政府税制調査会が所得相応性基準の概要を公表

2018-11-08

移転価格部ニュース
2018年11月8日

 

政府税制調査会は、2018年11月7日に開催された税制調査会での財務省説明資料「国際課税について」を公表しました。

所得相応性基準については、2019年度(平成31年度)改正での導入が予想されているところですが、今回の説明資料によると、BEPS最終報告書およびOECD移転価格ガイドラインに沿った形での導入を検討している模様です。

移転価格ガイドラインでは、従来から、基本3法や取引単位利益法などの基本的な移転価格算定方法によることが不適切又は困難な場合には、独立企業原則を充足する範囲において「その他の方法」を用いることを容認してきました。特に無形資産取引については、その独自性により、比較対象取引を見出すことが容易でないことから、BEPSプロジェクトでは、信頼し得る比較対象取引が把握できない場合には、ディスカウンティド・キャッシュフロー法(DCF法)が有用となり得るとして、DCF法に関する記載を拡充し、移転価格ガイドラインに反映しています。

こうした背景や、日本が移転価格税制創設以来、OECD移転価格ガイドラインに概ね即した制度整備を進めてきたという事実を踏まえ、DCF法については、法令上の取扱い、通達等の整備が行われてないことから、納税者・税務当局にとって、不確実性が高い状況にあるとの認識を、この説明資料では述べています。

この対応策として、BEPS最終報告書では以下を挙げています。

  1. 比較対象取引が特定できない場合には、無形資産の使用から得られる予測キャッシュフロー等の割引現在価値を用いたDCF法により移転価格を算定すること
  2. 一定の評価困難な無形資産取引に関し、当初の価格設定に用いた予測と結果が大きく乖離した場合、税務当局は価格が適切に算定されていなかったと推定し、事後の結果を勘案して価格を再評価することを勧告

この考え方が、2019年度税制改正でも取り入られるものと予想されます。
なお、当法人では、所得相応性基準の導入も踏まえて、引き続き最新情報をお届けしていく予定です。