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PwC税理士法人 パートナー Tax テクノロジー&トランスフォーメーション
テクノロジーで、税務・経理機能の変革を実装する
国際税務ルールの高度化やESG文脈での税の透明性への要請、グローバル子会社からの情報収集体制の整備など、企業の税務・経理機能を取り巻く環境はかつてないスピードで変化しています。企業に求められているのは、制度改正への対応にとどまらず、適正な納税と説明責任を果たしながら、持続的な成長を支える税務・経理機能を構築することです。
一方、多くの日本企業では、昨今の制度やデータの増加に対し、限られた人員で対応せざるを得ない状況が続いています。このギャップを埋める上で、税務・経理業務にテクノロジーをどう組み込むかは、重要な経営課題であると同時に、企業と社会の信頼関係を支える課題でもあります。
PwC税理士法人では税務テクノロジーに特化したチームを組成し、データ整備や業務自動化、AI活用を組み合わせながら、税務・経理業務の変革を推進してきました。さらに、税務・経理業務向けのAIエージェントを、専門家による伴走支援・業務プロセス設計・運用管理・継続的な改善活動と組み合わせ、単なるSaaS(Software as a Service)提供にとどまらない「AI活用型マネージドサービス」として展開しています。
私が重視しているのは、ツール導入そのものではありません。属人的になりがちな税務判断や業務運用を、標準化されたプロセスとデータに置き換え、再現性と説明可能性を高めることです。税務・経理の専門知を個人の経験や勘にとどめず、組織として活用できる知へ変えていく。その基盤整備こそが、これからの税務・経理変革の本質だと考えています。
AI活用の対象も、個別業務の効率化にとどまりません。消費税の課税判定や外国子会社合算税制対応、税務リスクの可視化、将来シナリオの検討、経営データと結び付けた分析まで、その射程は広がっています。重要なのは、単純な省力化ではなく、人が本来担うべき高度な判断や戦略的検討に、より多くの力を振り向けられる状態を作ることです。AI活用は、税務・経理機能の役割そのものを変える取り組みだと捉えています。
もっとも、税務・経理は最終的に人が責任を持って判断すべき領域です。AIが担うべきなのは、大量処理や情報整理、論点抽出、判断材料の提示であり、例外対応や最終判断、説明責任は人が担うべきです。こうした役割分担を明確にしたHuman-in-the-Loopこそ、現実的で持続可能なAI活用モデルだと考えています。
こうした変革を持続的な成果につなげるためには、生成AIを単なる業務効率化の手段として導入するだけでは不十分です。重要なのは、AIを活用しながらも、税務・経理に関する意思決定の妥当性を社内外に説明できる体制を整えることです。AIの出力をどのように検証し、誰が最終判断を行い、どのような統制の下で運用するのかを明確にしなければ、新たなリスクを生みかねません。近年は税務当局だけでなく、株主・投資家、メディア、消費者など、多様な利害関係者が企業の税務会計行動に目を向けています。求められているのは、AIを含む業務プロセス全体が適切に設計され、必要な検証と人の関与を経て意思決定がなされていることを説明できる状態です。その意味で、生成AIの導入は税務プロセスの透明性、再現性、説明可能性を高め、税務ガバナンスを強化する契機になり得ます。私は、税務ガバナンスとは理念ではなく、実務プロセスの設計そのものだと考えています。税務業務は、担当者の経験や知識に依存しやすく、判断の過程が属人的になりがちです。しかし、生成AIを適切に活用すれば、これまで見えにくかった判断プロセスを可視化しやすくなります。生成AIは、税務プロセスの標準化と再現性向上を支える基盤になり得るのです。
PwC税理士法人のTaxテクノロジー&トランスフォーメーションでは、税務業務の標準化・データ化を起点に、グループ横断で税務情報を一元管理する仕組みづくりを支援しています。重視しているのは、業務設計を見直し、属人的な判断構造を可視化し、生成AIを活用しながら内部統制とレポーティングを再構築すること。それが、生成AI時代のデータドリブンな税務ガバナンスの土台になると考えています。
生成AIの台頭により、税理士や会計士という職業そのものも変化を迫られています。私はこの変化を脅威ではなく、税務・会計の専門家がより高度な判断や戦略的思考に集中するための好機だと捉えています。そのために必要なのは、AIを便利なツールとして使うことではなく、高い信頼性が求められる領域で安全かつ持続的に活用するための型を作ることです。税務の専門家とテクノロジーがどのように協働すべきか。その実装モデルを示すことが、私自身に課された役割であり、社会に対する責任でもあると考えています。
AIを前提とした内部統制の構築と税務・経理プロセスの再設計は、単なる業務改善ではありません。企業が適正な納税と説明責任を果たしながら、持続的に成長するための税務・経理基盤を具体化する取り組みです。私は、AIを活用した業務変革に伴走しながら、クライアントとともに、企業価値と社会的信頼の双方を支える新たな体制を築いていきたいと考えています。
◆略歴
税務領域において、テクノロジーを活用したトランスフォーメーションの支援を手掛ける。税務プロセス構築アドバイザリーに加え、さまざまな税務プロセス改善ソリューションの開発、税務データマネジメントの導入支援やAI活用のコンサルティングを行う。大手税理士法人にて税務コンプライアンス、トランザクションアドバイザリー業務などを経て、2024年にPwC税理士法人に入所。前職を含めTaxテクノロジー部門を10年以上統括してきた実績を有し、2025年よりPwC税理士法人にてTax テクノロジー&トランスフォーメーションのリーダーを務める。
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