「企業結合に関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第62号)および「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」(企業会計基準適用指針公開草案第62号)の公表(ASBJ)

2018-08-23

日本基準のトピックス 第360号

主旨

  • 2018年8月21日、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)は、企業会計基準公開草案第62号「企業結合に関する会計基準(案)」および企業会計基準適用指針公開草案第62号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」(以下、合わせて「本公開草案」という。)を公表しました。コメント募集期限は、2018年10月22日です。
  • 本公開草案は、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(以下、「企業結合会計基準」という。)に係る条件付取得対価に関連して対価の一部が返還される場合の取扱いを明らかにすることを目的として公表されたものです。
  • また、合わせて企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」(以下「事業分離等会計基準」という。)と企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下「結合分離適用指針」という。)の記載内容の整合性を図るための改正を行っています。
  • 適用時期については、2019年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される組織再編から将来にわたって適用することが提案されています。

原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。

https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2018/2018-0821.html

経緯

検討の背景

2013年12月の第277回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、企業結合会計基準に係る条件付取得対価に関連して対価の一部が返還される場合の取扱いについて検討を求める提言がなされました。

また、2017年3月の第357回企業会計基準委員会において、基準諮問会議より、事業分離等会計基準と結合分離適用指針の記載内容の相違について、当該適用指針の改正時に対応を図ることを依頼されました。

これを受けて、ASBJにおいては企業結合会計基準に係る条件付取得対価に関する検討および事業分離等会計基準と結合分離適用指針の記載内容の相違に関する検討を行うこととなり、2018年8月21日付で本公開草案が公表されています。

主な内容

本公開草案では、以下の項目について改正が提案されています。

(1)条件付取得対価の定義

条件付取得対価の定義に、企業結合契約締結後の将来の特定の事象または取引の結果に依存して対価が返還される場合を含め、以下の通りとしています。

条件付取得対価とは、企業結合契約において定められるものであって、企業結合契約締結後の将来の特定の事象または取引の結果に依存して、企業結合日後に追加的に交付される若しくは引き渡されるまたは返還される取得対価をいう。

(2)対価が返還される条件付取得対価の会計処理

対価が返還される条件付取得対価についても、対価を追加的に交付または引渡しを行う条件付取得対価と基本的に同様の会計処理とすることとし、以下の通り定めています。

条件付取得対価が企業結合契約締結後の将来の業績に依存する場合において、対価の一部が返還されるときには、条件付取得対価の返還が確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、返還される対価の金額を取得原価から減額するとともに、企業結合時ののれんまたは負ののれんの金額を再計算し、再計算されたのれんの未償却残高が当初ののれんの未償却残高より小さいときは、のれんを減額する。減額されたのれんの金額と返還された対価の金額との差額は損益として処理する。

(3)結合分離適用指針の記載内容の改正

  • 結合当事企業の株主に係る会計処理に関する結合分離適用指針の記載について、事業分離等会計基準と記載内容の整合性を図るための改正を行っています。
  • 分割型会社分割が非適格組織再編となり、分割期日が分離元企業の期首である場合の分離元企業における税効果会計の取扱いについて、平成22年度税制改正において分割型会社分割のみなし事業年度が廃止されていることから、関連する定めを削除しています。

適用時期等

2019年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される組織再編から適用することが提案されています。

なお、本公開草案の適用前に行われた企業結合および事業分離等の会計処理の従前の取扱いについては、本公開草案の適用後においても継続することとし、本公開草案の適用日における会計処理の見直しおよび遡及的な処理は行わないことが提案されています。

このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。