OECD・BEPS行動計画の第一次提言 行動計画6 租税条約の濫用防止に係るモデル条約改正案を発表

2014-10-16

BEPSニュース - Issue 5
2014年10月16日

 

2014年9月16日、OECDはBase Erosion and Profit Shifting (BEPS)に関する行動計画の第一次提言を発表し、租税条約の濫用防止(BEPS行動計画6)に係る報告書が発表されました。

BEPS行動計画6では、租税条約の濫用を防ぐための措置を検討しています。本年3月には第一次の討議草案(Discussion Draft)が公表され、それに対するビジネス界からのコメントを踏まえ、今般、この討議草案を改正した報告書(2014 Deriverable)が公表されました。

第一次の討議草案においては、租税条約の濫用等を防止するため、OECDモデル条約の本文を改正することに加え、租税条約が二重非課税の状態を作り出すためのものではないことを明らかにするため、タイトルや序文の改正も提言されていました。また、締約国が、租税条約を締結するか否かの判断を行う際に検討すべき租税政策についても提言されていました。特に、この討議草案では、特典制限規定(LoB)として米国が締結した租税条約の条文の中に、「主要目的テスト(main pupose)」や「一般的濫用防止規定(anti-abuse)」を組み込ませることが提案されていました。

今般の報告書では、この濫用防止規定や主要目的テストをLoB条項の中に組み込ませて1つの条項とする方法に代えて、条約濫用を防止する最小限の防御として2つの代替案が提案されました。また、他国の居住者に所有される事業体に租税条約の恩典を認める「Derivative Benefits Test」が提案されている点も注目されます。

この報告書は、コメント期間中に明らかになった多くの問題点について一定の指針を与える一方、重要な懸念事項が解決されていない部分があります。幸いなことに、現在の報告書では、クロスボーダーの事業活動の障害とならないよう、さらにモデル条約を詳細に検討する必要性も述べられています。2015年の最終報告書までに、さらにモデル条約やコメンタリーの改正について検討されることになっています。

  1. 租税条約の恩典の享受:特典制限規定は、不明瞭であり、予測可能性が欠如
  2. 主要目的テスト―主観性と不確実性の観点から運用可能性が懸念される
  3. その他の項目

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