トランプ政権税制改革の行方 全10回連載

2017年3月24日、共和党は下院通過を目指していた健康保険制度(Affordable Care Act、いわゆるオバマケア)の改廃(Repeal and Replace)案を撤回しました。 オバマケア改革が一旦止まったことで、議会における税制改革論議が再び注目を集めています。

本連載は、実現すれば30余年ぶりとなる米国の抜本的税制改革の可能性について、その背景、現段階で想定される内容および日系企業へのインパクトについてお伝えします。


第2回 米国税制改革議論の現在地(2)


今後予想される展開と現在取るべき対応

オバマケア改廃案の撤回後、トランプ大統領および共和党は税制改革にフォーカスする姿勢を示しています。 来年11月に中間選挙を控えていることから、今年中に何らかの税制改正を行うことがトランプ政権および共和党にとって重要なアジェンダであるということができます。

他方、オバマケア改革による赤字削減が達成できなかったことで、大胆な歳入減を伴う税制改革のハードルが上がったということもできます。 また、ゴーサッチ最高裁判事候補の承認や補正予算措置など議会承認がペンディングとなっている事項もあり、税制改正法案提出の具体的なタイミングは明確ではありません。

これらを踏まえ、現在取るべき対応としては、以下の2つが考えられます。

  1. 複数の抜本的な改正項目が含まれていることから、その影響について早い段階で測定を行い、対応策について検討を行うこと。
  2. 現状が非常に流動的であることから、継続して議会の動向を注視していくこと。

本連載は、税制改革論議の基本線と考えられている、トランプ氏の選挙時提案および2016年共和党ブループリントについて概説(第3~4回)したのち、国境調整等の個別の重要論点について解説を行います(第5~10回)。

2017年4月4日更新
本連載における税制改革議論の進捗については、更新日現在の情報を基に記載しています。