デジタルアイデンティティ・エコシステム形成支援サービス

デジタル化が急速に進む現代社会において、オンラインサービスの信頼性は、企業や個人にとって欠かせない要素となっています。私たちの日常生活やビジネス活動がますますデジタルプラットフォームに依存するようになるにつれ、信頼できるデジタルアイデンティティの重要性が増しています。

デジタルアイデンティティ・トラストフレームワークは、こうした課題に対応するための解決策として、異なるサービス間での安全かつスムーズなデータ共有を可能にし、ユーザーとサービス提供者の双方にとって信頼できるデジタル環境を構築することを目的に、国・地域、標準化団体、専門機関が策定するルールやガイドラインをまとめた包括的な仕組みです。

デジタルアイデンティティ・エコシステム形成支援サービスでは、デジタルアイデンティティ・トラストフレームワークの導入や運用を支援し、企業が競争力を高めながら、顧客やビジネスパートナーとの信頼関係を構築できるようサポートします。

デジタルアイデンティティ・トラスト実現に必要な構造と要素

デジタルアイデンティティ・トラストフレームワークは、安全で信頼できるデジタル社会を実現するための、いわば「信頼のエコシステム」を構築するものです。このエコシステムは、明確な役割分担(構造)と、それを支える具体的な要素によって成り立っています(図表1)。

図表1:デジタルアイデンティティ・トラストフレームワーク

  • トラストを実現する構造
    デジタルアイデンティティを取り扱うエコシステムは、オーケストラのように各プレイヤーがそれぞれの役割を果たすことで機能します。まず、国や業界団体、エコシステムの代表者などのポリシー策定機関が全体の指揮者として、社会的な方針や基本原則を定めます。その方針を受け、トラストフレームワーク提供者が、具体的なルールブックや技術インフラといったインフラそのものを構築・運営します。
    エコシステムに参加するプレイヤーがルールを正しく守っているかは、独立した認定・監査者が審査員として厳しくチェックします。この信頼のおけるインフラの上で、ユーザーやモノの属性情報(年齢や資格、行動履歴など)のデータが、銀行や通信事業者、行政機関といった信頼のおけるID情報提供者によって安全に発行・管理されます。そして、ECサイトや各種オンラインサービスを提供するID情報を利用するサービスプロバイダーは、その確かな情報を信頼することで、私たちに安全で便利なサービスを提供できるのです。
  • デジタルアイデンティティ・トラストフレームワークに求められる主な要素
    デジタルアイデンティティ・トラストフレームワークはまた、多くの要素を満たす必要があります。信頼できるデジタルエコシステムを構築し、オンラインサービスにおける安全かつスムーズなデータ共有を実現するためには、図表2に示すような要素が不可欠です。これらは、ユーザーの利便性を高め、企業の競争力を強化するための土台となります。

図表2:デジタルアイデンティティ・トラストフレームワークに求められる主な要素

項目

内容

法域別法規制や業界標準ガイドライン

個人情報保護法や金融規制など、すべての活動の土台となる法律やガイドラインへの準拠に必要な要件を定める

セキュリティ・プライバシーガイドライン

データの安全な取り扱いを保証するために必要な、暗号化やアクセス管理に関するルールを定める

保障レベル

取引のリスクに応じて求められる本人確認やID連携の厳格さを段階的に定義し、過不足のない安全性を確保する

技術仕様

UX、通信プロトコル、データ形式などを標準化し、その品質を適合性テストと認定制度で担保することで、システム間の円滑な連携を実現する

継続的な監視・運用とガバナンス

ステークホルダーに対するルール準拠状況の監視と監査、およびその結果に応じた登録~改廃でエコシステムの健全性を維持する

これらの構造、要素を網羅的に整備することで、企業はデジタル社会における「信頼」を可視化し、エコシステムとして顧客、パートナー、そして社会全体との強固な信頼関係を築き、持続的なビジネス成長を実現できるのです。

PwCのサービス

デジタル社会におけるビジネス成長と顧客との信頼関係構築には、安全で使いやすいデジタルアイデンティティ・インフラが不可欠です。

「デジタルアイデンティティ・ウォレットという技術の話を聞いたが、どう生かせるものか分からない」「当局が提供するインフラや、異業種の企業と安全にデータ連携する仕組みを構築したい」「特定の業界(金融、医療、不動産など)に特化したID連携インフラを作りたい」「自社のサービスが『信頼できる』ことを第三者に客観的に示したい」「将来の拡張や海外展開も見据えた、相互運用性のある仕組みが必要」といった課題やニーズに対し、PwCコンサルティングは以下のサービスを提供します。

  • デジタルアイデンティティ・トラストフレームワーク適用支援
    信頼されるデジタルエコシステムの根幹となるトラストフレームワーク全体の設計を支援します。まず、エコシステムが求める基本ポリシーを整理し、それを具体的な技術・セキュリティ・ガバナンス要件に落とし込みます。
    信頼性の可視化から、参加者の役割、ルール、相互運用性の定義までを包括的にカバー。さらに、法規制との整合性を確保したガバナンス体制を構築することで、参加するすべてのプレイヤーが安心して連携できる、強固な信頼インフラの構築を支援します。
  • デジタルアイデンティティ・ウォレット活用支援
    デジタルアイデンティティをスマートフォンなどのアプリで物理的な財布のように管理できる「ウォレット」を使用しエコシステムを形成する、比較的新しい技術であるデジタルアイデンティティ・ウォレットについて、関連規制・動向・技術に関する基礎知識を深く理解することから始め、効果的な活用に向けた戦略、ロードマップ策定を支援します。適用するビジネス分野やポジショニング、デバイス内・クラウド・ハイブリッド型といった多様な方式などを検討し、さらに、エコシステムにおける各プレイヤーの役割と連携方針、将来の拡張性も見据えた導入ロードマップを作成することで、実装フェーズにスムーズに移行できる、実行可能で具体的な戦略立案を支援します。

クライアントのビジョンや課題を深く理解し、戦略と実行の両面から最適な解決策を共に創り上げていくことが私たちの強みです。クライアント個別のビジネス課題や事業フェーズに応じて、内容を柔軟にカスタマイズした最適なサービスを提供します。

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主要メンバー

小林 公樹

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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柴田 健久

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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金田 智史

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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島﨑 岳歩

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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