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PwC Japanグループは「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というPurpose(存在意義)の実践を目的として、プロボノ活動(*1)を推進しています。
PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)が実施しているプロボノプログラムは、社会課題の解決に取り組む非営利団体やソーシャルビジネスを1期あたり約半年間にわたって支援するもので、2017年からスタートしました。
今回は、2023年7月~2024年6月にかけて2期にわたってご支援した認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)での支援事例を紹介します。
*1社員・職員が業務で得た経験やスキルを生かして自発的に取り組む社会貢献活動
(左から)PwCコンサルティング合同会社 安達 萌、有馬 裕貴
設立年度:2018年
2021年5月 認定NPO法人取得
2021年10月 非営利組織評価センター(JCNE)グッドガバナンス認証
むすびえは、各地でこども食堂を支える地域ネットワーク団体(中間支援団体)がより活動しやすくなるための後押しを行い、こども食堂を応援する企業・団体とこども食堂をつなぎ、こども食堂の意義や実態を伝え、理解を広げる調査・研究を行っています。むすびえは、子どもたちと、こども食堂と、こども食堂を支援してくれる人たちの3者をつなぐ「むすびめ(場)」になりたいと考え活動されています。
VISION
こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。
MISSION
こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整えます。
こども食堂を通じて、多くの人たちが未来をつくる社会活動に参加できるようにします。
ACTION
私たちは、誰もとりこぼされない社会を日本でつくりたいという思いを持って活動をしています。
各地でこども食堂を支える地域ネットワーク団体を支援すること、何か社会に貢献したいと考えている企業・団体とつながりこども食堂へ支援を届けること、調査・研究をし、啓発をしていくこと。私たちは、3つの軸で、歩んでまいります。
むすびえでは、団体規模の拡大や第二次中期計画の策定、コロナ禍といった内外要因を背景として、次のような課題を抱えており、VISION達成のためにこれらの課題への対応が求められていました。
下の表にあるように、PwCコンサルティングは第二次中期計画の策定から、その後の浸透支援、むすびえメンバーのスキル向上までを一貫してご支援しました。
具体的には、第二次中期計画の浸透支援の一つとして「こども食堂等2万箇所戦略立案サポート」を実施しました。第二次中期計画で目標として掲げた「こども食堂等2万箇所の開設(*2)」を達成するため、新しい発想での新規プロジェクト立案や既存プロジェクトの刷新を目指して、「こども食堂が新たに生まれるために実施するとよいこと」というテーマでグループによるブレインストーミングや、アイデア具体化のためのグループワークを実施しました。
また、むすびえメンバーのスキル向上の取り組みの1つとして、5カ月間にわたり論理的思考やプロジェクトマネジメント、ナレッジマネジメントに関する講義およびグループワークを実施しました。講義によるインプットだけでなくグループワークによるアウトプットも重視し、ビジネス用のチャットアプリで少人数チームを作成し疑問点なども解消いただけるようなフォローアップ体制も整備しました。
*2むすびえは「こども食堂が全国のどこにでもあり、みんなが安心して行ける場所となるよう環境を整える」ことをミッションとしており、国内の全小学校区(2024年現在18,738校:文部科学省「令和6年度学校基本調査(確定値)」による)に対して1つ以上のこども食堂がある状態を目指しています。
| ご支援内容 | 詳細 |
| 第二次中期計画の策定の ご支援 |
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| 事業計画書・予算書の改訂・改善 |
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| こども食堂等2万箇所戦略 立案サポート |
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| プロジェクトマネジメント塾の 企画・提供 |
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| 企業・団体からの寄付金分析 |
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2期にわたりむすびえをご支援する中で、PwCコンサルティングとして大きく3つの側面でむすびえの活動に貢献できたと感じています。まず1つ目は、地域の居場所・つながりの場としてのこども食堂を推進する仲間にPwCコンサルティングも加われたことです。これは、第二次中期計画の策定の段階からむすびえメンバーと一緒に考え、第二次中期計画を作り上げたからこそ、こども食堂の意義、地域で果たしうる役割、むすびえが大切にしている価値観を理解し、むすびえとの強い信頼関係を構築できたからだと考えています。
2つ目は、持続可能なアウトプットを提供できたことです。こども食堂等2万箇所戦略立案サポートでのブレインストーミングやワークショップの実施、プロジェクトマネジメント塾の実施など、ただ分析結果を示すのではなく、問題解決能力やプロジェクトマネジメントスキル等のコンサルタントが強みとするスキルをベースに、むすびえに合った検討手法を考えて試行したことで、プロボノ活動終了後もむすびえの中で活用いただける支援ができました。
3つ目は、むすびえメンバー同士のつながりの醸成です。PwCコンサルティングの協働のカルチャーを活かして、上述した支援のさまざまな局面でむすびえの中でのメンバー同士の横のつながりを増やすことができました。
本活動ではオンラインでのミーティングも活用して支援を行いました。
PwCコンサルティングのプロボノプログラムには、社会課題に直接アプローチして解決に貢献すると同時に、現場における課題を見て社会システム起点で課題形成・解決ができるコンサルタントを育成するという意図が込められています。
「プロボノ活動を通じてPwCメンバーは多くのことを経験として学ぶことができました。
まずはNPOや社会課題への理解促進です。PwCコンサルティングメンバーの中にはこれまで、こども食堂を経済的に困窮した子どものための居場所と考えていた面がありましたが、むすびえと関わる中で『こども食堂=地域全員にとっての居場所』という認識へと変わり、NPOだからこそできる役割を再確認できました。今回参画したメンバーはプロボノ活動が初めての者が多く、プロボノ参加前はコンサルティング会社としてどのようにNPO・NGOを通じて社会課題解決と関わればよいか戸惑いもありました。しかし、コンサルタントが強みとするスキルや思考法がむすびえの活動の価値向上に貢献できたことで、コンサルティング会社として社会課題に取り組む上で、企業や官公庁だけでなくNPO・NGOとも協働できると気づくことができました。
また、PwCのカルチャーを再認識し、コンサルタントとしての成長につながった場にもなりました。これまでPwCの協働のカルチャーを感じる場所は各自の所属部署に限定されがちでしたが、プロボノ活動に参加し他部署のメンバーとチームワークをする中で、協働のカルチャーがPwCの土台となっていると実感できました。このカルチャーにより心理的安全性が確保された環境で、普段のプロジェクトでは経験しないさまざまなタスクに挑戦できました。
最後に、仕事へのやりがいの向上です。熱い想いを持つむすびえメンバーや、社会課題への関心が高いPwCメンバーとの関わりを通じて、仕事がより一層楽しくなり、普段のプロジェクトでもモチベーションが向上するなど、仕事全般によい影響を与えました。
このように、PwCメンバーはプロボノ活動を通じて業務の幅、価値観の幅を広げることができました。この学びをプロジェクトやPwCの他メンバーにも還元し、PwCとして企業、官公庁、NPO・NGOへ質の高いご支援を続け、社会課題の解決へと向き合っていきたいと思います」
(PwCコンサルティング合同会社 横山、稲葉、矢澤、川村、加藤、有馬、松原、安達)
この一年間、PwCの皆様にはプロボノとして多大なるご支援を賜り、心より御礼申し上げます。2期にわたり関わってくださった皆様が、それぞれの専門性を活かしつつ、連続性と統一感を持ってむすびえの活動を力強く支えてくださったことに、深く感謝しております。
特に、第二次中期計画の策定においては、多角的な視点から具体的なフィードバックをいただき、組織の核となる戦略を練り上げるプロセスを支えていただきました。また、企業・団体との協働においては、非常に緻密な分析結果を示していただき、その結果に基づき課題を明確にし、次なる展開への道筋を描くサポートをいただきました。支援終了から半年が経過した今も、その当時リードいただいた戦略が私たちの活動の基盤となり、またプロジェクトマネジメント塾を通じた人材育成プログラムが多面的に思考するトレーニングにもなり、今なお私たちの組織の成長に大きく寄与していることを実感しています。
さらに感銘を受けたのは、課題に対して洗練された効果的なソリューションを導いていただいただけでなく、支援する側とされる側という枠を超えて、同じゴールを目指す仲間として共に歩んでいただいたそのあり方です。この姿勢こそが、むすびえが目指すべき姿であり、こども食堂及びこども食堂を支援・応援する団体・組織に向き合う時の理想のあり方そのものであると強く感じました。この点についても、多くの学びと気づきを得ることができました。
皆様からお示しいただいたやり方やあり方を胸に、「こども食堂の支援を通じて、誰も取りこぼさない社会をつくる。」というビジョンの実現に向けて、確実に前進してまいります。誠にありがとうございました。
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