
BCP/BCMの潮流とレジリエンス向上のポイント 第5回:BCPやBCMにおける経営資源の洗い出しの進め方
BCP(事業継続計画)やBCM(事業継続マネジメント)、レジリエンスの取組みの要となる「経営資源の洗い出し」について解説します(UNITIS 寄稿)。
2023-03-14
近年、企業理念、とりわけパーパス(Purpose)による経営が注目されている。事業環境の大きな変化を受け、またESG投資とSDGsに代表される社会目標の追求の流れを汲み、自社のあり方を再考する企業が現れている。その結果をふまえ、企業理念を改定し、あるいはパーパスとして策定する企業もある。ことに、パーパスに基づいて経営する企業は成長力が高いとの指摘もあり、「パーパス経営」への投資家の期待も高まっている。
日本企業においても自社の存在意義を自ら問い直し、企業理念改定やパーパス策定に踏み込む企業もある一方、自社の企業理念を開示に反映する動きも顕著になってきた。有価証券報告書データベース「eol」に収録された日本企業(2020年度3124社、2021年度3139社)のうち、有価証券報告書内で「企業理念」「パーパス」ないし「自社の存在意義」について触れた企業は、2020年度は158社、2021年度は228社あった。
企業が企業理念の改定やパーパスの策定に踏み込み、これを公表することは、企業の自己変革意思の表明でもある。その分、投資家や債権者、取引先、コミュニティ等のステークホルダーがその企業により注目する効果をもつ。のみならず、社内のステークホルダーである国内外の役職員の期待に応え、同時に意識改革を迫る効果もある。
こうした点をふまえ、M&A、とりわけ海外M&Aや再生型M&Aを契機として、自社ないしM&A対象企業における企業理念の改定やパーパスの策定に踏み込む企業がある。企業理念やパーパスは企業の意思を表すため、組織変革のタイミングで取り組むことには合理的な理由がある。他方、M&Aの前段階において、M&A対象企業の企業理念の体系と中身を把握しておくことは、当該企業が大切にする価値観や組織風土を理解する助けとなる。
とはいえ、企業理念やパーパスが実践されておらず、策定・改定の取り組みも実効性のないものに留まるケースも少なくない。日本本社の経営陣は企業理念の策定・改定に満足しているとしても、海外拠点の経営陣や、従業員が納得し、満足し、理解し、実践しているかどうかは別である。投資家が企業理念の改定やパーパスの策定を一時的に評価し、株価上昇につながることもある。しかしながら、その効果は必ずしも持続するわけではない。そこで、本稿では、企業理念の性質を整理した上で、一般的な策定・改定プロセス、M&A実務との関連性と留意点を解説する。
企業理念の機能は二つある。第一に、企業理念は組織文化の根底をなす。一般に、組織文化には三つの階層がある。企業理念はその土台となり、役職員や投資家等のステークホルダーが企業の印象を形成する手がかりとなる。文字化された企業理念をみると、その企業が大切にしている価値観を推測することができる。先進的な取り組みと着実な取り組みのどちらを尊重するか、収益目標と社会目標をどのように捉えているか、自社の強みをどうとらえているか、人間関係は大家族主義か個人主義か、などである。こうした企業理念のメッセージは、企業戦略、そしてより具体的で強制力のある社内規程や行動規範に落とし込まれる。
このコンテンツはPwCアドバイザリー合同会社のプロフェッショナルによるM&A情報・データサイトMARR Onlineへの寄稿記事です。詳細はこちらからお読みください(有料)。なお、執筆者の肩書などは執筆時のものです。
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