
重要な節目の数々:オーストラリアにおける60年の歩み
Linfoxは昨年、創業60周年記念日を迎えました。Linfoxは、オーストラリアの輸送・物流、不動産、空港、現金輸送業界で、大きな成功を収めているファミリービジネス企業として長く知られています。どのように実現したのでしょう?1956年にトラック1台で創業し、60年後に売上高35億豪ドルを突破するには、どのような経緯があったのでしょう?これまでの重要な節目について、執行役会長のPeterFox氏に語っていただきました。
日本分析版「ファミリービジネス企業の永続的な発展のヒント」
日本とグローバルの回答に特徴的な違いが見られた5つのテーマ「直面する課題」、「事業承継」、「親族間の紛争解決の仕組み」、「デジタル化」、および「国際化」への対応について分析・考察
今回で8回目となったPwCの「ファミリービジネスサーベイ」は、過去最大の規模、かつ最も包括的なアプローチで実施されました。50カ国の農業、小売、製造など多種多様な業界を代表する2,800社以上の経営幹部に調査への協力をいただきました。調査は、初めての世代交代を迎えつつある企業から数世紀にわたる歴史を有する企業まで多岐にわたりました。起業家として成功を収めた創業者から、アグレッシブな次世代の経営者、そしてプロフェッショナルなCEOまで、幅広い経営幹部から話を伺いました。デジタル技術やグローバル化などの世界的なメガトレンドについて話し合うだけでなく、「家業を守り続ける」上での公私にわたる難しさ、これまでの経験などについても語っていただきました。
主な論点は毎回ほぼ変わりません。とりわけ、ファミリービジネス企業ゆえの特性とこのモデルに内在する強さや課題は、おおむね同様です。しかし、明らかな進化が感じられる部分もあります。2012年には、スキル、スケール、後継者問題が主なテーマとなっていました。つまり、ファミリービジネス企業が総じて直面しがちな日々の実践的な課題が主流を占めました。しかし2014年には、プロフェッショナリゼーションの必要性、すなわちプロセスを向上させ信頼性の高いガバナンスを実現するニーズが事業と一族の両方において中心的な課題になっていました。現状ではこれら課題の解決にはまだ程遠い地点にあるものの、明らかに前進が見られました。今回の調査で浮き彫りになったのは、短期的な戦術から、中期的な戦略への変化でした。
問題は「ギャップ」にあります。すなわち、事業の現状を長期的な未来の可能性へ結び付ける戦略的な計画を持つという点で課題を抱えていると思われます。
ファミリービジネス企業は明らかにアグレッシブであり、常に事業を成長させ、長期的な成功と安定を確保したいと考えています。しかし、ファミリービジネス企業の直面する課題の多くがそういった戦略の欠如であることが、明白になりつつあります。一部の企業はこの部分への対応を実践しており、実際に有効な戦略を打ち出していますが、日々の業務に追われて長期計画は優先順位の低い企業のほうがはるかに高い割合であるというのが、私たちの経験知です。ファミリービジネス企業は、戦略計画がどのようなものであるか、戦略計画の策定の仕方がよく分からないといった可能性も考えられます。また、一部のファミリービジネス企業オーナーは、「数世代というスパンで考える」ことで、中期的に事業が何とかなっていくと思い込んでいることも考えられます。しかし実際にはそうではありません。
「ビジョンと戦略のギャップ」を抱えることは、大きなリスクです。全ての企業が直面しているグローバルなトレンドと変化のスピードの加速を考えれば、その重要度はますます高まります。
ファミリービジネス企業が効果的な後継者計画でなおも苦労している様子は、今回の調査でも浮き彫りにされました。有効な後継者計画を持つことは、次世代が成功できるよう環境を整える作業の一つと言えます。
Peter Bartels
ファミリービジネス企業担当リーダー
PwCドイツ(写真左)
Stephanie Hyde
グローバル起業・非公開企業担当リーダー
PwC英国(写真右)
今年の結果は、市況が厳しく変化の速度が加速しているにもかかわらず、ファミリービジネス企業は活力にあふれ、成功を収め、アグレッシブさも持っていることを示しました。ファミリービジネス企業の経営者らは、長期的視野を持ち、どんな経済環境においてもファミリービジネス企業が重要な役割を担い、安定性をもたらし、コミュニティと社員に対する責任を果たそうとしています。また、ファミリービジネス企業は変化と革新のエンジンになることができると語ってくれました。
2012年以降の調査では毎回12%~15%が、向こう5年間に事業の積極的な成長拡大を目指すと回答してきました。実際にそれを遂げてきた企業もあります。しかし、ファミリービジネス企業セクターにおける私たちの経験では、非常にアグレッシブな成長目標を達成している企業は極めて限られています。成長に必要な人材確保やスキル開発に苦労する企業、資金調達に悩む企業が多数あります。また、一族内に対立が生じ、それに時間とエネルギーを取られて、思考が内向きになっていく企業もあります。
2014年の調査では、ファミリービジネス企業の経営の専門化、すなわちプロフェッショナリゼーションを主なテーマとしました。今回の調査では、この部分で具体的な進歩が見られましたが、同時にまだ多くの道のりが残されていることも明らかになりました。
Linfoxは昨年、創業60周年記念日を迎えました。Linfoxは、オーストラリアの輸送・物流、不動産、空港、現金輸送業界で、大きな成功を収めているファミリービジネス企業として長く知られています。どのように実現したのでしょう?1956年にトラック1台で創業し、60年後に売上高35億豪ドルを突破するには、どのような経緯があったのでしょう?これまでの重要な節目について、執行役会長のPeterFox氏に語っていただきました。
Mother Parkersは、創業1912年にさかのぼる北米最大級のコーヒー・茶サプライヤーです。このファミリービジネス企業のトップに立つのはPaul Higgins氏とMichael Higgins氏ですが、このたび一族の外から社長を迎えて経営の専門化を図りました。
Vippは、北欧スタイルのエレガントで実用的な家庭用品で世界的に知られています。しかし、これは実はゴミ箱から出発した成功物語なのです。HolgerNielsen氏は金属工で、スチール加工という本業の傍ら、妻のMarie氏のヘアサロンのためにペダル式のゴミ箱を作っていました。Nielsen氏が亡くなると、会社を受け継いだ娘のJette氏は、ゴミ箱のデザインをビジネスに生かそうと考えました。「失敗しても自分のリスクだと思った」と彼女は語っています。
シャトレーゼは日本の和菓子・洋菓子製造販売業で、地元山梨の素材を生かした製品を自社工場で生産し、フランチャイズシステムにより販売するという方式で、日本国内で急成長を果たしました。シャトレーゼの創業者であり、現シャトレーゼホールディングスの社長である齊藤寛氏は、1954年(20歳の時)に弟が4坪の広さで始めた菓子店の経営を任されることになりました。「やるからには日本一のお菓子屋に」と大手メーカーとの差別化を図ることで、今では3,000人の従業員を擁し年商630億円企業に育てました。
Same Passion, different paths: How the next generation of family business leaders are making their mark.
The next generation of family business leaders are well prepared, confident, and above all they have great ambition – both for themselves and for their firms. 88% want to do something special with the business.
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