OECD・BEPS最終パッケージの公表 行動 8-10- 移転価格関連に係る報告

2015-11-27

BEPSニュース - Issue 38
2015年11月27日

 

2012年6月にOECD/G20により開始されたBEPSプロジェクトは、2013年7月19日に公表されたBEPS行動計画に基づき議論が重ねられ、2014年9月16日の第一次提言の公表を経て、2015年10月5日に15の行動に関する最終報告書がまとめられた最終パッケージが公表されました。

行動8、行動9及び行動10は、価値の創造と整合する移転価格税制の在り方等について検討し、移転価格ガイドラインを改訂すること等を目的とするものであり、190頁にわたる最終報告書が取りまとめられています。

最終報告書は、3つの主要な分野に焦点を当てており、行動8では、無形資産は、比較対象がなく、また評価が困難なことが多いことから、無形資産に係る関連者間取引に関する移転価格算定上の論点を検討したものです。価値の高い無形資産から生じた利益の不適切な配分は、税源浸食と利益移転の大きな原因となっています。行動9では、契約上のリスク配分は、当該リスクについて実際の意思決定及び管理を行っている場合に限り尊重されるとしています。行動10では、その他のリスクの高い分野に焦点を当てており、商業上合理性のない関連者間取引から生じた利益の配分に対処するための措置、多国籍企業グループの最も経済的に重要な活動から生じた利益を移転するための移転価格手法の活用に焦点を当てた措置、及び多国籍企業グループ内における一定の支払い(管理費用や本社費用等)による、価値創造との一致が見られない状況での税源浸食等が含まれています。こうした課題に対応し、「利益を生み出す経済活動が行われ、価値が創出される場所で、利益が課税されるべきである。」と、G20サンプトペテルブルグ・サミット首脳宣言で宣言されたように、事業上の利益とこれを生み出す経済活動とを一致させる結果を確実に生むような移転価格ルールを確保するガイダンスが、報告書には盛り込まれています。

本報告書は、更に、国境をまたぐ石油や鉄鉱石などのコモディティ(一次産品)取引やグループ内の低付加価値役務提供取引に関するガイダンスも含んでいます。この二つは途上国にとって重要な分野であると特定されたことから、このガイダンスは、G20開発作業部会からマンデートを得た更なる作業によって補完され、その作業によって、知見、ベスト・プラクティス、及び移転価格算定のためにコモディティ取引価格を設定したり、税源浸食をもたらす典型的な支払いを通じた税源侵食を防止したりするためのツール、が提供されることとなります。

  1. 無形資産
  2. リスク
  3. コモディティ取引
  4. 取引単位利益分割法
  5. 低付加価値グループ内役務提供
  6. 費用分担取極(CCA)

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