SABCO Group 非業務執行取締役/オマーン/複合企業
40年後、同社はマスカットに本社を置く多様な複合企業となり、創業者の3代目がオーナーとして会社にかかわっています。事業分野は、高級品、メディア、エネルギーと多岐にわたっており、地域内ではどこでも目にするほど有名な会社となっています。このように、一族のメンバーが各自が所有する特定の事業においてリーダーシップを発揮できるようになっています。ただし同社は、有能な外部の人材からの貢献も積極的に受け入れており、グループ取締役会など、上級レベルで一族以外の役員を多数起用しています。
Sayyid Nasr氏は、創業者の孫であり、SABCOの子会社の一つで非業務執行取締役を務めています。同氏は、外部の専門家の起用が会社のためになっていると考えています。
「将来的には、いずれかのタイミングで一族以外のCEOを指名する可能性もあるでしょう。しかしこれを実践するまでには長い時間がかかります。その間私たちは、一族の中の適任者がSABCOでのキャリアを検討してくれるよう促すことによって、選択肢を残した状態にしています。」
ただし、このような役職はメリットがある場合にのみ提案されるものです。
「各自のスキルを当社が必要とするスキルに合わせられるよう、一族に対しても必ず特別な研修プログラムを設けます。当社は、SABCOでリーダーシップの役職に就くか、別の会社に就職するかを問わず、一族のリーダーとしての人材開発を行うことを目指しています。概して、全従業員の中で起業家精神を育むことによって事業を成長させようと考えています。つまり、私たち独自の『起業家』を育てるということです。」
Sayyid Nasr bin Badr bin Hamad Albusaidi氏 SABCO Group 非業務執行取締役
同社は、コーポレートガバナンスおよび一族のガバナンスの開発に時間と労力を費やしてきました。活動的なファミリーオフィスが設けられており、そこで一族の財務状況やその他の利害関係に気を配ってきました。しかし現在は、より幅広い権限を取り扱うよう、業務が拡大されています。また、この一族は事業および事業と一族の関係を専門化するために多くの実践的なソリューションを導入してきました。例えば、ファミリーカウンシルや、さまざまなステークホルダー間の意思疎通を強化するためのガバナンス構造の設置です。事業の成長に伴い、これらのフォーラムの会合機会が増え、より幅広い一族のメンバーが集まるようになっています。
「私たちは全員が長期目標について合意しています。例えば、次世代の育て方や引き継ぎ方、SABCOに勤務していない一族のメンバーのかかわりをどのように確保していくか、収益性のニーズと、事業設立時の幅広いビジョンとのバランスをどのように取っていくかなどを、入念に検討しています。」
このビジョンは、国民であるという誇りと、オマーンに対する個人的および一族としての深い貢献と切り離すことができません。
「私たちは、雇用を生み出し、社会に貢献するという責任感を持っています。しかし、それは負担ではなく、名誉なのです。」