リモートワーク環境下で求められる従業員のプライバシー保護

2020-09-11

求められる従業員のプライバシー保護

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防ぐには徹底した行動変容が重要と言われます。厚生労働省から提唱された『新しい生活様式』を受けて、新しい働き方の一つとして職場以外で勤務するリモートワークが多くの企業に導入され、日本ではかつてないスピードで働き方改革が進展しています。

PwC米国によるリモートワークに関する統計[English]によれば「週に2日以上のリモートワークを実施している」という回答は72%以上を占めており、米国においてもCOVID-19の影響によるリモートワーク推進の傾向を見てとることができます。

こうした状況下、諸外国の中にはさらに安全な労働環境の確保を求めて、従業員の健康状態のスクリーニングや接触履歴の追跡といった措置を採る事例も見受けられます。リモートワークの中でもとりわけ在宅勤務という形態は、勤務環境と生活環境の線引きが難しく、企業による行き過ぎたモニタリングは、従業員のプライバシーを侵害するリスクにつながります。日本においても、従業員のプライバシー保護に関する企業の在り方があらためて問われています。本稿では、主に従業員のプライバシー保護に関わる問題に焦点を当てて、述べることとします。

*1:東京地判平成24年5月31日労判1056号19頁

*2:東京地判平成13年12月3日労判826号76頁、東京地判平成14年2月26日労判825号50頁、および東京地判平成16年9月13日労判882号50頁など

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