フィリピンの移転価格調査ガイドライン

2020-02-26

フィリピンの税務当局である内国歳入庁(BIR-BureauofInternalRevenue)は、2019年8月27日に移転価格調査ガイドライン(RAMONo.1-2019)を公表した。フィリピンでは2013年に出された移転価格ガイドライン(RevenueRegulationNo.2-2013)で文書化義務が明記されたものの、移転価格調査に関してのガイドラインはその後長らく公表されておらず、今日に至るまで本格的な移転価格調査が行われていない状況が続いている。

一方で、2016年に就任したドゥテルテ大統領は、フィリピンの脆弱な交通インフラを改善するために「ビルド・ビルド・ビルド(造れ、造れ、造れ)」とよばれる大規模インフラ整備計画を政権の最重要政策と位置付け、その財源を支えるための抜本的な税制改革を現在急ピッチで進めているところである。

このような中、BIRは2019年5月に向こう5ヶ年の戦略計画(2019年~2023年 RMO No.21-2019)を発表し、「移転価格税制に関するBIRアプローチの確立」を優先プログラムの一つとして盛り込んだ。今回の移転価格調査のガイドライン(以下、調査ガイドライン)もその流れの中で出されたものであり、これまで実務的にはほとんど行われていなかったフィリピンの移転価格調査が、これを機に本格化することが予想される。

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「月刊国際税務」2020年1月号 寄稿
PwC税理士法人 国際税務アドバイザリーグループ
パートナー 吉田 愛
PwCフィリピン 日系企業部
エグゼクティブディレクター 東城 健太郎