改正収益認識会計基準等の公表に伴う「会社計算規則の一部を改正する省令案」の公表(法務省)

日本基準のトピックス 第403号

主旨

  • 2020年6月4日、法務省は、「会社計算規則の一部を改正する省令案」(以下、「本省令案」とする)を公表しました。
  • 本省令案は、2020年3月に企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」とする)が、改正企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」および企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」等を公表したことを受け、収益認識に関する注記として表示すべき事項の改定や会計上の見積りに関する注記の追加など、所要の整備を行うことを提案しています。
  • 本省令案に対するコメント募集期限は、2020年7月3日となっています。
  • 原文については、e-Govのウェブサイトをご覧ください。

改正内容

本省令案による、会社計算規則の改正内容は、以下のとおりです。

1.「売上高」の表示について、売上高以外の名称を付すことが適当な場合には、当該名称を付すこととする(会社計算規則改正案第88条第1項第1号)。

2.重要な会計方針に係る事項に関する注記の内容とすべき事項を定める会社計算規則第101条に第2項を加え、会社が顧客との契約に基づく義務の履行の状況に応じて当該契約から生じる収益を認識するときは、同条第1項第4号の「収益及び費用の計上基準」(※1)には以下を含むものとする(会社計算規則改正案第101条第2項)。

(1)当該会社の主要な事業における顧客との契約に基づく主な義務の内容

(2)(1)に規定する義務に係る収益を認識する通常の時点

(3)(1)および(2)以外に、当該会社が重要な会計方針に含まれると判断したもの

(※1)現行の会社計算規則第101条第4号において重要な会計方針に係る事項に関する注記の内容とすべき事項として挙げられており、本省令案で追加が提案されているものではない。

3.収益認識に関する注記として表示すべき事項を以下に改める。ただし、重要性の乏しいものを除く(会社計算規則改正案第115条の2)。

(1)当該事業年度に認識した収益を、収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づいて区分した場合における当該区分ごとの収益の額その他の事項

(2)収益を理解するための基礎となる情報

(3)当該事業年度および翌事業年度以降の収益の金額を理解するための情報

(1)から(3)について、重要な会計方針に係る事項に関する注記の規定(会社計算規則第101条)により注記すべき事項と同一であるときは、収益認識に関する注記の規定による注記を要しない。

(1)および(3)について、連結計算書類を作成する株式会社は、個別注記表における注記を要しない。

(2)について、個別注記表に注記すべき事項が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における注記を要しない。

4.注記表に区分して表示すべき項目として、会計上の見積りに関する注記を追加し、注記の内容とすべき事項を定める規定を追加する。(会社計算規則改正案第98条第1項第4号の2、会社計算規則改正案第102条の3の2)。

(1)会計上の見積りにより当該事業年度に係る計算書類または連結計算書類にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る計算書類または連結計算書類に重要な影響を及ぼす可能性があるもの

(2)当該事業年度に係る計算書類または連結計算書類の(1)の項目に計上した額その他当該項目に係る会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報

なお、以下の注記表においては、上述の会計上の見積りに関する注記を表示することを要しない(会社計算規則改正案第98条第2項第1号、第2号、第5号)。

(1)会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く)の個別注記表

(2)会計監査人設置会社以外の公開会社の個別注記表

(3)持分会社の個別注記表

施行期日

公布の日から施行される予定です。

経過措置

改正内容の1から3は、2021年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類および連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるものとされる予定です。ただし、2020年4月1日以後に終了する事業年度に係るものについては、早期適用することができるものとされる予定です。

改正内容の4は、2021年3月31日以後に終了する事業年度に係る計算書類および連結計算書類について適用し、同日前に終了する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるものとされる予定です。ただし、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係るものについては、早期適用することができるものとされる予定です。

(参考)

このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。

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