私企業からプライベート・エクイティへ:インドにおける成長サイクル

Shobana Kamineni氏

Apollo Hospitals 執行役副会長/インド/民間医療機関

Apollo Hospitalsは、インド最大級の病院チェーンです。国際的な評判が高く、新しい技術の活用においても卓越した実績を誇ります。

1980年代に創業したPrathap C. Reddy博士は、米国で働いて帰国したとき、インドの医療が非常に遅れていることを実感しました。彼はインド内外の医師たちに投資を呼びかけ、1983年にチェンナイに病院を開きました。4人の娘たちが最初から関与した他、Shobana Kamineni氏が3番目の従業員となりました。彼女は現在、執行役副会長であり、Apollo Hospitalsは、64の病院、150のクリニック、9,000床以上のベッド数、ほぼ2,500の薬局、健康保険事業を展開しています。

Shobana氏は、この事業が3段階で進歩したと考えています。

「最初は単純なファミリービジネス企業として、ファミリービジネス企業のあらゆるメリットと問題点を併せ持っていました。そして医療の分野ではすばらしい専門知識がありましたが、安定したビジネスを構築するために優秀な人材を雇用する必要がありました。例えば財務に精通した人材です。」

第2段階では、株式市場に上場した結果、病院を三つに増やすことができましたが、レポート作成、アカウンタビリティ、ガバナンスのニーズも増大しました。役員会も独立取締役を増やして強化されました。彼らは今でも重要な役割を担っています。

Shobana Kamineni氏 Apollo Hospitals 執行役副会長

Shobana Kamineni氏 Apollo Hospitals 執行役副会長


第3段階はプライベート・エクイティでした。

「当社は、インドが初めて外国直接投資に門戸を開いた1990年代後半、プライベート・エクイティから資金を調達した最初のインド企業の一つでした。これに関しては慎重に検討しました。事業が根本的に変化し、今まで以上に説明責任を明確にするとともに、積極的に順応しなければならないことが分かっていたため、一族全員で話し合いました。プライベート・エクイティの時間感覚が、家族経営とは非常に異なることも分かっていました。プライベートエクイティの投資家は短期のリターンを求めます。私は、当社に投資してくれた全てのプライベート・エクイティ投資家が良い出口価格を得られたことをうれしく思います。だから当社の株価は高いのです。私たちは約束を守ります。」

Apollo Hospitals

Apollo Hospitals

プライベート・エクイティ投資家を持つことにより、短期的な業績を重視するようにもなりました。

「これが、プライベート・エクイティとファミリービジネス企業の最大の違いの一つです。ファミリービジネス企業の時間感覚は無限です。この四半期に目標を達成できなくても、次の四半期で達成すれば良いのです。プライベート・エクイティは、四半期ごとの業績の大切さを教えてくれました。これによってかなり緊張感が上がりました。25四半期連続で約25%の成長を遂げた当社は、非常に珍しいと思います。プライベート・エクイティは非常に積極的な投資家でもあります。PE投資家の何人かは当社の業務を本当に理解するために、毎週のように訪れます。それを受け入れるだけでなく歓迎しなければ、パートナーシップはうまくいきません。」

将来を見越し、Apolloは新しい技術の点で競争上の確固たる優位を築いてきました。

「当社にはイノベーション部門があり、イスラエル、米国、インド各地のイノベーションラボと連携しています。新しいアイデアを生み、新しい開発に付いていく取り組みにも力を入れています。また、当社の医師には、世界各地の会議や研究フォーラムに参加し、他の医師と積極的に協力するよう奨励しています。人材やアイデアをサイロに閉じ込めてはなりません。これが、Apolloグループ内に三つの新しい会社ができた理由の一つです。一つは分析、もう一つは幹細胞治療と個別化医療、さらにもう一つはデジタル/遠隔医療に取り組んでいます。最後の一つにより、当社の認知度は大幅に高まり、より多くの人に医療を届けることも可能となりました。このような点で、私たちより優れている企業は多くないと思います。私たちはこれを非常に誇りに思っています。」

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高田 佳和

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越田 勝

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