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2022年9月28日、地政学的リスク分析を専門とするユーラシア・グループが主催する「GZERO SUMMIT Japan 2022」が東京都内の会場とオンラインのハイブリッドで開催されました。第1回の2018年から同サミットに協賛してきたPwC Japanグループは、本年もスポンサーとして開催を支援したほか、サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス リードの磯貝友紀と、代表の木村浩一郎がセッションに登壇しました。
磯貝が登壇した「真のESGを目指して――日本におけるESG投資の今後」と題するセッションでは、東京大学 理事/未来ビジョン研究センター教授/グローバル・コモンズ・センター ダイレクター 石井菜緒子氏が司会を務め、ユニゾン・キャピタル株式会社 パートナー 片柳淳子氏、サントリーホールディングス株式会社 常務執行役員 サステナビリティ経営推進本部長 小野真紀子氏、BNY Mellonインベストメント・マネジメント 商品企画・ガバナンス・クライアントサービス 北米担当責任者 デビッド・デペトリロ氏が、真のサステナビリティ実現のために日本の企業や投資家に求められるアクションについて議論しました。
同セッションではまず、小野氏がサントリーにおけるESGの取り組みを紹介し、さまざまなステークホルダーとの協業の重要性を強調。デペトリロ氏もESGには産官学にまたがる幅広い議論が必要だとしたうえで、投資会社は経済を真にサステナブルなものへと変革させる過程においてこうした多様なステークホルダーをつなぐ位置づけにあり、ESGへのコミットメントは責務であると述べました。
磯貝は、ESGに関する世界的な規制強化の背景には、外部不経済を前提としたビジネスはもはや許されないという社会からの強いメッセージがあるとし、企業は現在取り組みが進みつつあるカーボンニュートラルだけでなく、食料問題や生物多様性なども含めたサステナビリティの実現を目指すという難易度の高い課題に向き合っていかなければならないと指摘。また、世界ではESG情報開示のために収集した非財務データからビジネス価値を生み出す動きがすでに出てきており、そこでの競争に加わるためにも、日本企業はこれまで後れをとってきたデータドリブン経営を加速する必要があると提言しました。
片柳氏は中堅中小企業に投資し、経営に伴走するプライベートエクイティとして、限られたリソースで実行可能な取り組みを見定め、それを遂行できるよう支援していると述べ、社会全体でインパクトを出していくためには中小企業も置き去りにしてはいけないという視点を提示しました。
このほか、欧米中心のルールメイキングにおいて日本を含むアジアが存在感を高める必要性や、さまざまな形の連携によってインパクトを大きくしていくことの意義などが議論されました。
写真左から、東京大学 石井菜緒子氏、PwC Japanグループ 磯貝友紀、ユニゾン・キャピタル 片柳淳子氏、サントリーホールディングス 小野真紀子氏、BNY Mellonインベストメント・マネジメント デビッド・デペトリロ氏
「真のESGを目指して――日本におけるESG投資の今後」セッションの動画は以下のリンク先よりご覧いただけます。
木村はユーラシア・グループのシャオメン・ルー氏が司会を務めた「デジタル・ディフェンス――ジオテック新時代における競争と革新」と題するセッションに登壇し、ソニーグループ株式会社 執行役専務 神戸司郎氏、デジタル大臣 河野太郎氏、マネックスグループ株式会社 グローバルアンバサダー イェスパー・コール氏、JSR株式会社 名誉会長 小柴満信氏とともに地政学リスクを背景としたテクノロジー利用とイノベーション、そこでの官民の役割について議論しました。
木村は地政学がテクノロジーに影響を及ぼすようになってきた背景として、グローバリゼーションの帰結として地域間の分断がもたらされ、デジタルによって技術の民間・軍事のデュアルユースが容易になったほか、データやサイバーインテリジェンスの重要性が増したことが影響していると説明。
小柴氏は、実際の米中日間の貿易額からすると地政学的な影響はさほど甚大というわけではないと前置きしつつ、そうした影響にとりわけセンシティブな重要技術――「新しい資本主義」の重点的投資対象とされている量子コンピューティングやAI、グリーントランスフォーメーションのための技術など――は確かにあり、そうした領域においては政府による支援を活用できることが企業にとって機会となり得るとの見解を示しました。
これに対しコール氏は、そのような先端技術は長期的な視点での開発が必要となるため、政府の後ろ盾が重要であること、さまざまな領域のプレイヤーがアイデアを持ち寄ってイノベーションを起こす場づくりが必要であることを指摘し、日本政府はそうした役割を果たすだけのコミットメントを示していると評価しました。
政府の支援について、神戸氏は政府の規制緩和によって再生可能エネルギーの利用が容易になった事例や、調達や販売において地政学的な影響を受ける事業分野で政府のサポートが奏功した事例など、自社事業での経験を共有しました。
政府の役割に対するこうした期待や評価を踏まえ、河野氏は現在の重点的な取り組みを紹介。データの越境移転においてはまず各国間で異なるさまざまなルールを明確にし、ユースケースを蓄積したうえで、すり合わせが可能な部分を探っていく必要があるとしたほか、経済安全保障については企業に何が許容されるのかを分かりやすく示すよう努めると述べ、データ領域の人材育成の重要性も強調しました。
これを受けて、議論は企業の信頼構築において求められる透明性、イノベーションに向けた産官学連携、規制緩和と健全な競争環境へと発展。Gゼロ時代において的確な戦略的意思決定を行っていくための企業・政府の役割をあらためて共有し、サミット全体の締めくくりとなった本セッションは幕を閉じました。
写真左から、ユーラシア・グループ シャオメン・ルー氏、ソニーグループ 神戸司郎氏、PwC Japanグループ 木村浩一郎、デジタル大臣 河野太郎氏、マネックスグループ イェスパー・コール氏、JSR 小柴満信氏
「デジタル・ディフェンス――ジオテック新時代における競争と革新」セッションの動画は以下のリンク先よりご覧いただけます。
1963年生まれ。1986年青山監査法人に入所し、プライスウォーターハウス米国法人シカゴ事務所への出向を経て、2000年には中央青山監査法人の代表社員に就任。2016年7月よりPwC Japanグループ代表、2019年7月よりPwCアジアパシフィック バイスチェアマンも務める。
2003年より民間企業や政府機関、国際機関にて東欧、アジア、アフリカにおける民間部門開発、日本企業の投資促進を手がける。2011年より現職。日本企業のサステナビリティビジョン・戦略策定、サステナビリティ・ビジネス・トランスフォーメーションの推進、サステナビリティリスク管理の仕組み構築などを多数支援。著書に『SXの時代 究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営』『2030年のSX戦略 課題解決と利益を両立させる次世代サステナビリティ経営の要諦』(共著、日経BP)がある。
※ 法人名、役職、本文の内容などは掲載当時のものです。