業界を問わず、デジタル化促進の必要性が謡われる中、DXを加速させるためにアジャイルトランスフォーメーションへのニーズも高まっています。ヘルスケア企業に対してアジャイル組織(チーム)の立ち上げや開発ケイパビリティの構築といった支援を提供し、同分野をリードしているX-Value & Strategy(以下、XVS)チームのメンバーが、その支援事例をもとに自らの強みや支援内容について語り合いました。
登場者
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター
桑添 和浩
PwCコンサルティング合同会社 シニアアソシエイト
岡田 慎平
PwCコンサルティング合同会社 アソシエイト
大根田 真由
(左から)大根田 真由、岡田 慎平、桑添 和浩
桑添:
DXが進むヘルスケア業界のなかでも、このヘルスケア企業はとくに先進的で、プロジェクトが始動する少し前にはすでに社内にDX推進組織を立ち上げ、ビジネス部門からアイディアが集まる仕組みを構築していました。しかし、そこで課題となったのが「吸い上げたアイディアの具現化」です。IT企業との協働も検討されたそうですが、費用や実行スピードなどの面において懸念があったことから、「ある程度は内製化して全社DXを推進したい」とのご相談をいただきました。
ヘルスケア業界を取り巻く環境は日々変化しており、この先も法律や規制、商業の変容など、不確実性の下での意思決定が求められます。こうした経営環境・事業背景から、仮説を速やかに検証しながら実行し、フィードバックをもとに対応を積み重ねる「仮説検証型アジャイルアプローチ」を提案させていただきました。
岡田:
当初は今より小規模なチームで、アジャイル開発チームの立ち上げをスタートしました。
主な提供サービスは、「アジャイル開発チームの立ち上げ」「アジャイルを推進できる内製化人材のケイパビリティ構築とそれらの定着・展開」「組織拡大の戦略策定」の3つです。
アジャイルトランスフォーメーションへの大きな一歩となるチームの立ち上げ時には、取り組みの定義やコンセプト、ミッションを言語化して、必要な人材や活動内容へと落とし込んでいきました。立ち上げ後は「アジャイルコーチ」として参画し、実際の案件に対してスクラムをベースとしたアジャイル開発に必要となる事柄を、技術と運営の両面から支援しました。現在は、将来を見据えて組織拡大に向けた戦略の策定をサポートしています。
大根田:
本プロジェクトは、私たちの提供している「エンタープライズアジャイル変革オファリング」の代表例の1つです。このプロジェクトも3年目になり、組織レベルでアジャイルプロセスを回すケイパビリティが構築されてきました。この先は、中長期的にどういった取り組みが必要になるのか、外内部環境を検討したうえでの戦略決定が核になるでしょう。
最終的なゴールとしては、内製されたアジャイル組織でサービス開発を高速で回し、マーケットに対してビジネス効果を迅速に創出することを目指しています。
岡田 慎平
新卒で総合系コンサルティングファームに入社し、ゼロトラストセキュリティ施策の企画、アジャイル開発プロセス整備などのDXに関わるデジタル技術を活用した構想策定から施策実行に従事。2023年にPwCコンサルティングに入社後は、IoTプラットフォーム構想策定やアジャイル組織変革を担当。
桑添 和浩
日系シンクタンク、外資系IT企業のコンサルティング部門などを経て現職。IoT、デジタルツイン、アナリティクス、AI、アジャイルなどのデジタル技術を活用したDXの戦略策定から実行までのプロジェクトに従事。現在は製造業、建設業、エネルギー業、医薬業などに対してDX構想策定やDXアーキテクチャ策定、エンタープライズアジャイル変革のコンサルティングサービスを提供。
桑添:
私たちの強みは、「アジャイルとは何か」の解説から、アジャイル開発プロセスおよびクライアントに適合した標準プロセスの策定まで、「アジャイルケイパビリティを軸としたデジタルという枠組みで包括的に支援できる点」にあります。
本プロジェクトにおいても当初はアジャイルチームのスムーズな立ち上げを期待されていましたが、現在はそこから大きく発展し、期待値を超えた組織の展開・定着という部分まで支援しています。「Digital Strategy」や「Transformation Design」など、異なるケイパビリティとのコラボレーションにより、より幅広く組織変革を目指すことができています。
岡田:
DevSecOps(デブセックオプス)に関するプロジェクトでは、ヘルスケア部門(HIA)やセキュリティテクノロジー部門のメンバーが集まり、アジャイルセキュリティ標準ガイドラインを策定しました。
HIAは、ヘルスケア業界ならではの秘匿性の高いデータの管理・保護についての知識を提供してくれましたし、セキュリティテクノロジーチームは資産を守る方法を体系的に整理してくれました。そして私たちは組織全体の戦略や実際の開発の現場を支援するという形で三者が協働しました。
こうしたXVSの連携についてはクライアントからも高く評価されており、とくに複数領域における幅広い知識が求められるセキュリティの領域に関して「PwCの深い理解と専門知識に基づいて体系的に整理してもらえ、非常に助かりました」という、うれしいお言葉をいただきました。
大根田:
社内でコラボレーションできる文化は、私たちの一番の強みといっても過言ではありません。ヘルスケア・医薬・ライフサイエンスからセキュリティ部門まで、高い専門性を有した人材が連携しながら戦略を都度見直すことで、各段階における精度が飛躍的に向上します。
異なるケイパビリティを持つメンバーとの協働は、専門性と総合力を磨く機会になり、実際に働く私たちにとっても、さまざまなキャリアパスを築きやすくなるという利点にもつながっていますね。
桑添:
少し前に実施されたクライアントへのプロジェクト満足度ヒアリングでは、「メンバーがみな優秀で、かけたコスト以上の成果を上げてくれています」というありがたい評価をいただきました。
専門性の高さから、本プロジェクトではデジタルに関する知識に加えて、ヘルスケアビジネス特有の知識もキャッチアップしなければなりません。中堅メンバーはもちろん、入社9カ月の大根田さんも自分の役割を理解したうえでクライアントとの信頼関係を築き、いち早く戦力になってくれました。学生時代に医療系の勉強をしていた岡田さんは、案件全体を管理する要のような存在です。導入時の障壁を着実に除きながら、アジャイル開発の実行とアジャイル開発に必要な環境の構築を進めてくれています。
岡田:
クライアントのカウンターパートとなる方々の多くはデジタルケイパビリティを有していますが、ビジネス部門の方などの中にはデジタルやテクノロジーに造詣が深くない方もいらっしゃいます。
しかし、デジタルやアジャイルへの抵抗感を抱いたままの状態、あるいは関係者の間での共通理解と合意形成がなされていない状態であれば、アジャイル内製開発の成功は難しいでしょう。アジャイル開発導入の障壁になりうる認識ギャップを埋めるため、今まさに伴走しながら全社レベルでのアジャイルアプローチを推進しています。
大根田:
現場に入り、並行する個別案件のファシリテーションや効率化のためのプロセス標準化を支援するのが私の主な業務です。30以上ある個別案件ではそれぞれ異なる関わり方が求められ、その度に思考や視野を広げる機会があります。
先ほど複数領域のキャッチアップが不可欠という話が出ましたが、業務効率化やセキュリティへの取り組みなど、デジタル系の案件に幅広く携われることは大きなやりがいにつながっていますね。実際にクライアントの前に立つ機会を多くいただいていますし、裁量権も大きいです。新人でありながら積極的に、かつ全力でプロジェクトと向き合えているのは、心理的安全性に守られた環境と互いを尊重し合える桑添さんのチーム設計のおかげです。
桑添:
うれしい言葉をありがとうございます。でも、これは決して特別なことではなくて、マネジメント側が個々の成長機会やケイパビリティについて議論し、育成やキャリア開発を進めていくのもPwCコンサルティングならではの文化です。
クライアントが抱える課題の解決や企業価値の向上を目指すのはもちろん、「彼はここをもっと伸ばせばレベルアップできるよね」「彼女のケイパビリティを考えて、このロールを任せてみよう」など、常にメンバーの成長機会を確保しています。柔軟かつ多様なキャリア形成を生む環境も、PwCコンサルティングならではの特色です。
大根田 真由
2023年に新卒でPwCコンサルティングに入社。製薬業のアジャイル内製開発組織を支援し、内製開発基盤整備やアジャイル開発におけるプロジェクト管理手法の標準化、DX構想策定などに従事し、案件相談からPoC・本番開発を経て運用に移行するまでの円滑なデリバリー支援を担当。
岡田:
このクライアントは現在、ヘルスケアの業務全域におけるデジタル活用やビジネス貢献のあり方を模索しており、直近では生成AIを使ったデジタルプロダクトの早期の創出を目指しています。
「アジャイル」というキーワードで立ち上がったプロジェクトでしたが、サービスや支援内容が拡大する中で、クライアントの目線も上がっています。アジャイル開発の実行から内製化、さらにはビジネス部門におけるデジタルの民主化を目指す段階にまで到達した今、私たちもステージに応じたオファリングを提案・実行するとともに、本プロジェクトをベースに他社へのプロジェクト展開も目指していきます。
大根田:
XVSを活用したさらなるサービス拡大も進んでおり、現在は新技術やヘルスケア業界の動向を見極めながら、ヘルスケアビジネスとさまざまなキーワードを掛け合わせることを探るリサーチ系の活動も始めています。このほか、データ周りの分析や基盤の検討を進めるなかで、「Technology & Digital Consulting」や「Experience Consulting」との協働も予定しています。今後も専門性の高いケイパビリティを有したチームとして、クライアントの全社DXを牽引できるような支援を続けていきたいです。
桑添:
アジャイルトランスフォーメーションの実現には障壁も多く、一筋縄でいかない部分も多いですが、そこで活かされるのが、本プロジェクトで培ったナレッジやノウハウです。今回の成功体験を提供しながら、ヘルスケア業界はもちろん、さまざまな業種・業界におけるスムーズなアジャイルトランスフォーメーションをご支援していきたいですね。
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