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米国保険業界 M&Aに関するインサイト:2021年のアウトルック

2021-02-10

2020年下半期、保険業界のM&Aは再び活発となり、コロナ禍以前のレベルまで回復

2020年春、米国保険業界のM&A活動は停滞したが、同年後半に再び活発化した。2020年6月末から11月中旬にかけてされ公表された取引数は222件に上り、公表済み取引金額は総額109億米ドルとなった。この期間の注目すべき大型案件として、KKRによるGlobal Atlantic社の40億米ドルでの買収や、AllstateによるNational General Holdings Corporationの37億米ドルでの買収、Great-West Lifeco Inc.によるMassMutualのリタイアメントサービス業務の買収などが挙げられる。

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保険業界のM&Aのアウトルック

保険業界では、非中核事業の売却、顧客獲得競争の継続、スペシャルティ保険市場の深刻化、潤沢な資金を背景に、2021年に向け力強いM&A活動が期待される。

長期にわたる低金利環境は引き続き投資リターンと利益への圧力となり、特に資本集約的なセグメントまたは事業ブロックを管理する保険会社への影響は大きいものとなるだろう。これらの企業がコアとなるポートフォリオを再評価する中で、特に生命保険や年金保険のサブセクターにおいて、さらなる売却が進むと考えられる。

ブローカーセクターのトランザクションマルチプルは、プライベート・エクイティや他の買い手候補間の競争レベルを示す指標となっている。2021年、同セクターにおける取引は、販売チャネル関連の取引が優勢になると予想される。

米国保険業界の四半期別取引件数と 取引金額

「2020年後半、ディール活動は回復しており、2021年に向けてさらなる取引が期待されます」

John Marra, US Insurance Deals Leader

ディールの原動力

新たな在り方

歴史的な低金利環境はしばらく続くだろう。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行とその経済的影響、また金融規制当局による施策強化を受けて、市場はこの状況が長期間継続すると予想している。生命保険と年金のサブセクターは引き続き、低金利環境の影響を受ける可能性があり、投資リターンと収益性が圧迫されている。そのため、当該セクターの関係者は今後も、ポートフォリオの見直しを継続するだろう。多くの企業が、リストラクチャリングや事業分離、その他の取引活動を通じ、非中核事業から撤退する機会を積極的に模索している可能性がある。このような動きはすでにいくつかの案件で確認されており、例えばAIGが意向を表明した生命・退職事業の分離や、Venerable によるEquitable Financial Life Insurance Companyとのレガシー年金事業に関する120億米ドルの再保険契約ならびにCorporate Solutions Life Reinsurance Companyの買収に関する合意、American Financialによる定額年金事業のGlobal Atlanticへの57億米ドルでの譲渡合意などが挙げられる。

一方、生命・年金事業者との提携やパートナーシップを通じた運用資産の拡大に関心を寄せる資産運用会社も、当該セクターに注目している。このトレンドは、1)資産運用会社は一般的にリスク調整後に高い資産収益率を生み出すことができること、2)運用資産の拡大により、追加の手数料収入を得ることができる、という2つの重要な要素に後押しされたものだ。Brookfieldが2020年10月に発表したAmerican Equity Lifeとの取引はこの先駆けである。Brookfieldは、American Equity Lifeにオルタナティブ資産運用戦略を提供する一方で、同社の株式を取得し、年金債務を再保険する。

このトレンドは年金保険にとどまらず、その他の資本集約的事業や、金利への感応度が高い事業にまで拡大すると考えられる。介護保険はこの動きを実感するセクターの1つとなり得るが、当該サブセクターにおける取引が有意義なレベルに達するまでには、しばらく時間を要するだろう。

イノベーションの機会

自社のデジタルプラットフォーム開発に必要なテクノロジーの専門知識やアジャイル能力を持たない大手保険会社にとって、インシュアテックは引き続き、魅力的な投資・買収対象となっている。2020年の第3四半期には、インシュアテックに対し多額の投資が実施されており、このセクターへの強い需要の表れとなっている。M&Aやプライベート市場での資本調達に加えて、インシュアテックはIPOを通じ資本市場にアクセスするものと考えられており、その一例として、最近IPOを行ったDuck Creek Technologiesが挙げられる。同社は、保険会社の商品販売と管理を可能にする損害保険向けのSaaSを提供する企業である。

保険会社は競争によりテクノロジーの受け入れを余儀なくされており、また顧客のニーズに応えるために商品の差別化を図る中で、インシュアテック領域におけるディールは今後も相次ぐと考えられる。

販売チャネルを通じた成長・規模の拡大

過去数年間にわたり、保険業界におけるM&Aは、販売チャネル関連の取引が大半を占めてきた。一部の取引は、保険会社の販売基盤の拡大に焦点を当てているが、その他は、販売チャネルまたは買い手の中核能力ではない商品の専門知識を獲得するためのものだ。同セクターでの資本活用を模索するプライベート・エクイティや事業会社との競争は激化しており、現在のトレンドは2021年も続くと見込まれる。

2020年11月15日までに公表された販売チャネル関連の取引は、以下の重要なものを含め199件に上る。

7月、AllstateがNational General Holdings Corporationを37億米ドルで買収。この取引により、Allstateは、その規模において個人向け保険分野では米国内5位の独立代理店保険会社となる。

8月、Madison Dearborn Partners,LLCがBenefytt Technologies,Inc.を現金4億2,000万米ドルで取得し、非上場化。Benefyt Technologies Inc.は、メディケア関連の健康保険を販売する健康保険テクノロジー企業である。

11月、Kemper Corporationは、American Access Casualty Companyと関連する専属保険代理店Newin Insurance Agency Holdings,LLCとその子会社(総称して「AAC」)を3億7,000万米ドルで買収することに最終合意したと発表。AACは、米国5州で個人自動車保険を販売しており、約500の独立代理店と110の専属代理店のネットワークを有する。この取引は、Kemper Corporationの販売能力の強化と、ニッチ市場向けサービスの向上を目的としている。

資本の未来

損害保険のスペシャルティ分野の金利環境が厳しくなっている。2020年後半、この状況を利用しようとする、プライベート・エクイティ、新規参入者、企業投資家からの資本が、買収や新興企業を通じて市場に流入した。このような動きは、投資家が金利上昇局面にあるセクターの資産化を目指す中で、スペシャルティブローカーや総括代理店(MGA)、総合引受業者(MGU)の取得に対する関心の高まりを背景に今後も継続すると考えられる。最近の例としては、Inigo Ltd.によるStarstoneのLloyds Management Agencyの買収、Pelican VenturesとJ.C.Flowers社によるAriel Re社の買収が挙げられる。今後も、再保険市場では新たなプレーヤーの参入が期待され、利用可能な資本を活用し、価値を創出できるターゲットの発掘に注力するものと思われる。

※本コンテンツは、PwC米国が2020年12月に公開した「Insurance deals insights: 2021 outlook」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

主要メンバー

足立 晋

PwC Japanグループ グローバルJBNリーダー, PwCコンサルティング合同会社 代表執行役副会長, PwC Japan

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加藤 雅也

パートナー, PwCアドバイザリー合同会社

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宇塚 公一

パートナー, PwCあらた有限責任監査法人

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