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2022-05-09
2022年2月1日、財務相は、2022-23年度連邦予算(2022年度予算)を公表した。議会両院での可決、および大統領の承認により発効見込みである。外国投資家や多国籍企業に影響がある改正には、以下が含まれる。
法人、有限責任パートナーシップ、ファーム(firms)の税率 - 所得税率(課徴金および健康教育目的税を含む)は、最低代替税および代替ミニマム税率を含め、変更はない。
長期キャピタルゲインの課徴金税率引下げ - 現在、個人および法人以外の事業体に適用される課徴金税率は、所得に応じ0%から37%である。特定所得(インド上場株の売却)に限り、課徴金税率15%の上限があるが、本予算では、当該上限を、すべての長期資本資産の売却に適用することを提案している。
外国子会社からの受取配当金に対する優遇税率の廃止 - 現在、インド法人が受領する、特定外国法人への投資に係る受取配当は、15%の優遇税率で課税されている。また、インド法人は、受取配当をさらに分配した場合、一定の条件下で控除可能である。本予算では、当該優遇税率の廃止が提案されており、改正後は、外国配当は、通常の法人税率で課税されよう(さらなる分配に係る控除は引き続き適用)。
製造活動とスタートアップに対する税恩典 - 新規製造会社が製造または生産を開始し、優遇税率(15%+課徴金および健康教育目的税)を申請できる最終期限は1年延長され、2024年3月31日までとなろう。さらに、タックス・ホリデーの適用を受けられるスタートアップの設立期限も1年延長され、2023年3月31日までとなろう。
非対面調査/訴訟 - 本予算では、プロセス全体の合理化、および運用上の困難や実施上の懸念への対処のため、非対面調査に関する現行規定の置き換えが提案されている。移転価格にも非対面調査が実施されよう(2024年3月31日までに手続きを公表見込み)。
訴訟の削減 - 本予算では、訴訟削減および管理改善を目的として、所轄高裁や最高裁で同一の法律問題(当該納税者自身や他の納税者のものを含む)が係争中の場合、税務当局による控訴申請の延期を提案している。
修正申告書の提出 - 納税者は、指定された期限を越えて、所得税申告書の提出/修正ができなかった。自主的タックスコンプライアンスと修正申告を促すため、本予算では、未開示所得への追徴税の納付を条件に、事業年度末から3年以内の納税者による修正申告の容認を提案している。修正申告書の提出時期に応じて、追徴税の25%または50%を追加納付することとなろう。ただし、当該事業年度の当初申告と比較して、税還付または損失(または税負担の軽減または還付増)になるような場合、修正申告書は提出できない。また、当該事業年度について税務調査を受けている場合、修正申告できない。
事業再編に係る税務調査 - 本予算では、事業再編(合併や分割など)中に前任者(譲渡人)に対して行われた税務調査やその他の税務手続きは、後継者(存続会社)に対して行われたものとみなすことを提案している。さらに、本予算では、後継者が連結事業体(事業再編後)の修正申告を、一定期間内に行うことも提案している。
源泉税の改正 - 税法上、納税者が事業の過程で利用した恩典/役得の価値は、事業所得として課税される。本予算では、これらの価値(現金/現物)に対し10%の源泉税を課すことを提案しており、インド居住者にこれらの恩典などを供与する者に対して源泉徴収を求めている。
グロスアップ取決めにおける源泉税還付 - 本予算では、グロスアップ取決めにより、税金を控除する必要がないのに税金を控除した場合、所轄税務当局に税還付を申請できると規定する法律の新条項が提案されている。さらに、本申請に対して下された指令は、結果が不利なものであった場合、上訴できることとなろう。
所得税に係る健康教育目的税の控除否認 - インドの様々な裁判所では、これまで、法人所得税に課される健康教育目的税(税額と適用賦課金の4%)の事業控除を認めていた。本予算では、このような健康教育目的税は事業控除が認められないことを遡及的に明確にすることが提案されている。
のれんの税務上の資産区分からの除外に係る明確化 - 2021年度予算では、税務上の減価償却を申請するための無形資産の定義から、のれんが除外された。本予算では、税務上の資産区分からののれんの除外は譲渡とみなされる旨の明確化が規定される。本明確化は、残りの無形資産区分の税務上の減価償却の計算に関連する。
仮想デジタル資産への課税 - 本予算では、仮想デジタル資産(暗号通貨や非代替性トークンなどを含む)により稼得される所得に関する税制が導入される。本予算では、仮想デジタル資産の譲渡について、保有期間にかかわらず30%の税率で課税することを提案しており、(取得費以外の)費用に関する控除は認めないとしている。デジタル資産の贈与は、受贈者で課税されよう。さらに、デジタル資産の譲渡損失は、他の所得と相殺できない。さらに、特定のケースでデジタル資産の譲渡に対する1%の源泉税規定も提案されている。
企業の早期撤退のための仕組みの構築 - 財務相は、企業の自主的な清算を促進し、迅速化するための仕組みの構築を提案した。これにより、2年かかっていたスケジュールが、約半年に短縮される見込みである。また、破綻処理プロセスの有効性を高め、クロスボーダーの破綻処理を促進するため、倒産・破産法に必要な改正が行われよう。
国際金融サービスセンター(IFSC)の優遇措置 - 過去数年間、インドはIFSCを金融サービス分野の世界的な拠点とするため、IFSCに立地するユニットにいくつかの税制優遇措置を提供してきた。本予算では、オフショア・デリバティブ商品、またはオフショア・バンキング・ユニットが発行する店頭デリバティブからの非居住者の所得、船舶リースに係るロイヤルティと利息からの所得、IFSCでのポートフォリオ管理サービスから受け取る所得について、特定の条件下で、免税を提案している。
GST 月次申告の提出期限 - 本予算では、非居住者である課税対象者のGST月次申告の提出期限を毎月13日に繰り上げることが提案されている(現在は、暦月の20日が提出期限)。
インプット税額控除(ITC) - 本予算では、GST諸法の下でITCを適用する際に追加的な制限を課すことを提案しており、納税者に追加のコンプライアンスを求めている。
メイク・イン・インドと持続可能な成長にフォーカス - 本予算では、メイク・イン・インド(Make-in-India)を促進するため、免税/譲許の段階的な見直しと撤廃が提案されている。従って、関税構造の合理化は継続され、350近い免税措置の撤廃が提案されている。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」2022年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年2月18日、2022年度(2022年4月から2023年3月)予算が公表された。法人税について、BEPS 2.0関連で改正が必要になるとしている。第1の柱について、シンガポールは国内市場が小さく、多国籍企業(MNE)による活動規模が大きいため、第1の柱の下では税収を失う。第2の柱について、シンガポールは、第2の柱のGloBEルールに対応した税制改正を行う予定であり、ミニマム実効税率(METR)(トップアップ税)導入見込みである。METRでは、MNEグループのシンガポールでの実効税率を15%まで上乗せする。国際的な動向を注意深く見つつ、IRAS(内国歳入庁)でさらに検討し、METRの設計について業界とも協議する。
出典: Singapore Ministry of Finance
「月刊 国際税務」2022年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年2月23日、2022/23年度予算が公表された。利得税について、法人(8.25%/16.5%)、法人化されていない事業(7.5%/15%)の税率変更はない(適格な同族投資管理事業体への税制優遇措置や、海運企業への8.25%の税制優遇措置の提案がある)。新たな国際税務スタンダード(BEPS 2.0)について、グローバルの最低実効税率は、香港内の中小企業には影響がないとしている。政府は、BEPS2.0の実施に関し、影響を受ける多国籍企業と意見交換を行っており、その実施に際しては、香港の税制の簡素性、確実性、透明性といったメリットや、テリトリアル課税原則を維持し、MNEのコンプライアンス負担を最小にすることを再確認している。国際的なコンセンサスに従ってグローバル最低税率やその他の関連要件を実施するため、本年下半期に立法案を提出予定である。また、香港の課税権確保のため、実効税率がグローバル最低税率の15%に達するよう、2024-25年賦課年度(year of assessment)から、上述のMNEに対し、国内ミニマムトップアップ税の導入を検討する予定である。国内ミニマムトップアップ税は、概算で年間約150億香港ドルが関係すると見込まれる。
出典:Hong Kong government / PwC Hong Kong
「月刊 国際税務」2022年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年2月4日、OECDは、第1の柱の利益Aにおけるネクサスとレベニューソーシングに関するモデルルール案を公表した(2022年2月18日までコメント募集)。
第1の柱では、特定の多国籍企業(MNE)の連結利得のうち、一定の割合(利益A)を市場国・地域(売上が発生する場所)に再配分する。第1の柱は、利益率10%超、かつグローバル売上2百億ユーロ超のMNEに適用される。市場国・地域に再配分される利得は、売上の10%を超える税引き前利得の25%である。各国・地域が、新しい課税権の国内法での実施に向け、必要に応じて利用できる雛形(テンプレート)を提供するため、利益Aの全側面についてモデルルールが策定される。本モデルルール案は、利害関係者からのコメントを受けて修正され、包摂的枠組み(IF)による承認のため、多国間条約(MLC)およびその説明文書に取り込まれる(2022年半ばまでにMLC署名のために開放)予定である。今回公表されたモデルルール案は、ネクサスとレベニューソーシングが対象である。レベニューソーシングの結果は、ネクサス条件充足の判断に用いられるため、関連性がある。課税ベースや対象事業体(surrendering and ceding entities)に関するモデルルール案は、別途公表される。
新しい特別目的のネクサスルールは、各国・地域が、利益Aの下で利益再配分の適格性を有するかどうかを決定するためにのみ適用され、他の税または税目的以外のためのネクサスを変更しない。対象グループ(利益Aの対象MNE)が、各国・地域において、利益Aのネクサステストを充足するか判断するため、利益A目的で売上が発生する国・地域を特定するレベニューソーシングルールを適用することとなる。昨年のIFで、年間GDPが4百億ユーロ以上の国・地域は100万ユーロ、4百億ユーロ未満の国・地域は25万ユーロがネクサスの閾値となることが合意されている(MLCで、為替変動に対する合意アプローチを概説見込み)。
レベニューソーシングルールでは、対象グループが入手可能な情報を用い、様々な指標に基づいて市場国・地域を特定する方法、あるいはバックストップが必要な場合、市場国・地域を、合理的推定が見込まれる配分キーに基づいて特定する方法を規定する(特に、第三者による販売取決め、部品、特定サービス、無形財産について、漏れがないようにする)。本ルールには、ソーシングのアプローチを明示する法律条文と、対象となる売上の種類に応じたレベニューソーシング原則の適用に関する詳細ルールを定めた別表が含まれる(いずれも、拘束力あり)。
売上は、その種類に応じ、取引毎にソーシングを行わなければならない。取引とは、所得を生じる各項目(例えば、個々の在庫項目やオンライン広告のクリック)であり、契約書や請求書単位ではない(各市場国・地域の売上に比例配分、地域価格差も考慮)。本モデルルール案では、8つの異なるタイプの売上区分に対するソーシングルールが含まれている。複数の売上区分に該当する取引は、その優位な性質に従ってソーシングされる。対象MNEグループは、すべての売上のソーシングを行わなければならず、対象MNEグループ固有の事実と状況に基づき、信頼できる方法で(信頼できる指標または配分キーを使用して)行わなければならない。本モデルルール案では、最善の努力をしても、対象グループがすべての取引について源泉を分離できない可能性(最終売上、部品、B2Bサービス等)を認識しており、そのような場合、配分キーが規定される。部品の販売を含む取引の売上ソーシングについては、部品が組み込まれた完成品の最終顧客の引渡場所とすることを求めている(信頼できる指標を用いても判断できない場合、グローバル配分キー(Global Allocation Key)を使用)。
コンプライアンスへのアプローチは、個々の取引レベルではなく、システムレベルとなる(内部統制の枠組みを示す必要)。
出典:PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2022年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
2022年2月18日、OECDは、第1の柱の利益Aに係る課税ベースの算定に関するモデルルール案を公表した(2022年3月4日までコメント募集)。本文書は第1の柱モデルルールに係る2番目の公表協議文書であるが、包摂的枠組み(IF)はこれらのルール案に同意しておらず、現時点では、OECD事務局の作業によるものとなっている(コンサルテーションプロセスとは関係なく、変更可能性あり)。また、IFメンバーは、GloBEルールの採用を求められず、共通アプローチの位置づけとなる(ミニマムスタンダードではない)。
課税ベース算定ルールの目的は、対象となる多国籍企業(対象グループ)の利得の一部を市場国・地域に再配分するための利益Aの算定に使用される利得(または損失)を算定することである。本ルールでは、利得(または損失)は、グループ連結の監査済財務諸表に基づいて計算され、限定的な税務調整を行う(第2の柱における調整と可能な限り一致させる)。また、本ルールには、繰越欠損金に関する規定も含まれている(詳細は、別途公表)。本ルールには、利益Aでセグメンテーションの対象となるグループに係る課税ベースのルールは含まれていない(別途公表)。
利益Aの課税ベースは、対象グループの連結財務諸表をもとに、特定の税務調整と修正再表示の調整を行い、純損失を控除して得られる、調整後税引前利得である。
財務会計上の利得(または損失)は、その他の包括利益を除く、対象グループの全所得および費用を含む最終親事業体(UPE)の連結財務諸表上の利得または損失である。連結財務諸表は、適格財務会計基準(QFAS)に基づきUPEが作成する監査済財務諸表である。QFASとは、IFRSおよび、以下の国・地域の同等財務会計基準である(将来、適用範囲の閾値が引き下げられた場合、他の国のGAAPを含めることも検討可)。
オーストラリア、日本、ロシア、ブラジル、メキシコ、シンガポール、カナダ、ニュージーランド、スイス、EU加盟国、中国、米国、欧州経済領域加盟国、インド、英国、香港、韓国
税務調整
本モデルルール案の第2条(a)には、財務会計上の利得(または損失)を計算する際に必要な税務調整の概要が示されている。以下の所得や控除費用項目を除外する必要があるとしている。
- 税金費用(又は税金収入)、受取配当、持分利益(または損失)、政策的に認められない費用(賄賂、キックバック、罰金、ペナルティー等)
持分利益(または損失)には、所有者持分の処分が含まれる。資本持分の処分に伴う損益の取り扱いはIFで議論中としているが、現時点では、資産持分の処分に伴う損益は課税ベースに含まれる一方、資本持分の処分に伴う損益は課税ベースから除外される(脚注12では、資本持分が支配持分である場合、資本持分の処分損益を課税ベースから除外しない等のルール見直しが必要になる可能性もあるとしている)。
修正再表示調整
モデルルール案の第2条(b)では、財務会計上の利得(または損失)の計算における修正再表示の取り扱いを概説している。過年度の会計利益の修正再表示は、これが識別され認識された期間の課税ベースに反映されよう(上限あり)。
利益Aの再配分を経済的利得に限定するため、課税ベースの算定には、繰越欠損金のルールも適用される。利益A導入前に発生した純損失や、特定の事業再編に伴って移転した損失など、いくつかのケースで特定のルールが適用される。繰越期間について、5年から15年の間との記載もあるが、期間の特定はない。なお、2020年10月の第1の柱のブループリントにあったプロフィット・ショートフォール(グループまたはセグメントの利得が、利益率の閾値を下回る場合)のアプローチは、本モデルルールには含まれていない。
本モデルルールは、事務局の作業文書として公表されたものであり、IFメンバーの最終的な見解を反映するものではなく、変更の可能性がある(例えば、規制対象金融サービスに係る適用除外の範囲)。ルールの実務的な適用や定義は、コメンタリーでカバーされるとしている。
出典: PwC, Tax Policy Alert
「月刊 国際税務」2022年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
ロシアとオランダの間の租税条約は、2022年1月1日をもって終了した。これにより、ロシアは、オランダへの配当、利子、およびロイヤルティの支払いに(より高い)源泉税を課すことができる。オランダは資本参加免除が適用されているため、オランダでは源泉税の税額控除ができず、より高い税負担につながる可能性がある。オランダの資本参加免除が適用されない場合でも、ロシアがOECDの発展途上国としての指定がなされていないことを前提とすると、ユニラテラルのオランダ法令に基づいて、ロシアの源泉税はオランダで控除されない。
さらに、本租税条約の終了は、オランダの配当源泉税(DWHT)免税の適用に影響を及ぼす。オランダのDWHT免税を適用するには、配当条項を含む租税条約を締結する必要があるため、ロシアの事業体に支払われる配当には免税が適用されなくなる可能性がある(資本関係の上位にロシアの事業体しかない場合)。そのため、これらの配当は15%のオランダのDWHTの対象になることとなる。
なお、本租税条約では、建設工事現場又は建設若しくは据付けの工事は、それが12か月超続く場合にのみ、ロシアの恒久的施設(PE)を構成するとされていた。本租税条約の終了により、建設工事現場又は建設若しくは据付けの工事は、ロシアで直ちにPEを構成することになる(プロジェクトの開始から、ロシアでのコンプライアンス義務につながる可能性がある)。ただし、ロシアのPEの利得は、オランダ国内法で免除される。
出典: PwC, International Tax News
「月刊 国際税務」2022年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修
※発行元の許諾を得て掲載しています。無断複製・転載はお控えください。
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