジェクトの上長が日常業務などから得た気づきを、面談などを通じてアドバイスすると同時に、見合ったプロジェクトへのアサインを提案します。

もちろんこの提案を本人が納得することが前提です。こちらから一方的に提案するのではなく、その提案を受け入れるのか、それとも現在携わっているプロジェクトに留まるのか、議論を重ねます。

実際、システム関連の導入プロジェクトなどに長く携わっていたメンバーが構想策定のプロジェクトに加わったり、語学スキルが不足していると感じるメンバーがグローバルなプロジェクトに参画したりするケースもありました。

一方で、長い期間同じプロジェクトやクライアントを担当することで成長するタイプの方もいます。そのようなメンバーに対しては1年未満で他のプロジェクトにアサインするということはしません。実際、3年以上システム開発プロジェクトに携り、導入が終わるまでやり切ったメンバーは、3年間という長期間だからこそ、大きく成長しました。重要なのは一人一人がそれぞれの特性に合った成長をすることであり、制度はあくまでそのフォローだと考えています。

――短期間で担当が変わる場合、クライアントにはどうご理解いただいていますか。

石塚:私たちのクライアントは、短期間で担当者が変わることがあっても、「チームとしてコンサルティングサービスを提供する」というPwCコンサルティングの思想や特徴を理解してくださっています。

またクライアント自身も私たちと同じように、定期的にメンバーが異動し、各領域で経験を積まれていくことで、個人や組織全体が成長していくことを理解、体現されているので、私たちの取り組みに共感してくださる方が多いのだと思います。

――アサインメントについては、同じような制度をとっている同業他社もあるかと思います。

石塚:ロングタームアサインメントは、特に当社に限った制度ではないと思います。ただ、制度として存在しても、どのくらいの企業が現在有効活用しているかはわかりません。当社でも、実はかなり以前から制度としては存在していました。ただ、当時は、プロジェクト側の意思を重視し、プロジェクトやクライアントに詳しいメンバーに継続して参画してもらった方が、短期的には良い結果が出ていたため、この制度は強く推し進めるということはしていませんでした。

――この制度を改めて見直したのはなぜでしょうか。

石塚:目の前のビジネスや収益も重要ですが、長い視点で捉えると、幅広い知識や経験を備えたコンサルタントの方が、当社にとってもクライアントにとっても、そして社会にとっても価値を提供できるのではないか。だからこそ、丁寧なコミュニケーションを実施した上で実践を推し進めていていくべきだと考えました。

――本人やクライアントにご理解いただくことも含め、成功させるにはかなり努力のいる施策だと思うのですが。

石塚:おっしゃる通り、簡単なことではなく、かなり時間もかけています。私たちPwCのPurpose(存在意義)は「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことです。クライアントとの信頼関係を築くためには、時間を惜しまず、ご納得いただけるまで働き掛けることが大切なことであると感じています。

そしてこのような姿勢や制度こそ、当社らしさであり価値だとも捉えています。実際、最近の業績が好調なことからも、私たちの姿勢や施策は間違っていないと考えています。

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昇進の機会は年2回。能力に応じて正当なポジションに

――プロモーション(昇進)を年2回に増やす施策も実行したと聞いています。

石塚:20代のメンバーと接していると、一般的な1年というプロモーションタームは長いのではないかと、以前から感じていました。仮に、1年で昇進しなかったメンバーは、また1年待たなければならないからです。その間の数カ月で成長することは大いに考えられますし、実際、そのようなメンバーは大勢います。

クライアントにとっても、能力の高いコンサルタントが増えることは価値につながります。このような理由から、以前の1年から半年に、評価やプロモーションのタイミングを変更しました。

個人的には各ポジションに見合った能力を備えていると判断できた時点で、タイムリーに昇進してもいいのではないかという気持ちさえありますが、あまりにも短期間で評価を実行すると、目先のことを常に気にさせてしまうのではないかという懸念が残ります。メンバーが業務と向き合い、じっくり成長できる環境を考え、現状半年ということにしています。

――ところで実際、半年ごとにプロモーションし続けるメンバーはいるんですか。

石塚:います。ただし、そういうメンバーについては、上のポジションの業務を本当に遂行できる能力があるのかどうか、所属部門以外の私のようなパートナーが事前に所属部門のパートナーと確認しています。特に次々と昇進していくメンバーに関しては、部門長へのヒアリングなどを通じて徹底的に確かめています。能力を伴わずに昇進させてしまうと、クライアントに対して迷惑がかかるのはもちろん、メンバーが不幸になるだけですから。

――御社の人事制度で中核となる考え方はありますか。

石塚:当社のプロモーションや評価制度についてすでにご説明しましたが、大前提として、私たちは、コンサルタントは昇進することが全てといった考えを持ち合わせていません。各ポジションのメンバーがその役割における責務をしっかりと果たすことで、チームとして最大のバリューを提供するのが、当社のコンサルティングサービスだからです。

コンサルティングサービスが以前とは異なり、社会で必要なサービスとして浸透・認知されてきました。また、働き方改革やダイバーシティなど、働くことや生きるということについての各人の価値観を大切にする傾向が強まってきたこととも、当社の人事制度はフィットしていると感じています。

実際、当社にも例えば、「仕事は好きで続けていきたいけれど、子育てや家族との時間も同じように大切にしたい。昇進は意識していないので、今のポジションで与えられた業務を、残業は一切せずに遂行したい」といったメンバーもいます。私たちはそのような働き方も大切にしています。

コンサルティング業界全体としては、昇進することが全てのような風潮が未だに強いのが現状だと思います。そういった観点からも、当社は違うということを、メンバーへの共通認識も含め広めていければと考えています。

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「将来の経営人材に」。社内業務に積極的に携わる理由

――そのほか、PwCコンサルティングらしい人事施策はありますか。

石塚:特に上のポジションのメンバーには積極的に社内業務に携わるように促しています。社内業務とは、人事、財務、マーケティング、経営管理などです。まさに私がそうなのですが、私の業務は、クライアントと相対するコンサルティング業務と、社内業務であるCHRLが同じくらいの比率です。

――なぜ、社内業務を担当するのでしょうか。

石塚:コンサルティング業務というビジネス領域以外にも、会社経営に必要なさまざまな業務を自社で経験することにより、経営者の目線も身に付けてもらいたいからです。各部門の業務を経験することで、他部門への理解はもちろん、当社はどのような組織や人物が動いて成り立っているのかが理解できます。その結果として、将来の経営人材に成長すると期待しています。またこのような知識や経験は、クライアントの経営層の課題や悩みを“自分事”として感じ取ることにつながり、コンサルタントとしての幅を広げることになると思ってもいます。

私はこれまで複数のコンサルティングファームで働いてきましたが、内部業務に従事する施策は、当社らしさのひとつでもあると思っています。

――つまり、コンサルティングファームに限らず、幅広い知識やスキルを身に付けたい人材がPwCコンサルティングにマッチしているということですか。

石塚:ええ。実際、私たちの仲間は、コンサルティングはもちろん、組織マネジメントや経営など、幅広いスキルを身に付けている人材が多いです。ビジネスパーソンとしてどこにいっても通じるような成長をしたい方には向いている環境だといえます。

また、会社のためだったら何でもやるといった思考ではなく、自分が行う業務が結果として会社や社会にどのように役立つのかを考えて行動できるようになることが重要だと考えています。利益だけを追求するのではなく、社会も含めたステークホルダー全体について考え、動けるような人材を求めています。このような人として多面的に成長したい方と一緒に働きたいですね。

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コラム作成者
Liiga編集部
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