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2020-02-18
当コラムでは前回まで8回にわたり、下記の内容について紹介してきました。
今回は、これまで説明してきた原価管理のあるべき姿を実現していくために必要となるデータについて、説明します。
必要なデータを説明する前に、まずはこれまでのコラムで述べてきた「使える原価情報」についておさらいします。第2回「原価情報が満たすべき要件」で提供すべき原価情報について以下のように説明しました。
以上が、「使える原価情報」として満たすべき要件です。
ではここからは、使える原価情報を作成するためにどんなデータが必要となるのかを考えます。
生産実態を反映した原価情報は実際原価をベースとして計算されるので、まずは、実際原価の一般的な計算式を紹介します。原価は、原材料費、加工費、間接部門費から構成され、それぞれ単価と製品1単位あたりの量・時間の乗算で算定されます。
なお、加工費の計算で用いる作業時間には、正味の作業時間だけではなく、製品の加工が終わってから次の製品加工に切り替えて生産するまでの段取時間(内段取時間)を含めることが一般的です。内段取の作業中は加工作業そのものは行ってはいないのもの、生産資源(人・機械)は占有されているため、他の製品を生産することはできません。すなわち、機会損失が発生している状態です。内段取時間を含む生産資源の占有時間をもとに原価を計算することで、機会損失も含めた製品原価として認識することができます。
図表1で示した計算を行うために必要なデータの項目は、図表2のとおりです。
原材料費については、実際単価と製品1単位当たり実際消費量が必要となりますが、実際単価については、為替の変動による影響を把握できるよう、取引通貨建(外貨建)での単価を把握することが重要です。加工費については、チャージレート計算の元となる工程の実際発生費用と工程のトータルの稼働時間を把握することが必要です。また、製品1単位当たりの実際作業時間は、ロット別に段取時間と加工時間、生産数量を把握し、計算します。間接部門費については、製造間接部門の実際発生費用をコストドライバーを用いて製品別に割り振るため、製造間接部門の実際発生費用と部門トータルおよび製品別のコストドライバー量を把握することが必要です。
これらのデータを把握することで、図表3に示す方向で、原価低減策の検討を進めることができます。
では、こうしたデータを原価改善施策の検討に役立てるためには、データをどの程度の粒度で把握することが必要なのでしょうか。繰り返しになりますが、「どの工程で」「どの製品を作る時に」「どんな要因で」原価が変動しているのかを特定することが重要ですから、下記のような把握単位(粒度)でデータを整理することが求められます。
原価低減のための施策を勘案すると、工場現場において短サイクルでの施策の検討・実行につながる原材料実際消費量、実際段取時間、実際加工時間については、究極的にはリアルタイムで捉えることが有用と考えられます。
本稿では、あるべき原価管理を実現するために必要となるデータについて紹介しました。ここまで読んで、これだけのデータを網羅的に把握することは現実的には困難ではないか、といった懸念を抱かれている方も少なくないと推察します。次回は、そのような懸念を解消すべく、データ把握における現実的な対応策について紹介します。
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