2018-08-31
移転価格部ニュース
2018年8月31日
2018年8月30日に、OECDは、BEPSプロジェクト実施において各国による相互協議・仲裁制度を改善する取り組みに関する日本の分析(「Making Dispute Resolution More Effective – MAP Peer Review Report, Japan (Stage 1)」)を、オーストラリアやメキシコ等の7カ国とともに公表しました。
[OECDウェブサイト]
Making Dispute Resolution More Effective – MAP Peer Review Report, Japan (Stage 1)
2015年に公表された相互協議手続きに関する最終報告書(行動14)で、参加各国は、ミニマムスタンダードの迅速な実施、および参加国同士での堅固なモニタリングメカニズムの確立を通じたミニマムスタンダードの効果的な実施、および参加国同士での堅固なモニタリングメカニズムの確立を通じたミニマムスタンダードの効果的な実施の確保に同意しています。
そのため、最初の段階として、2016年12月からピアレビュー(各国間の相互監査)をOECD加盟国およびインドや中国等の新興国を含む60カ国に対して開始しています。10のグループに分けて行われており、予定では、現在、6番目のグループへのピアレビュー(インド他)に対して実施しています(スケジュールについてはOECDウェブサイトをご参照ください)。2019年12月の10番目のグループのピアレビュー後には、ピアレビューでの指摘事項に対処するための各締約国の取り組みが監視されることとなります。
今回は、昨年末に実施された4番目のグループのピアレビューの結果が公表されたものです。ピアレビューレポートによると、日本は、いくつかの租税条約において対応的調整条項の無いものがあることが指摘されていますが、ほとんどのミニマムスタンダードを満たしています。また、移転価格課税やAPA等の事案については、その解決までの平均期間が、27.42カ月と、すでに公表されている米国(31.61カ月)や韓国(40.24カ月)と比べても、行動14の目標値である24カ月に近い実績となっています。
ピアレビューのレポートでは、ミニマムスタンダード対応についての詳細な定性分析と具体的な実績数値が公表されていますので、今度公表が予定されているインド、中国、香港、インドネシアといったAPAの増加が予想されている新興国へのピアレビュー結果は、これからのAPA戦略を考えるうえで貴重な情報になるものと考えられます。今後も継続して、ニュースレター、セミナー等で情報提供させていただきます。