収益認識基準の公表に伴う「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表(金融庁)

2018-04-18

日本基準のトピックス 第355号

主旨

  • 2018年4月13日、金融庁は「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等(以下、「本改正案」)を公表しました。コメント期限は2018年5月12日です。
  • 本改正案は、企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)による企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」等(以下、「収益認識基準等」)の公表を受けて、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等について所要の改正を行うものです。
  • 本改正案は、公布の日から施行される予定です。

原文については、金融庁のウェブサイトをご覧ください。

https://www.fsa.go.jp/news/30/sonota/20180413-2.html

改正対象

本改正案による改正の対象となる規則等(以下、「財務諸表等規則等」)は以下のとおりです。

  • 財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)
  • 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(連結財務諸表規則)
  • 中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間財務諸表等規則)
  • 中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(中間連結財務諸表規則)
  • 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)
  • 「連結財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(連結財務諸表等規則ガイドライン)
  • 「中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(中間財務諸表等規則ガイドライン)
  • 「中間連結財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(中間連結財務諸表等規則ガイドライン)
  • 「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(四半期財務諸表等規則ガイドライン)
  • 「四半期連結財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(四半期連結財務諸表等規則ガイドライン)

主な改正内容

収益認識基準等は、2021年4月1日以後開始する連結財務諸表及び事業年度の期首から適用されます(早期適用も可能)。この公表を受けて、財務諸表等規則等の改正が、主に、以下の(1)から(4)のように提案されています。

なお、収益認識基準等では表示科目の取扱いについて、注記事項とあわせて、収益認識基準が適用される時までに検討することとされています。また、収益認識基準等を早期適用する場合は、現行実務で用いられている売上高、売上収益、営業収益等の科目を継続して用いることとされています。

(1)収益認識に関する注記事項

顧客との契約から生じる収益について、以下の事項を注記することが提案されています。

  • 企業の主要な事業における主な履行義務の内容
  • 企業が当該履行義務に関する収益を認識する通常の時点

(2)売上高等の表示方法

表示科目について以下のように改正することが提案されています。

表示科目

改正案における表示科目の内容

売上高

  • 売上高は、売上高を示す名称を付した科目をもって掲記しなければならない
  • 売上高については、各企業の実態に応じ、適切な名称を付すことに留意する

総売上高

(削除)

売上値引及び戻り高

(削除)

仕入値引

仕入値引とは、仕入品の量目不足、品質不良、破損等の理由により代価から控除される額をいい、代金支払期日前の支払に対する買掛金の一部免除等の仕入割引と区別するものとする。なお、一定期間に多額または多量の取引をした得意先に対する仕入代金の返戻額等の仕入割戻は、仕入値引に準じて取扱うものとする

売上割引

(営業外費用)

代金支払期日前の支払に対する売掛金の一部免除等をいう

(3)工事契約及び受注制作のソフトウェア

収益認識基準の適用に伴い、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」等および実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」が廃止されます。そのため、工事契約は収益認識基準の枠内で取り扱うとともに、受注制作のソフトウェアは工事契約に準じて取り扱うことが提案されています。

(4)削除された規定

収益認識基準の適用に伴い、同一の工事契約に係るたな卸資産および工事損失引当金の相殺表示ならびに割賦販売売上高の表示方法に関する規定を削除することが提案されています。

(参考)

「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等の公表(ASBJ)(日本基準のトピックス351号)

このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。