【エネルギー業界におけるSDGsへの取り組み(第2回)】~サステナブルなビジネスモデルへのシフトを社会課題ドリブンで~

2020-04-01

※2020年4月に配信したニュースレターのバックナンバーです。エネルギートランスフォーメーション ニュースレターの配信をご希望の方は、ニュース配信の登録からご登録ください。

前回は、社会課題解決を巡る直近の変化と最新動向をお伝えしました。今回は、エネルギー業界で求められる社会課題への取り組みを考察いたします。

エネルギーシステム改革とSDGsの親和性

エネルギー業界も今、自らの存在意義を問い直しています。当局が示すエネルギーシステム改革(※1)は、エネルギーの需給バランスをコントロールするのみならず、イノベーションによる日本の成長牽引と消費者利益の向上を掲げています。

他方で、前回内容でも触れたESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資)の拡充が既存のエネルギー企業の資金調達面に暗い影を落としているのが、ネガティブ・スクリーニング(好ましくない活動に従事する企業を投資対象から排除すること)です。「罪ある株式(sin stocks)」として、武器製造企業、児童就労を強いる企業などと並んで、原子力発電企業、化石燃料生産企業が対象になっています。そのため、日本企業が海外に輸出する技術・サービスに対する市場価値についてもSDGsの観点から見直すことが必要になってきています。

ここで留意したいのは、環境に優しい再生可能エネルギーと優しくない化石燃料が、常に二項対立で語られがちであるという点です。

不安定な再生可能エネルギーを安定的に開発・運用していくためのベースロード電源として化石燃料が機能し得る、という理解を促進する対話活動もまた、SDGsの一環と言えます。また、Global100(世界で最も持続可能な企業100社)(※2)のTop3に例年ランクインするNESTE社(※3)を生んだフィンランドのように、企業単位で社会課題に向き合うのみでなく、エネルギー業界で再エネ先進企業を育て、周辺企業が支える構造を以て社会に認知される道もあるのではないでしょうか。

PwCではエネルギー業界プレーヤーが改革を実現すべく、下記のような案件を手掛け支援しています。

支援実績の例

  • ドローンを活用した、新規ビジネス創出、地方創生の支援
  • ブロックチェーン技術を活用した電力取引コスト抑制等の検討
  • 官民連携によるスマートシティ開発を通して、冷熱中心の先進的なエネルギー供給を構築
  • スマートシティを内包し発展させるレジリエントシティとして災害に強い国土強靭化検討

PwCの存在意義 Social Impact Initiative

社会課題を解決する上で、特に有効な外部支援のポイントは、アライアンス支援です。個々の企業の活動範囲を超え、国、地方、取引先、他業界、金融機関等との関係の中で変革を起こすにあたり、関係者の巻き込みや調整といった推進機能が成功要因となります。

PwCでは、社会課題解決に熱量を持つ有志が集結し「Social Impact Initiative(SII)」を立ち上げています。アライアンス支援実績の他、業種の垣根を超え、あらゆる専門家が知恵を出し合い、企業のサステナブルなビジネスモデルへのシフトをリード・後押しします。

昨今、デジタル・テクノロジーを使って経営や事業の在り方を変革するデジタル・トランスフォーメーションが盛んになりつつありますが、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことを存在意義としているPwCとしては、更にSDGsの視点を加味し社会的インパクトをポジティブに向上させるソーシャル・トランスフォーメーションへ繋げていきたいと考えています。

SIIのコンセプト

「Social Impact Initiative」では、経済成長と社会課題解決が両立するビジネスモデルのご支援をコンセプトとします。1企業・1産業での取り組みを束ね、コレクティブインパクト・アプローチでインパクトの創出を目指します。さらにご興味のある方は、下記のサイトを是非ご覧ください。

詳細はこちら

執筆者

井戸田 綾子

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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