FLO S.p.A. CEO/イタリア/製造業
Antonio氏の息子のDaniele氏は、機械工学の学位を取得し、イタリアで義務付けられている兵役を終えた後にファミリービジネス企業に加わりました。彼はFLOに入ると思われていませんでしたが、会社に対する父の情熱が遺伝しているのか、Daniele氏も妹のErika氏とその夫もFLOの幹部になりました。
しばらくFLOのビジネス機会開発を担当し、父が亡くなった3年前に、Daniele氏はCEOに就任しました。Daniele氏の母は取締役会長として株式の過半数を所有していますが、社内の業務には携わっていません。事業を引き継いで初めて、Daniele氏は株主の重い期待が自分の肩にかかっているのを感じました。
「父と一緒に働いていた人たちは、創業時からこの会社を知り、父の信頼厚いアドバイザーでした。彼らは私に父の代わりを期待しました。父が突然亡くなったので、変化に備える準備ができていなかったのです。私が上級職に就くことを懸念しているのが感じられました。最初、仕事に慣れるまでは本当に大変でした。」
例えば、彼は会社を継いだとき、取締役であることの意味をほとんど理解していませんでした。
「取締役の仕事には、単に企業の経営だけでなく、さまざまな法務やリスクが伴います。いったい自分は何の責任を負っているのか、私は知りませんでした。」
彼は、自分の意思決定のさまざまな法的影響を理解し、有効に活用するために、助言を必要としました。また、一族との接し方を大幅に変える必要があることを理解しました。
Daniele Simonazzi氏 FLO S.p.A. CEO
「最初に学んだのは、必要な会話の種類が異なることでした。一族のメンバーでも、ビジネス上の問題について取締役の座にある人と話すときは、仕事仲間として話します。マネージャーであれば上司として話します。株主なら話の内容がまったく異なり、決して混同してはなりません。状況は紛らわしく、誤解を招くこともあります。間違えれば、安定した企業ガバナンスにも幅広い親戚関係にも悪影響が出ます。」
Daniele氏は「トップが孤独」だということも学びました。一族以外で、メンターとして助言してくれる人が重要なのはこのためです。あくまで控えめで、信頼でき、ビジネスについてもファミリービジネス企業特有の問題についても客観的な視点を持つ人でなければなりません。
彼の指揮下で、FLOは大きな過渡期を乗り越え、いくつかの重要な事業課題を克服しました。これには、英国、そして最近のスペインでの買収が含まれます。この分野におけるプラスチックの使用に関する欧州規制は引き続き問題であり、同社にとって製品と技術の両方の変更を余儀なくする可能性があります。
未来と次世代の役割に目を向けたDaniele氏は、自分の考える「ファミリービジネス企業の妄想」を避けたいと考えています。彼も妹のErika氏も、それぞれの3人の息子とはFLOについて話さないと言います。望まないのに会社に加わらなければならないというプレッシャーを与えたくないからです。
「加わってくれればうれしいと思いますが、それ以前に会社の外でキャリアを積んでほしいと思います。そして、もし家業に加わるのであれば、適切なスキルがなければなりません。ファミリービジネス企業は、一族のメンバーに不適切な役職を与えることで失敗します。加わるのであれば、どんな役職であれ、価値をもたらさなければなりません。必ずしも幹部である必要はありません。一族のメンバーというだけで十分に大変ですから。」