SCMコンサルタントへの道を紐解く

  • 2025-08-26

OT(Operations Transformation)でサプライチェーンマネジメント(SCM)コンサルタントとして活躍する3名のメンバーに、キャリアのこれまでとこれからについて聞きました。

メンバープロフィール

H.Horio:シニアマネージャー

K.Sang:マネージャー

K.Hata:シニアアソシエイト

※所属、役職およびインタビュー内容は対談当時のものです。

まずは皆さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

Sang:
私は中国の大学を卒業後、日系コンサルティングファームに就職するため来日しました。ITコンサルタントとして基幹システムの導入やレガシーシステムの刷新などの案件に多く従事していました。メーカーやヘルスケアのサプライチェーンを中心に、購買・販売・倉庫管理などの業務領域の支援経験があります。

ある案件で初期の構想策定のフェーズから参画したことをきっかけに、「もっとクライアントの業務に寄り添いたい」と思うようになりました。そこで業務コンサルタントへの転身を志し、約3年前に、ご縁のあったPwCコンサルティングに転職することになりました。

Horio:
私が新卒だった当時のブームもあり、SIerとしてキャリアを始めました。苦労しながらも開発者としてのスキルを上げ、バイネームで多数アサインされるまでに成長したものの、自身の価値を広げるため、開発者ではなく業務領域へ進みたいと考えるようになりました。しかしチャンスがなく、5年目の時にベリングポイント株式会社に転職し、同社のPwCネットワークへの加入と社名変更を経て現在に至ります。それ以降、コンサルタント一筋です。

Hataさんは自動車業界出身ですよね。

Hata:
はい。私は大学卒業後、新卒で自動車OEMの会社に入社しました。車両の生産技術に関わる部署で、主に新車種立ち上げにおける溶接工程の生産準備業務に従事していました。また、生産現場での困りごとを吸い上げ、課題を解決するための新工法確立や要素技術開発などの経験もあります。

その後、日系コンサルティングファームに転職し、主に製造業のものづくり改革の支援に携わりました。ただ、サプライチェーン全体を含めた変革に関わりたいとの思いがあり、よりSCMに強みを持つPwCコンサルティングのOTに転職することにしました。

OTではどのような領域に携わっていますか。

Sang:
2022年3月にPwCコンサルティング入社後、最初はメーカーのデジタルトランスフォーメーション(DX)案件に参画しました。その後は、M&A後のPMI(Post Merger Integration))にて、事業統合に向けたR&D(研究開発)領域の業務整理や課題検討を担当しています。

Hata:
主に自動車業界の案件を担当しています。

PwCコンサルティング入社後、メーカーのPMIにおける製品需給業務の統合のため、業務・システム要件定義およびシステム導入支援を行いました。その後は、自動車メーカーデータ利活用戦略策定や、製品LCA(Life Cycle Assesment)の業務プロセス検討として、CFP(カーボンフットプリント)算出のためのCO₂排出量の実績集計業務プロセス定義などを支援しています。

Horio:
私は物流領域のコンサルティングを担当しています。物流は昔からの慣習が強く残っている業界で、かつ非常に業務・システム・考え方含めて複雑なところが多くあります。また、昨今は2024年問題をきっかけに、法改正などの変化点が多く、荷主・運送会社などの幅広い業界のクライアントとプロジェクトを推進しています。

前職での経験が現在の仕事に生きていると感じる瞬間はありますか。

Hata:
自分のキャリアが強みになっている点は大きく2つあると思っています。

一つは、製造業の業務内容を深く理解していることです。私は生産技術出身であり、エンジニアリングチェーンやサプライチェーンを幅広く経験してきました。

クライアントと会話する際に実際の業務をイメージしながら会話することができるのは強みであると感じます。

もう一つは、現場が抱えるリアルな課題意識を具体的にイメージできることです。業務コンサルティングでは、仮説ベースで問題や課題を整理しながら精緻化するアプローチを取ることがよくありますが、自身の実務経験に基づき、精度の高い仮説を立てられるのは、強みだと感じます。

Sang:
確かに、事業会社出身の同僚は、「自分が現場の人間だったら」とまず当事者視点で課題を考え始めます。一方、コンサルタント出身のメンバーは、MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive:漏れなく、重複なく)に課題を洗い出し、プロジェクト管理の目線で優先順位付けをしていきますよね。バックグラウンドが異なれば、仕事の習慣や思考回路もそれぞれです。

PwCコンサルティングには多様なバックグラウンドを持つメンバーが在籍していますね。

Sang:
私は新卒からコンサルタントのキャリアを歩んできましたが、この会社で仕事をするにあたり大事にしているのは、相手の価値観に寄り添うことです。自我を強調するよりも、まずは相手の言葉に耳を傾け、目的ドリブンでみんなが納得する解を出すことを意識しています。

多様なバックグラウンドを持つメンバーが集まっている分、議論の幅が広がっていると日頃から感じています。これはPwCコンサルティングの強みとなっていますよね。

Horio:
そのとおりですね。個人戦ではなく、それぞれの得意分野で補完し合いながら、チームとしてクライアントの期待値を超えられるかどうか。それがPwCコンサルティングで重視しているスタイルだと思います。

ただ、昨今は全業界において成長スピードが激しく、とりわけテクノロジーの進化が著しいです。クライアントが知っていること・できることも増えています。私たちコンサルタントは、自身の経験に甘んじることなく、世の中の成長スピード以上に成長していくことが求められます。

そのためには常に勤勉であること、また一つ一つの情報をしっかり捉えることはもちろんのこと、それらをマッシュアップ、融合させて、新しい気付きを先行して考えることが日々求められます。

クライアントからの期待値を超えるために、意識していることはありますか。

Sang:
同じ業界でも、クライアントによって業務はさまざまですし、同じ類のプロジェクトでも、フェーズやチームによって求められる役割は異なります。ですから、どれだけコンサルティング経験を重ねても、毎回の案件が新しい挑戦です。コンサルタントは常に新しいものを学び続ける必要があります。

私は、アサインしてもらうプロジェクトを検討する際に、経験したことのない領域を選ぶようにしています。一言で「サプライチェーン」と言っても、その世界はとても幅広いものです。一つの領域に特化するよりも、横連携して、視野を広く持てるよう経験を積みたいと考えています。

そして、何より真摯にクライアントに向き合うことです。経験の少ないコンサルタントでは、クライアントが不安に感じることもあります。彼らの考えや困りごとに正面から向き合い、ごまかすことなく、論理的思考などのコア・コンサルティング・スキルを総動員しながら、毎日勉強を重ねることは不可欠です。

Horio:
昔の話ですが、右も左もわからない中でプロジェクトにアサインされ、「Horioはクライアントの役に立てていない」と他のメンバーに指摘されたことがあります。

その言葉にはっとし、クライアントの製品情報や業界特性、特徴などをより勉強し、会話する際には彼らの言葉で話すよう意識し始めました。また、打ち合わせ時には一言でも必ず発言することを徹底していました。

そうすると、クライアントが自分自身の顔を見て話してくれるようになり、次に名前で呼んでいただけるようになりました。当たり前のことかもしれませんが、自分自身の存在価値をクライアントに認めてもらうことが一番重要ですし、認められるためにはそれ相応の努力が必要です。

毎度しっかり勉強する必要があるというのは、正直苦労する点ではあります。また、苦労して対応したことが「クライアントの要求プラスアルファを満たせているのか」と、常に自問自答することになります。ただ、逆にその点が非常に面白いとも思っているので、常に前向きに取り組むようにしています。

「期待値」や「価値」といったものを常に意識しているのですね。

Hata:
いくら時間をかけても、クライアントにとって価値がなければ意味がありません。事業会社からコンサルティング業界に転職した直後、最も苦労したことは、この「価値ベース」での働き方を身に付けることでした。

「価値とは何か」「明らかにすべき問いは何か」「その問いを解決するために何をすべきか」といったことを、ひたすら自問自答しながら考え抜く必要があります。考えることを止めた瞬間に、価値を生み出せなくなりますし、コンサルタントとしての成長も止まります。

期日が迫る中、単なる「作業」に逃げることなく、自身の限界を感じながらも「思考」を整理し続け、次の一歩を模索することには大変苦労しました。

Horio:
クライアントが知っている・できること以外で自分自身の価値を提供していく必要があるため、コンサルタントが強いられる環境が厳しいのは今も昔も変わりません。

これまでの自分のキャリアを振り返ると、時間をかけて知識を吸収し、考えてきた、ということに尽きると思います。

今後のキャリアの展望について教えてください。

Hata:
私は日本の基幹産業である製造業の持続的な発展に貢献できる人材を目指しています。製造業出身というバックグラウンドを生かし、現場の視点を大切にしながら、クライアントに寄り添ったコンサルティングサービスを提供していきたいと考えています。

クライアントの細やかなニーズにまで配慮し、常にクライアントへの尊敬の念を忘れずに業務に取り組むことで、信頼されるパートナーとしてともに成長していきたいと願っています。

Sang:
OTに所属しているからこそ、サプライチェーン全般の知識を得て業務経験を積み重ねたいと思います。入社してから異なる領域の案件に携わっていますが、これからも一点に集中するより、サプライチェーン領域におけるEnd to Endのサービスを提供できるようなコンサルを目指していきたいと思います。

Horio:
入社時に、ジェネラリストを目指すのか、分野スペシャリストになるのか、迷った時がありましたが、最近は後者を追求したいという意欲が強くなってきています。

アソシエイトの時には、幅広い業界において「業務」と「システム」の両方を経験し、点のスキルを身に付けることを意識していました。マネージャーになると徐々に点を線につなげていくイメージで、スキルや視点を変えていきました。

PwCコンサルティングには多くの選択肢が用意されているすばらしい環境があります。私は物流領域に対して深く追求することが好きですし、昨今クライアントから求められることも高度化していると感じており、これまでの経験を基に物流分野のスペシャリストになるため日々努力していきたいと考えています。

PwCコンサルティングの仕事に興味を持つ皆さんにメッセージをお願いします。

Hata:
PwCコンサルティングはさまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが在籍し、組織の壁なくクライアントへの価値提供を目指しています。OTには製造業出身者、コンサル出身者など多様なバックグラウンドを持つメンバーが在籍し、非常に刺激的な環境であると思います。自身に足りない知見を持っている人も多く、日常の会話でも学びになります。また、職階に関係なく、とてもフラットな雰囲気だと思いますし、内部でインタラクティブなディスカッションができることも非常に魅力的だと思います。

コンサルタントは常に高い成果を求められるため、価値を出せずに悩むこともありますが、諦めずにチャレンジする姿勢を忘れないでください。

PwCコンサルティングには個人の成長と自己実現を支えるカルチャーがありますので、一緒に挑戦しましょう。

Horio:
PwCコンサルティングは本当に幅広い選択肢を用意してくれる環境だと感じています。一方で、選択肢が多い分、自分が何を目指すべきなのか、しっかりと考える必要があります。

OTは、クライアントの根幹を担うサプライチェーンマネジメントを中心としたチームですから、専門性が求められる側面が大いにあると感じています。ここには経験豊富で多種多様なメンバーが所属していますので、彼らやCoachに相談することで、客観的意見を踏まえつつキャリア選択できる環境があります。

これまでの経験を是非クライアントの課題解決につなげましょう。一緒に切磋琢磨できることを楽しみにしています。

以上

本ページに関するお問い合わせ