米国税制改正下院法案の発表

2017-11-06

2017年11月2日(米国時間)、下院歳入委員会は429頁におよぶ税制改正法案(“Tax Cuts and Jobs Act of 2017”、以下「下院法案」)を発表しました。下院法案の骨子は9月発表の税制改正フレームワークと同様(法人税率の大幅引下げ、国外所得免税制度への移行等)ですが、支払利子の損金算入制限の内容や適用開始時期等の詳細が明確化されるとともに、米国企業の国際競争力を高めるための新税制が創設されています。

現時点での下院法案の概要については以下の通りです。なお、下院法案は一次ドラフトであり、今後複数の修正が行われる見込みである点にご留意ください。すなわち、下院法案は今週から始まる下院歳入委員会、更にその後の下院本会議での審議・修正の対象となります。また、上院でも税制改正法案(「上院法案」)が今週発表される予定であり、両院での成立後、下院法案と上院法案との摺合せが行われます。

また、以下の概要は私どもの初期的な見解であり、実務上の取り扱い等については今後変更される可能性がある旨ご留意の程お願い申し上げます。
 

下院法案のハイライト

  • 連邦法人税率を20%へ引き下げ。弁護士法人等一定の人的役務提供を行う法人について法人税率25%を適用。
  • 国外所得免除制度(テリトリアル税制)の導入に伴う強制みなし配当税率は12%または5%(間接外国税額控除一部適用可)。計算の基準日は、2017年11月2日あるいは2017年12月31日(いずれか留保利益(E&P)の額の高い方)。
  • 支払利子の損金算入制限については、既存の内国歳入法163条(j)を全面改正。
  • 一定の企業グループについては、米国法人から国外関連者への支払(棚卸資産の購入対価、マネージメント・フィー・使用料等)について、当該米国法人に対する20%のexcise tax(物品税)を創設。
  • 各種改正の適用開始日は原則として2018年1月1日以降に開始する課税年度。

 

下院法案の概要につきましては、以下PDFご参照ください。