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全国消費者実態・幸福度調査2020から見えてきた「幸福度が高い人のビジネス的な意味合い」

2021-04-26

2020年12月24日に公開した「全国消費者実態・幸福度調査2020」では、幸福度が高い人の典型的な特徴として、「信じる拠りどころ・自信があり、特定の価値観を有する(楽観的、感謝されることを喜びとするなど)」という「心の持ちよう」が特徴であることを示しました。

図表1 「全国消費者実態・幸福度調査2020」における幸福度要因分析

本論考では、上述の「全国消費者実態・幸福度調査2020」のデータを活用して追加分析を行い、幸福度が高い人は企業にとって、つまり顧客としてどのような特徴があるのかを考察しました。

結論から申し上げると、幸福度が高い顧客は、お金を使うことに積極的であり、新商品・新サービスにも敏感な、いわゆる「優良顧客」です。マーケティングを行う上では、このような幸福度が高い顧客を獲得するのに加え、既存顧客の幸福度を高めて優良顧客化し、顧客の幸福度と企業の経済的価値をWin-Winな関係で互いに上げていくことが、企業が追求すべき姿であると考えます。

顧客の幸せな生活・生き方を叶えるパートナーとして向き合い、自社との関係の中で彼らの幸福度を高めることで長期の関係構築を目指すという「幸福度マーケティング」についての概要をすでに取りまとめているので、必要に応じてご参照いただければと思います。

それでは以下より、幸福度が高い人の購買傾向と、それが企業のビジネスにどのような影響を与え得るのか、具体的な例と共に紹介します。

幸福度が高い人ほど、お金を使うことに積極的

幸福度別にお金の使い方・将来のお金の使い方の願望をアンケートした結果、幸福度が高い人は、幸福度が低い人に比べてよくお金を使う傾向があり、積極的な消費マインドを持つ傾向があることが分かりました。特に「旅行・レジャー」「運動・スポーツ」「家族との交流」などのカテゴリにおいては、幸福度が低いグループに対して、幸福度が高いグループは倍程度、お金を使うことに積極的な姿勢を持っています。

図2 幸福度別の「お金の使い方」の特徴

逆に、「今よりもっとお金を使いたいか、抑えたいと思いますか」という質問項目に対して、幸福度が低いグループは、今よりもお金を使うのを抑えたいと考える人が多く、消極的な姿勢であることも分かりました。

図3 幸福度別の「支出抑制の意向」

幸福度が高い人ほど、新しい物好き(イノベーター・アーリーアダプター)が多い

次に、イノベーター理論*1と幸福度の関係を紹介します。新しい商品・サービスに関する設問において、「新しい商品・サービスに非常に敏感で、とにかく誰よりもいち早く使いたい」(≒イノベーター)「新しい商品・サービスに敏感で、よいと判断したものは積極的に使いたい」(≒アーリーアダプター)と回答した人は、幸福度が高くなるほど増える傾向がありました。つまり、幸福度が高い人はイノベーター・アーリーアダプターといった「新しい物好き」でもあるという傾向が見て取れたのです。

逆に言うと、企業が新商品・サービスを市場に投入する際、消費に積極的で、新しい物好きな「幸福度が高い人」を初期的なターゲットと設定することで、効果的・効率的なマーケティングを実現できる可能性があると言うことができそうです。

図4 幸福度別の「新しい物好き」の割合

幸福度が高い人は、よりよい生活に向けた情報収集や実践をしている

幸福度が高い人は、日常的に、よりよい生活のための情報収集や行動をしている人が多く、自ら積極的に「幸福になるための行動」をしていると言うことができます。逆に、幸福度の低い人は、運動不足や不規則な生活など、一般的に悪いとされる習慣を行う傾向が強い傾向があることが見えてきました。

図5 幸福度別の「習慣」

変化が激しい時代だからこそ、企業は幸福度が高い人に着目すべき

以上のように、幸福度の高低それぞれの特徴をビジネス的な観点で見た時に、幸福度が高い人はお金を使うことに積極的で、新商品・新サービスにも敏感であり、企業にとっては魅力的な存在であることが見えてきました。

私たちは、幸福度の高い人を顧客化すること、ないしは既存顧客の幸福度を高めることは、前述のように、データで語った以上に重要な意味合いがあると考えています。社会環境や消費者マインド、テクノロジーが加速度的に変化・進化する中、商品・サービス開発は、それらをいち早く市場に投入し、顧客の反応を小刻みかつ高速にフィードバックして、商品・サービス改善を高速で行っていくという世界観と化しています。顧客を「収益の源」と見るだけではなく、「共創のパートナー」と見ることの重要性が、これまで以上に高まっていると言えます。その意味で、本調査で明らかになった通り、お金を使うことに積極的かつイノベーター・アーリーアダプターの傾向が強い幸福度の高い顧客層を自社の顧客基盤とすることは、商品・サービスの早期購入と改善につながり、結果的に自社の商品・サービス開発力を高め、自社の競争優位性にもつながり得ます。

また、イノベーター理論で言うところの「レイトマジョリティ」以降の「購買に失敗したくはない多数派」は、SNSや口コミサイトのレビューといった「先に買った人の意見」を見て購買する傾向が強まっているため、イノベーター・アーリーアダプターからいち早く高い評価を獲得することは、拡販上も重要成功要因(KSF:Key Success Factor)になりつつあります。

このように、幸福度が高い顧客層が企業を「自分たちの幸せな生活・生き方を叶えるパートナー」と位置付け、同時に企業は幸福度が高い顧客を「共創のパートナー」と位置付け、長期的にWin-Winな関係を築くこと、つまり私たちが提唱する「幸福度マーケティング」を実現することが、新たな時代における顧客と企業の関係性の究極形の一つと言えるのではないでしょうか。

*1:新しい商品やサービス、ライフスタイルや考え方などが社会に浸透する過程を5つのグループ(イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード)に分類したマーケティング理論。

執筆者

髙木 健一

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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津留見 和久

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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大内 悠路

シニアアソシエイト, PwCコンサルティング合同会社

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