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2020-08-06
移転価格ニュース
2020年8月6日
例年通り、2020年7月10日に国税庁の定期異動が行われました。今回は、東京、大阪、名古屋及び関東信越国税局(都市局)の調査部国際セクションで、大きな組織再編がありました。これまでの、移転価格調査とそれ以外の国際課税に関する調査を区分した調査体制を一新して、移転価格を含む海外取引全般を調査する専門調査部門に再編しました。具体的には、以下のとおりとなります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、いつもなら定期異動後すぐに行われていた調査連絡は、見合わせとなっているようです。事前確認審査については、納税者からの申出でもあることから例年通り開始されていると聞いておりますが、調査については、現在のところ調査選定のためにこれまでに収集した資料を検討中のようです。法人税申告書に添付されている別表17(4)「国外関連取引に関する明細書」はもちろんですが、過去に入手した資料、特に「独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類(ローカルファイル)」が入念に検討されているものと推測されます。税務当局は、ローカルファイルについて、平成28年(2016年)税制改正以来、FAQ、例示集、ガイドブックというさまざまな形で多くの参考資料を公表してきました。これは、税務当局が、国外関連者の情報源としてローカルファイルの重要性に着目しているからと思われます。
従来、税務当局から国外関連者が保存する帳簿書類又はその写しの提示又は提出を求められたときには、納税者はこれらの帳簿書類の入手に努めなければなりませんでした(努力義務規定)。その後、平成28年税制改正によって、ローカルファイルの作成、取得又は保存が義務化されたこととの整合性並びに推定課税及び同業者調査は納税者が所定の入手努力を尽くさないことを要件としてない旨の明確化といった観点から、この努力義務は削除されました(平成28年度税制改正の解説 財務省作成)。事務運営指針3-5(5)でも、ローカルファイルに記載誤り、不備又は漏れがあった場合には推定課税や同業者調査を受けることがあるとしていることもあってか、調査の現場でも、ローカルファイルやその裏付け情報に関連しての推定課税等の発動が示唆されるケースがでていると聞きます。このような状況は、同時文書化の免除規定適用の有無に関係ないようですので、ローカルファイルの作成、提出にあたっては、対象取引の担当部署との意思疎通を密にして適正な内容のものを作成、期限内に提出できる体制を構築することが肝心です。