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2021-07-16
ドローンの社会実装に向けては、2020年7月17日の「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」において決定された「空の産業革命に向けたロードマップ2020」を受け、官民問わずさまざまなプレイヤーが、2022年度以降に制度開始予定の有人地帯での目視外飛行(レベル4)の実現を目指し、取り組みを進めています。目視外での活用を見据えた実証実験が行われ、本格運用に向けた課題が明確になってきています。
空撮や農薬散布、点検といった目視内でのドローン活用は普及が進んでいる状況ですが、今後さらにこれを加速させる取り組みもあります。
など
こうした状況を踏まえると、ドローンの市場に対し、遥か未来にある遠い世界の市場であるという認識は改める必要があります。今後、企業にとってドローンの活用トレンドに乗り遅れないことが持続的な企業活動の生命線になるといっても過言ではないでしょう。
一方、日本国内でのドローンサービスの市場規模は、想定よりも成長が遅いという見方もあります。ドローンの活用に悩みを持つユーザー企業も存在しており、本格的な導入に踏み込めない理由として、人材が足りない、定量効果・コスト削減のシナリオが見えない、規制動向が気になる、活用の手順・オペレーション設計に多大な工数を要するなどの課題が挙げられています。
ドローンの本格活用に向けては、以下の大きく4つに分類される社内変革ポイントを押さえて、課題に対応し、ドローン活用の成功体験につなげることが重要です。その体験を基に実行性のある活用計画を策定することが、成功のカギになります。
ドローンを活用するということは、単純に機体を購入して飛行させることを指すのではなく、以下4つの観点で事業のあり方を大きく変革させるものであることを改めて認識しておく必要があるでしょう。
航行するドローンの機体だけでなく、資産としての機体管理や航行管理の仕組みの導入も、本格活用に向けて検討する必要があります。また、ドローンによるデータ収集、集計、分析を進めるためのソフトウェアやデバイスも実装できるよう、最適なベンダー選定の基準やシステムの運用管理体制の構築が必要となります。
ドローンの活用に伴い、「機体の調達」「航行(移動)」「データ収集・分析」「メンテナンス」といった作業が新たに追加されるほか、1社単独でドローンを活用した業務を完遂させることが難しくなるため、協業・委託先企業との役割分担を定めたうえで、マニュアル整備を見据えた円滑な業務フローを設計構築する必要があります。
全てを自社で賄う必要はないものの、外部に業務委託する場合の委託先管理や、ドローンの機体・運航管理の仕組みを運用するケイパビリティを備えた体制の構築は行わなければなりません。このような体制を維持するために、新たな役割・キャリアをサポートする評価制度や育成制度も充実させることが必要です。
ドローン活用時に直面し得るセキュリティや墜落などのリスクに対する予防措置と、その影響を抑制するためのリスク対応策を検討する必要があります。本格導入前の段階では社会受容性の毀損リスクに特に注意すべきであり、リスクが顕在化した場合を想定したコミュニケーションプランを、ドローンが航行する地域の住民をはじめ、社会全体に対する計画として整備しておくこと必要です。
ドローンの本格活用を成功に導くには、企業活動の一部を見直すレベルの取り組みではなく、業務からインフラの仕組みまで企業そのもののあり方を大きく変革させる覚悟をもって実行しなければなりません。次回以降のコラムでは、上記の4つの変革ポイントそれぞれの詳細を解説していきます。
佐々木 智広
シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社
※法人名、役職などは掲載当時のものです。