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2020-04-05
2020年2月1日、財務相は、政府の2020年度連邦予算(Union Budget)を提示した。本予算には、2024年までにインドを5兆米ドルの経済にすることを狙いとする措置が含まれる。本予算は、3原則 – 向上心のある(aspirational)インド、経済発展、および福祉社会(caring society) - を中心に起草され、すべての国民の「生活のしやすさ(ease of living)」にフォーカスしている。予想通り、本予算は、農業セクター、教育・技能、インフラ、地方経済(rural economy)、および気候変動にフォーカスしている。以前制定された改正措置に続いて、本予算の直接税提案では、成長を促し、税体系を簡素化し、コンプライアンス負担を軽減し、訴訟を減らすことにフォーカスしている。主要な税提案には、低所得の個人納税者の税率軽減、配当分配税(DDT)の廃止、利得帰属に係るセーフハーバーと事前確認(APA)の導入、および法人税訴訟に係る利子等免除(amnesty)が含まれる。本予算のうち、外国投資家と多国籍企業に影響するいくつかの主要提案は、以下の通りである。これらの提案は、本予算が議会両院を通過し、大統領の承認を得た後に発効することとなる。
法人(companies)、LLPs、および企業(firms)の税率
本予算では、既存税率の改正提案はない。インドは、最近の改正(2019年9月)により税率を引き下げており、2019年4月1日から適用されている。
個人の新税制
本予算では、個人納税者が、特定の免除(exemptions)、損失、または控除(deductions)を申請しない場合に、新税率で納税する選択肢が提案されている。納税者が、控除または免除を申請するつもりである場合、既存の税率と区分(slabs)が引き続き適用されよう。本予算では、個人の税務上の居住者要件について、特定の改正も提案されている。
DDTの廃止、および株主が受領する配当への課税
現在、インド内国法人の分配する配当はDDTの対象になり、分配するインド法人が納税する。この配当は、非居住者株主の側では、所得税免除になっている。本予算では、株主が受領する配当への当該適用税率での課税を提案している。これに応じて、インドの内国法人は、所得分配に係る追加納税は求められないであろう。本予算では、この配当所得の20%に相当する利子費用控除も提案している。法人は、支払い配当について、居住者株主に対しては10%、非居住者株主に対しては20%(租税条約恩典の対象)の税率での源泉徴収が求められる。なお、本税率には、適用される付加税(surcharge and cess)は含まれていない。
非居住者に支払われる利子の源泉税率の軽減
2020年7月1日までに発行される、融資契約または長期インフラ債での外貨建て借り入れ、またはルピー建て債(RDBs)に関して、インド法人または事業信託(business trust)が非居住者に支払う利子に対し、5%の軽減源泉税率が課される。
本予算では、低コストの外国借り入れを奨励するため、以下を提案している。
本税率には、適用される付加税(surcharge and cess)は含まれていない。
外国機関投資家(FIIs)および適格外国投資家(QFIs)に支払われる利子の軽減源泉税率
政府証券とインド法人のRDBsに関して、FIIsとQFIsに支払われる利子は、2020年7月1日前までに支払われる利子について、5%の軽減源泉税率の対象になる。さらなる投資を呼び込むため、5%軽減税の対象となる利子の支払い期日は、2023年7月1日に延長されている。さらに、5%の源泉税率は、2023年7月1日までにFII/QFIに支払われる地方債の利子についても適用されよう。なお、本税率には、適用される付加税(surcharge and cess)は含まれていない。
電子商取引(e-commerce)に係る源泉税
本提案では、電子商取引運営者(operator/marketplace entity)のプラットフォーム上での物品・サービスの販売の総額に関して、運営者から電子商取引の参加者(Seller)に支払われる収益に1%の源泉税が課されることとなる。しかしながら、永久アカウント番号(税務登録番号)または固有の識別番号(Aadhaar)を提示しない場合には、対価に5%の源泉税が適用されよう。
ロイヤルティー所得課税
現在、非居住者のロイヤルティー所得は、インドで生じる(accrue or arise)ものとみなされる。ロイヤルティーの定義には、テレビ放送用フィルム/ビデオテープ、またはラジオ放送用テープを含む、あらゆる著作権、文学上、芸術上もしくは学術上の著作物に関する全てまたは何らかの権利の譲渡(ライセンス付与を含む)が含まれる。ロイヤルティーの定義には、映画フィルムの販売、配給(distribution)、または公開は含まれない。本予算では、この定義を修正し、映画フィルムの販売、配給、または公開の対価がロイヤルティーの定義に含まれるよう規定されるであろう。
インドでの事業上のつながり(business connection)
非居住者の所得は、インドでの事業上のつながりから生じる場合、インドで生じるものとみなされる。
本予算では、事業上のつながりがある場合の利得帰属上、インドでの活動範囲は、以下を含むものとみなされると提案されている。
重要な経済的プレゼンス(SEP)規定の整備
G20-OECDのBEPSプロジェクトで現在行われている議論を踏まえて、SEPの適用は2021-22年度まで延期される。
多国間協定(MLI)との調整
インドは、MLIに沿うよう、租税条約の前文を修正し、租税条約は脱税または租税回避を通じた無税または租税の軽減の機会を生じるように適用されてはならない、と改めて規定する。
申告免除
現在、源泉徴収された配当・利子所得のみを稼得する非居住者は、申告書の提出が求められない。本予算では、この申告免除を、総所得が国内のロイヤルティーおよび技術サービスフィー(FTS)のみで、これらの支払いが国内法の税率で源泉徴収された非居住者に拡大するよう提案している。しかしながら、源泉徴収が租税条約の軽減税率に基づく場合、申告書提出要件があろう。
非居住者の恒久的施設(PE)に対する支払利子制限の免除
内国法人または外国法人のPEが国外関連者に支払う利子の損金算入は、年間の利子費用が10百万インドルピー(14万3千米ドル)超の場合、借り手の事業体のEBITDAの30%に制限されている。本予算提案によれば、本規定は、インドで銀行業に従事する非居住者のPEからの借入負債に係る支払利子には適用されないこととなる。
カテゴリーⅠの外国ポートフォリオ投資家(FPI)への投資に係る国外移転規定の免除
現在、非居住者が、2014年証券取引所FPI規則の下でのカテゴリーⅠ/カテゴリーⅡのFPIへの直接/間接の投資を通じて保有するFPIユニットの移転については、国外移転課税規定(overseas taxation provisions)が免除される。本予算では、2019年に公表され、2014年FPI規則にとって代わる新たな2019年FPI規則を考慮して、免除をカテゴリーⅠFPIへの投資に制限するよう、規定の改正を提案している。本予算では、非居住者による2014年FPI規則の下でのカテゴリーⅠおよびカテゴリーⅡのFPIsへの投資について、これらの投資が2019年9月23日前に行われた場合の祖父条項を提案している。
紛争解決パネル(DRP)への異議申し立て
現在、DRPへの異議申し立てができる納税者には、移転価格(TP)調査官からTP更正を受けた外国法人/者だけが含まれる。本予算では、定義上法人とならない非居住者を含めるよう提案している。
法人税利子等免除(「Vivad se Vishwas」)
本予算には、係属中の直接税訴訟の解決に係る提案が含まれる。本提案では、納税者は、争点となっている税額のみの納付が求められよう。さらに、2020年3月31日までに争点に係る税が支払われれば、利子・ペナルティーは完全免除になろう。争点の額の支払いが2020年3月31日後で2020年6月30日以前である場合、一定の追加額の支払いとなる(詳細は今後)。
以上のほか、税務執行の効率化(e-proceedingsの範囲の拡大)、納税者憲章(taxpayer’s charter)の導入提案もある。また、会計報告書(Form 3CEB)の提出およびTP文書の保存の期限を、会計年度終了後の11月30日から10月31日に移す提案をしている一方、税務調査の対象となる法人・者(企業(firm)を含む)の所得申告期限を、9月30日から10月31日に延長することを提案している。TP関連では、APAとセーフハーバー規定が、インドでの事業上のつながり(business connection)に帰属する所得の算定をカバーするよう提案されている。
出典: PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」 2020年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人常任顧問 岡田 至康 監修
2019年12月23日、議会は、法律(Social Solidarity and Productive Reactivation Law)を可決した。一週間後、政府は、いくつかの法律措置を規定するための法令(Decree No. 99/2019)を公表した。本法律では、2018年の法人所得税率引き下げの一時的停止、富裕税(wealth tax)の税率引き上げ、アルゼンチン証券の投資所得に係る一定の税免除の復活、および特定取引の対外支払いに係る新税を含む、関連税制改正を導入する。本法律には、物品・サービスの輸出に係る関税規定、および雇用税の改正が含まれる。
2018年度税制改正では、2018、2019課税年度は35%から30%に、2020年以降はさらに25%に、法人税率の2段階引き下げが導入された。この税率引き下げは、2018、2019年の配当分配に係る7%の源泉税率、2020年以降の13%の源泉税率と相殺とされた。本法律では、25%税率への引き下げを2021年1月1日以後開始年度まで延期する。したがって、2020年も、法人税率30%と配当分配の源泉税率7%が引き続き適用される(インフレ調整の改正あり)。
本法律では、特定金融所得の課税を創設した所得税法Sections 95および96を廃止した。この改正により、2020課税年度以降、以下は所得税の対象にならない。
以上のほか、2019課税年度からの富裕税の税率引き上げ、特定取引の対外支払いに係る30%税率の暫定的新税(「PAIS」)の導入、物品・サービスの輸出に係る関税規定の改正、居住者事業体の現金引き出しに係る金融取引税の0.6%から1.2%への引き上げ、および雇用税(payroll contributions)の改正がある。
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」 2020年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人常任顧問 岡田 至康 監修
法律(STTCL: Special Tax Treatment & Control Law)が既に改正され、2020年1月から、税務当局(NTS)は、納税者が申請するR&D税額控除が適正かどうかを事前に審査・確認する新制度を導入した。事前審査は、申請ベースで利用できる。審査を希望する内国法人は、法人所得税の申告前に、NTS Hometax、郵送または訪問によりNTAに申請しなければならない。審査は、R&D活動に関する技術(technical)およびコストの側面で行われる。事前審査の申請フォーム、R&D活動の報告、R&D支出の明細、その他R&D税額控除の適格性を裏付ける文書が求められる。審査は、原則として、机上審査の形式で行われる。審査を申請した納税者が、その事前審査の結果に基づいて法人所得税申告でR&D税額控除を申請する場合、当該納税者は、申告書の事後検証の対象から外れる。納税者が事前査定の結果と整合しない更正を受ける場合、事前審査での不正確な文書の提出、事実と状況に関する誤り/見落とし、または租税回避が疑われると納税者が認定される場合を除いて、過少課税ベース申告のペナルティーは適用されない。
出典:PwC, Samil Commentary
「月刊 国際税務」 2020年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人常任顧問 岡田 至康 監修
2020年1月10日、最高裁は、オランダ法人から外国法人株主への配当支払いは、いわゆる、「実質持分課税規定(substantial interest taxations rules)」によりその株主のオランダ課税所得を構成する、との判決を下した。裁判所は、本ストラクチャーが濫用的であると結論付けた。
本事件では、オランダ法人(もともとはオランダ保険会社(firm)の持株会社)が、ルクセンブルグの株主X(オランダ法で設立されたが、ルクセンブルグで実質管理される法人)に配当分配を行った。Xは、自由に使える事務所を有しておらず、従業員もおらず、単に様々な法律上・管理上の費用が生じていただけであった。X株は、最終的に1人のスイス人個人が保有していた。配当分配時、当該オランダ法人はすでにその事業(activities)を売却しており、その売却による現金対価のみ有していた(いわゆる、‘キャッシュボックス’法人)。配当分配が、実質持分課税規定でXのオランダ課税所得を構成するためには、以下のいずれも確認されなければならなかった。最高裁によれば、これらのテストは満たすとされた。
a. Xは、スイス人個人のレベルでのオランダ個人所得税または配当税を回避することを主たる目的または主たる目的の一つとして、当該オランダ法人の株式を保有していたこと(主観的条件)。
b. 当該オランダ法人の株式保有は、Xの事業に機能的に帰属(functionally allocated)させられないこと(客観的条件)。
主観的条件について、Xが「間に入る(interposed)」ことがなければ、オランダはスイス人個人の配当分配に課税できたはずである。さらに、事実に基づけば、Xは当該グループ内に関連する機能がなく、経済活動もないことから、様々な欧州司法裁判所(ECJ)事件の文脈での、完全に人為的な取決め(wholly artificial arrangement)になる。客観的条件に関して、最高裁は、分配時に当該オランダ法人は単なる「キャッシュボックス」であり、株主Xの事業に帰属させられないことも考慮した。最高裁は、濫用条件を配当分配時にテストしており、濫用防止規定は継続的テスト(continuous test)であると確認している。
出典:PwC, International Tax News
「月刊 国際税務」 2020年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人常任顧問 岡田 至康 監修
マサチューセッツ州の最高裁は、最近、コンピューターソフトウェアへのアクセスに係るサブスクリプションの販売関連フィーは、有形動産(tangible personal property)の販売を含むとして、売上税(sales tax)の対象となるとの判決(注)を下した。
(注) [Citrix Systems v. Commissioner of Revenue], Mass. Sup. Ct., No, SJC-12741(2/5/20)
出典:PwC, Tax Insights
「月刊 国際税務」 2020年4月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人常任顧問 岡田 至康 監修
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