構築と再構築:オーストラリアの変化を乗り切る経営

Dan Perkins氏

Perkins Construction CEO/オーストラリア/建設

Dan Perkins氏は、父親と叔父が1965年に設立した優良な建設会社を経営しています。彼は大工の修行を積み、学校を出てから建築の資格を取得しました。その後、しばらく英国で経験を積むなどしながら、Perkins Constructionで働いています。

「基本的に、自分の望みどおり、学ぶことはたくさんありました。小規模な現場でプロジェクトを統括する経験を積み、資材調達もしばらく担当しました。機会は常に目の前にありました。」

80年代まで事業は堅調に成長しているかに思えましたが、突然、全てが変わりました。

「叔父が1991年に亡くなりました。まだ50代で、誰も予期していなかったことでした。それは家族にとってもビジネスにとっても大きな影響を与えました。父はひどくショックを受け、私はまだ23歳だったにもかかわらず、社内のほとんどの業務を引き継ぎました。もちろん、まだ正式に定めていなかったオーナーシップの変更に関する構造的な問題もありました。その上、時代は不況のさなかでした。ここから10年間、私は週に100時間働き、昼も夜も三、四つの職務をこなしました。また、財務、会計、報告、契約や雇用に関する法務など、新しいスキルをいくつも独学で身に付けなければなりませんでした。習得は困難でしたが、それらのスキルは非常に役に立ちました。そして成功したのです。私たちは会社を再建し、生き残りました。確かに間違いは犯しましたが、間違いからは学べます。コストが大きいほど、学ぶことは大きいのです。」

Dan Perkins氏 Perkins Construction CEO

Dan Perkins氏 Perkins Construction CEO


21世紀になると同社は一気に成長しました。今ではDan氏が唯一の株主ですが、40代になってから家族を持ったため、次の世代が後を継ぎたいとしても、働き始める年齢になるまでビジネスは大きな溝に直面することになるでしょう。Dan氏は、子どもにプレッシャーをかけて苦しめたくありません。

「他のファミリー企業を見てみると、たいてい成功は一人の功績です。最初に事業を成長させたり、事業を大きく変えることをしたり。そのとき会社にいなかった人が、突然、後を引き継げると仮定するのは非常に危険です。私自身の子どもについて言えば、例え良い教育を受けたとしても、比較的若い者に、30年の経験を積んできたCEOの肩代わりをさせるのは難しいでしょう。私が仕事を学ぶのにこれだけ長い年月がかかったのですから。」

この溝を埋めるには、社外から後継者を招く、事業を売却するなど、さまざまな選択肢があります。

「私は70歳まで働いて子どもたちの成長を待つつもりはありません。彼らに後を継ぐ固い意志があると仮定するのも無理です。しかし、この事業の他に、子どもたちにとって魅力的なことを準備することは可能かもしれません。例えば起業のチャンスです。これなら彼らに自分で何かを作る機会を与えられますし、私は親として、そしてオーナーとして、資金と能力の面でサポートできます。私の一族は常に自主性と自立心を持ち、変化をチャンスに変えてきました。振り返ってみればこの50年、さまざまな変化がありました。望んだ変化もあれば、規制、経済問題、融資者や顧客の要求による変化もありました。しかし、私たちはその都度学び、成長しました。そして今も、例え何であろうと、次の課題に挑戦する準備はできています。」

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小林 和也

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