In Brief:英国FRCが「取締役会の後継者計画」に関する討議資料を公表

 

コーポレートガバナンス・トピックス


PwCあらた監査法人
コーポレートガバナンス・コード導入支援チーム
Centre for Corporate Governance in Japan

 

I. 何があったのか

2015年10月27日付で英国財務報告評議会(FRC)が「取締役会の後継者計画」に関する討議資料[1]を公表し、2016年1月29日まで意見募集をしています。この討議資料は、次の6つの問題意識に対する検討から成り立ち、英国上場企業にとって取締役会が有効であり続けるためには高品質な後継者計画の存在が必須であるという考えにもとづき、広く関係者からの意見を募集するものです。

  • 事業戦略遂行と企業文化の維持にとって有効な取締役会の後継者計画がいかに重要であるか
  • 指名委員会の役割
  • 取締役会評価が高品質な後継者計画のために果たす役割
  • 企業内外からの人材供給「パイプライン」(業務執行取締役および非業務執行取締役候補者の供給源の識別)
  • 多様性確保
  • 機関投資家の役割

II. なぜこれが重要なのか

日本のコーポレートガバナンス・コードの補充原則4-1(3)は、「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)について適切に監督を行うべきである」としています。

後継者の計画は、サクセッションプラン(succession plan)と言われ、英国のコーポレートガバナンス・コードでは、取締役および経営陣幹部候補の指名に際して透明性の高いプロセスが存在することが要求されると同時に、外部コンサルタントを利用した候補者探しをしている場合には、当該コンサルタント名と会社との利害関係の有無等について年次報告書において開示することが要求されています[2]。実際に、英国上場会社の年次報告書では、利用している外部人材コンサルタント会社の名称に加え、かなり具体的な人材サーチ内容を開示している例が見受けられます。

日本における指名委員会等設置会社においては指名委員会が株主総会における取締役選解任の議案決定権を有し、監査等委員会設置会社においては監査等委員が取締役の指名・報酬についての意見陳述権を有するという会社法の規律の中で、後継者計画について日本企業が対外的に具体的な開示をする実務は現時点では稀なことかもしれませんが、コーポレートガバナンス・コードの適用開始とともに、より透明性の高いCEO等の選定プロセスを整備し対外的に説明責任を果たす上で、英国FRCの取組みは参考になると考えられます。

III. 次のステップ

当該討議資料に対する意見募集は、2016年1月29日に締め切られます。寄せられた意見の概要や、それらに対するFRCの対応について、PwCあらた監査法人では引き続き情報を提供する予定です。

お問い合わせ

PwCあらた監査法人
コーポレートガバナンス・コード導入支援チーム
Centre for Corporate Governance in Japan
aarata.cg@pwc.jp.com

FRCとは

英国財務報告評議会(Financial Reporting Council:FRC)は、英国のコーポレートガバナンス・コードおよびスチュワードシップ・コードの策定、英国における会計・監査等の基準を策定するとともにそれらの監督を行う機関です。詳細は、ウェブサイトをご参照ください。

FRCウェブサイトへ

 

注記

[1] Financial Reporting Council, "UK Board Succession Planning", October 2015.

[2] The UK Corporate Governance Code(September 2014), B.2.4.を参照。

 

※法人名・役職などは掲載当時のものです。

主要メンバー

小林 昭夫

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