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東京大学とPwC Japanグループは未来を創る経営人材育成を目的として、2021年より学生と社会人のそれぞれを対象にAI経営寄附講座を開設しています。今夏は東京大学の学部生と大学院生向けに「AI経営寄付講座サマーブートキャンプ」を開催し、8月23日にはサマーブートキャンプ参加者による「ピッチコンテスト」を行いました。
ピッチコンテストは5日間の講座を締めくくるイベントで、講座に参加した7チームがAI活用のビジネスアイデアを発表しました。各アイデアは提案先の企業・団体まで具体的に設定し、各チームのプレゼンテーションとビジネスアイデアを踏まえて審査員賞とオーディエンス賞を選出しました。
東京大学AI経営寄付講座サマーブートキャンプは、7月28日にスタートした「事前講義」、その後の「Workshopセッション」「Teamworkセッション」「ピッチコンテスト」の4部構成で行われました。
「事前講義」は、AI分野の有識者による映像授業(事前講義)を視聴して学ぶものです。ここではAIの基礎知識を深めつつ、各業界におけるビジネスでの活用例などを学びました。
2つ目の「Workshopセッション」では、参加者が都内の会場に集まり、事前講義とそれぞれがこれまで蓄積した知識や経験を踏まえて、ビジネスアイデアをチームごとに検討しました。
ビジネスアイデアのテーマは、「健康とウェルビーイング」「サステナビリティ」「ダイバーシティ」「エンターテインメント」「第1次産業」の5つです。いずれもAIのさらなる活用が期待されるテーマで、参加学生は、AIをはじめとするB(ビジネス)、X(エクスペリエンス)、T(テクノロジー)の3つの観点を組み合わせて、社会課題の解決にアプローチするビジネスアイデアを考えました。また、アイデアがまとまったところでフィードバックを受け、さらに磨きをかけました。
3つ目の「Teamworkセッション」では、各チームのメンバーがビジネスアイデアについての調査やフィールドワークを実施しました。事業モデルのプロトタイプを通じたコンセプト検証などを行い、提案先やマネタイズのポイントなども設定しながら事業案をまとめました。
最後に「ピッチコンテスト」を開催し、各グループがビジネスアイデアを発表しました。
ピッチコンテストでは、7チームが順番にビジネスアイデアのプレゼンテーションを行いました。プレゼンテーションは、7チームそれぞれのインサイトを踏まえた粒揃いの内容となりました。
以下、ビジネスアイデアの概要を紹介します。
健康とウェルビーイングをテーマとするチームAは、私立の小中高校に向けたサービスを考えました。
彼らが課題と感じたのは、子どもたちのメンタルヘルスです。子どもの健やかな成長を支援することは社会の重要な課題です。その中でも学校は心理的安全性の高い環境を構築することが求められます。しかし、昨今は子どもが精神的な負担を感じたり、そのせいで不登校になったりするケースがあります。
そこでチームAは、アプリを通じて心の負担を感じている子どもたちとの早期のタッチポイントを作ろうと考えました。アプリで日々の自分の心の状態を入力するとともに、不安なことなどがある場合には文章で書き込めるようにし、それを記録するとともに、テキストマイニングの技術によって分析することによってメンタルヘルスの管理とケアに役立てる仕組みです。チームAは、私立学校を中心にこの仕組みを展開し、各学校からのシステム利用料によって事業化するモデルを考えました。
チームBは、サステナビリティをテーマに食品廃棄の削減につながるビジネスアイデアを考えました。
彼らが課題と感じたのは飲食店における食べ残しです。農林水産省の調査によると、外食産業では年間133万トンの食品廃棄が発生し、その大半を食べ残しが占めています。食べ残しを抑えられる仕組みを構築できれば、飲食店側は材料費などの削減ができます。
チームBは、年間で約1,000tの食品廃棄が発生している大手居酒屋チェーン向けの提案として、ちょうど良い量の注文の提案が受けられる仕組みを考えました。利用者はあらかじめ属性、好み、アレルギー情報などをアプリに入力します。また、利用時には空腹度合いを入力します。その情報を踏まえて、アプリは利用者が飲食する店のメニュー群からちょうど良い量となる注文案を提示する仕組みです。
コロナ禍を機にタブレットやスマートフォンを使う注文が広く浸透しました。この背景を踏まえて、チームBはUXの面でこの仕組みが利用者に広く受け入れられるだろうと考えました。
チームCもサステナビリティをテーマとし、食育と食品廃棄の削減につながるビジネスアイデアを考えました。
彼らが課題と感じたのは、学校給食を通じた子どもたち向けの食育と、給食の食べ残しです。給食室がない小中学校では、地域の給食センターで作った給食が各校へ配布されるケースが一般的です。また、給食センターには栄養教諭の資格を持つ人が勤務し、献立の作成や衛生管理などを行うほか、食育の推進や肥満や偏食などに関する指導を行う役割を担っています。
しかし、現状は給食の提供先である学校や生徒たちとのコミュニケーションの機会が少なく、食べ残しなどに関する情報が共有しきれていません。
そこでチームCは、生徒一人ひとりが給食を食べた後の写真をタブレットなどで撮影し、その情報を画像認識する仕組みを考えました。食べ残しの情報をデータ化することで残食率が把握でき、献立作成にフィードバックすることによって廃棄量を減らすことができます。また、好き嫌いによる栄養の偏りや食品廃棄と関連させて食育を推進することができます。さらに、各生徒の食べ残しの情報を家庭で見られるようにすることで、自分の子どもがどんな料理を、どれくらい食べているか(残しているか)を保護者が把握することができます。
近年は文部科学省のGIGAスクール構想によって学校から1人1台タブレットが配布される学校が増えています。チームCの事業案はこの環境を活用するもので、東京都を提案先として事業モデルをまとめました。
チームDは、第1次産業をテーマとして、養蜂農家に向けたはちみつの生産性向上のソリューションを考えました。
彼らが課題と感じたのは、養蜂農家におけるデジタル活用の遅れです。近年は幅広い業界でテクノロジー導入が進み、製造業ではIoT、事務職ではDXが進みつつありますが、養蜂は手作業が多く、そのせいで生産性が伸び悩んでいます。また、国内で販売されている国産はちみつのシェアは5%ほどしかなく、農家の収益性向上と養蜂をサステナブルにする上でも、デジタル活用の普及が重要なカギといえます。
そこでチームDは、ハチの行動や健康状態を個体ごとにAIで管理する方法を考えました。この仕組みを導入することで、手作業で行っているはちみつの生産管理を効率化できます。巣箱の管理や入れ替えなどにかかる手間と時間を削減することができ、その時間を使って養蜂従事者はより付加価値が高い作業をすることができ、収益向上を実現できます。
また、ハチは近隣に咲く花と巣箱を行き来して花の蜜を集めます。その際、複数の花蜜が混じったはちみつ(百花蜜)は、大部分を同一の花蜜からできたはちみつ(単花蜜)よりも市場での価格が下がります。ハチの行動を管理することで別の花蜜が混ざるのを防ぐことができ、はちみつの単価を高くすることができます。
チームDのメンバーは養蜂農家に出向き、ヒアリングを通じてそのような課題を把握し、生産性と単価を両方高められるビジネスアイデアを考えました。
チームEは、エンターテインメントをテーマとしてスポーツ番組における解説のパーソナライズを考えました。
スポーツ番組の解説は、一般的な視聴者を想定しています。しかし、実際には視聴者の知識レベルに差があり、ルールや選手について詳しい人がいれば、ルールそのものがよく分かっていない人もいます。そのため、画一的な解説では、ある人にとっては情報過多になり、別の人にとっては情報不足となります。
その点に課題を感じたチームEは、視聴者が必要な解説をAIが補足する仕組みを考えました。具体的には、選手の情報、攻守のフォーメーション、ルールなどについてのデータを学習させるとともに、試合の様子や状況を画像認識によって分析し、それらをリアルタイムで提供できるようにする仕組みです。
この仕組みを導入することで、視聴者は情報の過不足によるストレスから解放され、スポーツをより深く理解でき、番組を楽しめるようになります。そのような効果を見据えて、チームEはこの仕組みをスポーツ番組のストリーミングサービスを行っている企業に向けて提案したいと考えました。
チームFもエンターテインメントをテーマとし、映画やアニメなどの動画の吹き替えにAIを活用する仕組みを考えました。
この課題はチームメンバーの1人であるアラビア出身の女子学生の実体験から生まれています。彼女はアラビア語が母国語ですが、映画の翻訳や吹き替えの言語数は限られ、日本語または英語で見なければならないケースが多いと感じていました。また、映画の中には10カ国語以上の字幕に対応しているものもありますが、吹き替えは声優を用意しなければなりません。海外は日本ほど声優市場が発達していないため、声優が育ちにくく、育つ土壌もほとんどできていません。
そこでチームFは、AIで声を作り、吹き替えを成立させる仕組みを考えました。この方法であれば、声優が少ない国に向けた吹き替え版が作れます。声優を育てるための時間と費用の削減にもなり、映画の配給会社はより多くの国に作品を広める機会を得られます。
その可能性を見据えて、チームFは動画の制作と配信を行う会社に投資するベンチャーキャピタルを提案先と想定して事業案をまとめました。
チームGは、ダイバーシティをテーマとしてLGBTQ+の人たちに向けた悩み相談サービスを考えました。
LGBTQ+の人たちは、自分の性的指向を理解する人が周りに少ないと感じていることが多く、悩みなどを相談することを躊躇します。また、SNS上などでは性的指向の違いに偏見を持つ人によるヘイトの扱いを受けることもあるのが実態です。
そこでチームGは、同じ悩みや似た悩みを持つ人たちをAIによってマッチングする仕組みを考えました。アプリ経由で悩みを入力することで相談できる相手が見つかり、悩みを共有するグループに加わることができる仕組みです。
チームGは、この仕組みをユーザー課金とLGBTQ+に理解が深い企業の広告費によって成立させようと考えました。
全チームのプレゼンテーションを終えて、ピッチコンテストでは最後に審査員賞の選定と表彰を行いました。また、参加チームのメンバーそれぞれが、プレゼンテーションが優れていた自分のチーム以外に投票し、オーディエンス賞を決定しました。
東京大学AI経営寄付講座サマーブートキャンプは、2021年を初回とし、今回で3回目の開催となりました。初回から審査員を務めている東京大学の教授とPwC Japanグループのパートナーからは、各賞についての評価ポイントの解説があったとともに、講座およびピッチコンテストの総評として、AIを取り巻く環境の変化をしっかり捉えられていること、実現性の高いビジネスアイデアが多かったこと、マネタイズのポイントや利用者側のメリットが明確であったことなどに触れて、回を追うごとに内容が充実しているとのコメントがありました。
一方で、社会におけるデジタル化やDX推進の流れは相変わらず速く、ディスラプティブな技術である生成AIの登場によって変化のスピードは加速しています。また、グローバルでは最先端のテクノロジー活用し、社内業務の効率化や新規事業の創出に成功する企業が続出しています。
日本においても、今後は学校教育と企業活動の両面でAIを実践的に学び、グローバルの市場で活躍できる人材を創出し、育成していく取り組みがますます重視されていきます。
PwC Japanグループは、引き続きこのような講座やイベントの主催と支援に積極的に関わり、AI社会の中で生きる実践的なスキルの習得機会を提供していきます。
2023年7月28日(金) |
事前講義動画の視聴、プレワークの実践 |
各自期日までに視聴・ワーク実践(所要時間:90分程度) |
Workshop Day1 |
生活者視点から社会課題を再定義 |
都内会場にて対面形式 |
Bonding Session |
参加者同士の交流会 |
都内会場にて対面形式 |
Workshop Day2 |
AIなどのテクノロジーの視点とビジネスの視点を取り入れたソリューションの考案 |
都内会場にて対面形式 |
Workshop Day3 |
考案したソリューションとコンセプト検証 |
各チーム自主的に計画のうえ、期間内に実践 |
Teamwork |
ピッチに向けた準備 |
各チーム自主的に計画のうえ、期間内に実践 |
Workshop Day4 |
中間フィードバック |
都内会場にて対面形式 |
Teamwork |
フィードバックを踏まえた改善とピッチ準備 |
各チーム自主的に計画のうえ、期間内に実践 |
Workshop Day5 |
ビジネスアイデアのピッチと審査員によるフィードバック |
都内会場にて対面形式 |
After Party |
参加者同士の交流会・審査員との交流(任意参加) |
都内会場にて対面形式 |
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