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2018-11-16
企業のサステナビリティ戦略を検討する上で、再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)の重要度が増しています。パリ協定発効以降、企業に対する気候変動対策の要請は高まっており、ESG投資などの形で具体的な影響も出てきました。再エネを利用することは、温室効果ガス削減に寄与するだけでなく、発電コストが従来よりも大きく低下してきていることなどから、コスト戦略上も有望な選択肢となりつつあります。また、調達電力を100%再エネとする目標を掲げる企業のイニシアチブである「RE100」が登場し、再エネ調達を自社戦略に位置付ける企業にとってはアピールの場を得ただけでなく、企業間ネットワークを拡大することで社会に対して影響力を発揮できる枠組みが整いつつあります。
このような潮流は一部の国にとどまらず、グローバルで広がりを見せています。日本も例外ではありません。日本の再エネはこれまでFIT制度(固定価格買取制度)のもと、設備導入量を拡大してきました。特に太陽光発電については発電コストが低下してきており、コスト優位性を持ち始めています。また、非化石証書(FIT制度で導入された再エネの環境価値を証書化したもの。当該証書を実電気とセットにすることで再エネ電気を調達したとみなすことができる)の取引も開始されたことから、企業が十分な量の再エネを調達できる道も生まれました。このような環境変化にいち早く適応し、RE100に参加する日本企業も出始めています。
企業のサステナビリティ戦略に話を戻すと、2020年といった短期だけでなく、2030年およびそれ以降といった中長期が視野に入ってくることから、再エネ市場の動向もそのような時間軸で捉えることが必要となります。また、国によっても傾向が異なるであろうことを考えると、地域バウンダリーの捉え方も重要です。
このような観点から、本コラムでは、グローバル/国内、短期(~2020年頃)/中長期(~2030年頃およびそれ以降)の切り口で、再エネ市場の将来を読む上でのポイントを解説します。前編では、短期(~2020年頃)目線でのポイントを示します。
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が再エネの発電に関するコスト分析を行った報告書「Renewable Power Generation Costs in 2017」では、大規模な再生可能エネルギーの発電コストのこれまでの推移と2020年の見通しが示されています。
|
世界の加重平均発電コスト[USD/kWh] |
2010年から2017年までの間のコスト削減率 |
|
2010年 |
2017年 |
||
陸上風力発電 |
0.08 |
0.06 |
▲25% |
太陽光発電 |
0.36 |
0.1 |
▲72% |
洋上風力発電 |
0.17 |
0.14 |
▲18% |
集光型太陽熱発電 |
0.33 |
0.22 |
▲33% |
2020年までの見通し[USD/kWh] | |
陸上風力発電 | 0.05 |
太陽光発電 | 0.06以下 |
洋上風力発電 | 0.06~0.1 |
集光型太陽熱発電 | 0.06~0.1 |
(出典)“Renewable Power Generation Costs in 2017 (IRENA) ”をもとにPwC整理
IRENAの報告書が示すように、グローバル全体平均で見ると再エネは他電源と同等あるいはそれ以上の価格競争力を持ち始めています。グローバルに事業展開する企業であれば、各国の通常の電力調達コストと再エネ調達コストを的確に把握し、再エネが有利である場合に契約をスイッチすることで、費用合理性と自社の温室効果ガス排出削減の両立が可能なケースもあるということになります。
※ 法人名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。
※ 2018年12月5日公開のコラム、「再生可能エネルギー市場の将来を読むためのポイント(後編)」は、こちらからご覧いただけます。