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2018-02-21
原文については、ASBJのウェブサイトをご覧ください。
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/accounting_standards/y2018/2018-0216.html
2013年12月に基準諮問会議より、JICPAにおける税効果会計に関する実務指針についてASBJで審議を行うことが提言され、それを受けて2014年より審議が開始されました。審議の過程で、税効果会計においてはとりわけ繰延税金資産の回収可能性の判断に関する関係者の関心が高いことから、他の論点に先行して繰延税金資産の回収可能性についての議論を行い、2015年に「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号)が公表されました。また、2017年3月には、税効果会計と表裏の関係にあると言える法人税等の会計処理についても整理を図り、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号)が公表されました。
続いて、税効果会計のうち繰延税金資産の回収可能性以外の定めについての議論が進められ、従来のJICPAによる税効果会計に係る一連の実務指針を基本的に踏襲しつつ、一部の論点については見直しを図り、2017年6月に公開草案を公表し、広く意見が求められました。公開草案に寄せられた意見を踏まえ検討が行われ、公開草案の内容の一部を修正した上で本会計基準等の公表に至っています。
ASBJから公表された一連の税効果会計に関連する会計基準および適用指針は次のとおりです。
なお、本会計基準等の公表を受けて、2018年2月16日付でJICPAにより次の実務指針等が廃止され、その他、税効果会計に関する記載が含まれるいくつかの実務指針について改正が公表されています。
上述のとおり、本会計基準等では、基本的には従来の税効果会計に係る一連の実務指針を踏襲しつつも、以下の点については見直しおよび追加を行っています。
従来、個別財務諸表における子会社株式または関連会社株式に係る将来加算一時差異については、繰延税金負債を計上するものとされてきました。
一方で、連結財務諸表における子会社または関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異については、所定の要件を満たす場合には繰延税金負債を計上しないとされていることから、このような場合における個別財務諸表と連結財務諸表との取扱いの整合性に関して議論がされてきました。
議論の結果、個別財務諸表においても、連結財務諸表における将来加算一時差異の取扱いと同様、所定の要件を満たす場合には繰延税金負債を計上しないこととされています。
従来、回収可能性適用指針で示す(分類1)に該当する企業においては、将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性があるものとされてきました。
しかしながら、完全支配関係にある国内の子会社株式の評価損に係る一時差異について、企業が当該子会社株式を保有し続ける場合等、将来減算一時差異が解消されて税務上の損金に算入される可能性が低い場合が存在します。
そのようなときには、当該将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性はないと判断することが適切であると考えられることが明確化されています。
従来、繰延税金資産および繰延税金負債については貸借対照表上、その項目に関連した資産・負債の分類に基づいて流動項目と固定項目に区分して貸借対照表上表示されていましたが、税効果会計基準一部改正では、繰延税金資産は固定資産の「投資その他の資産」の区分に、繰延税金負債は固定負債の区分に、それぞれ表示することとされています。
以下の項目について注記事項を追加することとされています。なお、連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における注記事項は一部不要とされています。
項目 |
注記内容 |
個別財務諸表での取扱い |
評価性引当額の内訳に関する事項 |
評価性引当額の内訳に関する数値情報 評価性引当額の合計を、税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額と将来減算一時差異等に係る評価性引当額に区分 |
要 |
評価性引当額の内訳に関する定性的な情報 評価性引当額に重要な変動が生じている場合の変動の主な内容 |
不要 |
|
税務上の繰越欠損金に関する事項 |
税務上の繰越欠損金に関する繰越期限別の数値情報 ・税務上の繰越欠損金の額に納税主体ごとの法定実効税率を乗じた額 ・税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額 ・税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の額 |
不要 |
税務上の繰越欠損金に関する定性的な情報 税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由 |
不要 |
本会計基準等の開発過程においては、未実現利益の消去に係る税効果会計の取扱いについての見直しの可否について検討を行ったものの、最終的に見直しを行わず、従来どおり「繰延法」が採用されています(税効果適用指針第130項から第136項)。
また、連結納税制度を新たに適用する場合における連結納税制度移行直前の繰延税金資産の回収可能性判定においては連結納税後を前提とした将来の課税所得を基礎として判定を行うこととされている一方、企業結合直前の会計処理においては、企業結合前を前提とした将来の課税所得を基礎としてスケジューリングを行うこととされており、首尾一貫していないのではないかとの指摘がされたことから、両者の取扱いを合致させることも検討してきました。結果としては、それぞれの会計基準の取扱いは見直さないこととなっています。
税効果会計基準一部改正、税効果適用指針および回収可能性適用指針は2018年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から適用することとされています。ただし、表示および開示に関する改正については2018年3月31日以後最初に終了する事業年度の年度末に係る連結財務諸表および財務諸表から適用することが認められています。
また、中間税効果適用指針については2018年4月1日以後開始する中間連結会計期間および中間会計期間の期首から適用することとされています。
なお、これらの一連の本会計基準等の適用について適用初年度は以下のように取り扱われます。
|
会計方針 の変更 |
表示方法 の変更 |
遡及処理 |
(a)個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い |
○ |
|
○ |
(b)(分類1)に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い |
○ |
|
○ |
(c)貸借対照表における表示 |
|
○ |
○ |
(d)注記事項 |
|
○ |
○※ |
※今回追加された注記事項については適用初年度の比較情報に記載しないことができる。
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公表(日本基準のトピックス第294号)
このニュースレターは、概略的な内容を説明する目的で作成しています。この情報が個々のケースにそのまま適用できるとは限りません。したがいまして、具体的な決定を下される前に、PwCあらた有限責任監査法人の担当者にご確認されることをお勧めします。