ドローン規制緩和の背景を理解し、リスク管理とビジネスの加速を実現 PwCコンサルティングがドローンビジネス「変革のすすめ」セミナー

2019-10-23

ドローンの活用拡大に力を入れるPwCコンサルティング合同会社(東京)が主催したセミナー「ドローンを利用した次世代のビジネスの変革のすすめセミナー~規制緩和によるビジネス活用と考慮すべきリスク要因」では、規制当局である国土交通省航空局安全部の専門官や法律実務の専門家、PwCのコンサルタントが登壇し、ドローンの最新の動向を紹介するとともに、ビジネスに活用する際のヒントとリスクを解説しました。事業主や参入を検討する新規事業担当者ら約50人が参加し、ドローンをビジネスに活用するタイミングや既存ビジネス拡大についての注意点などの最新情報をアップデートしました。

ドローン規制緩和の背景を理解し、リスク管理とビジネスの加速を実現 PwCコンサルティングがドローンビジネス「変革のすすめ」セミナー

有人地帯での目視外飛行へ向けたロードマップ

規制当局である国土交通省航空局安全部安全企画課の伊藤 康浩専門官が行った「無人航空機に係る航空法の概要と環境整備に向けた取組」と題した基調講演では、ドローン活用に関する規制やルールに関する最新情報について解説しました。例えば、ドローンの安全対策を強化するため、国土交通省が飛行を許可した全てのドローンについて、飛行前にその都度、日時や場所、高度などの飛行計画を同省が運営する飛行情報共有システムのサイトに登録するように、運航者側に実質的に義務化したことなどを紹介しました。

伊藤 氏は「ドローン同士の接触や有人機とのニアミスといった事故を防ぐための措置であり、サイトに飛行計画を入力すると、飛行禁止区域の位置を把握できるうえ、自分が飛ばそうとしている空域の近くに他のドローンの飛行計画がすでに入力されている場合にアラートが出る仕組みです。一方で、ドクターヘリなど低空で飛ぶ有人機の側も、ドローンの飛行計画を確認できます」と新しい規制の狙いを述べました。

また、目視外飛行に向けた具体的な取り組みについても紹介しました。2018年9月、航空法に基づく許可・承認の審査要領を改訂し、基本的に離島・山間部など空路の下に人がいない場所に限り、安全監視対策を取ることを条件に、補助者を配置しない目視外飛行(レベル3)が可能になりました。さらに、安倍 晋三政権が2022年度をめどに有人地帯での目視外飛行(レベル4)を目指す方針を示したことを受け、「空の産業革命に向けたロードマップ」を更新したことを紹介しました。ロードマップによると、機体の性能向上や、操縦者、運行管理者の技能向上、運航管理のルールや社会受容性を高めるための環境整備などを含めた基本方針を2019年度内に策定する見通しです。

政府が目指す商用化ルール整備の背景にテロ対策

一方、ドローンビジネスにかかわる論文を発表しているTMI総合法律事務所の弁護士、波多江 崇 氏が行った特別講演「最新ドローン関連規制と実務」では、ドローンに関する法的責任の整理やドローンを使ったビジネスを行う際の注意点などの解説がありました。

波多江氏は、最近のドローン関連規制をめぐる話題に触れ、政府が、2022年度を目指し、ドローンを使った宅配サービスなどの商用化をにらんだルール作りを始めたことを紹介しました。所有者や使用者、機種などの登録制度を創設し、機体の安全基準や使用者の技能を証明する制度をつくることで、企業がドローンを使ったビジネスに乗り出しやすい環境を整える方向だといいます。

波多江氏は「このルール作りの発端の1つはテロ対策です。オリンピック・パラリンピックなど国際的なイベントに対応し、ドローンを誰がいつどこで飛ばしているのかを国が把握する必要があると考えたためで、登録制度については早ければ今年度内の整備を目指しているようです」と背景について解説しました。

ドローンの効果創出までに乗り越えるべき4つのリスク

この他、PwCコンサルティングのシニアマネージャー、岩花 修平、佐々木 智広は「無人航空機のビジネス活用で考慮すべきリスクとその対策」について見解を披露しました。岩花はドローンのリスク管理のポイントとして、「たとえ、一機であっても、墜落や事故の影響は甚大。万が一のことが起きた場合、事業者のビジネス存続の危機や、規制強化や市場縮小の引き金となる可能性もある」と指摘しました。岩花は「ドローンに関する市場の期待値は高いが、インシデントによる影響度を踏まえ、徹底したリスク管理により市場拡大につなげていくことが重要」と述べたうえで、安全リスク管理(SRM)プロセスによって、具体的にリスクをどう軽減するかを指南しました。

続いて登壇した佐々木は、ドローンを導入・活用し効果を創出するまでに乗り越えるべきリスクとして、「安全性」「コンプライアンス」「セキュリティ」「プロジェクトマネジメント」の4つを挙げました。とりわけ、プロジェクトマネジメントが極めて重要になるとの考え方を示し、業務要件を充足していない機体の導入や操縦士のスキル不足などに伴う品質問題、開発費の膨張による事業性の悪化などコストの問題やスケジュールの問題などのリスクの存在を指摘しました。佐々木は「ドローン活用に必要なケイパビリティ(能力)を有する専門家の参画が成功のカギとなる」と指摘しました。実際に、必須とされるコアケイパビリティを備えた体制を整備し、ドローン活用に関するプロジェクトマネジメントを実施している成功例を紹介しました。

セミナーには、メーカー、ソリューションプロバイダーなどドローン関連事業を展開している企業や事業主、参入を検討中の企業や事業主、関係者など約50人が参加しました。PwCコンサルティング合同会社テクノロジーコンサルティング事業部常務執行役パートナー、桂 憲司は「ドローンというテクノロジーを使って、新しい世界をつくっていくとき、その世界のルールの背景にある考え方を理解することが重要になります。セミナーで得たドローンに関する最新情報を頭に入れたうえで、アクセルとブレーキを使い分け、ドローンビジネスに活用していくことが重要です」と話しています。

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