フレームワーク「Will・Can・Must」はDXでも活用できる

2020-11-11

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は、「デジタル社会に信頼を築くリーディングファーム」となることをビジョンとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と個々のデジタルスキル向上に取り組んでいます。

ここでは私たちの監査業務変革の取り組みや、デジタル化の成功事例や失敗を通じて得た知見を紹介します。これからデジタル化に取り組まれる企業やDX推進に行き詰まっている企業の課題解決にお役立ていただければ幸いです。

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

開発したいデジタルツールの完成イメージが明確であっても、どうすれば実現できるのか、その解が明確なものばかりではありません。完成イメージをどう具現化するかを、自己分析や人材開発でよく用いられるフレームワークを使うと整理できることがあります。やりたいこと(Will)、できること(Can)、しなければならないこと(Must)を整理した上でプロジェクトを進めていくという考え方は、あらゆるプロジェクトに応用できると考えています。PwCあらたで取り組んでいるデータ整形を例に、どのように活用しているのかを紹介します。

データ整形こそDX推進現場の重要な課題

デジタルトランスフォーメーション(DX)推進において直面する大きな課題の一つは、データの整形です。データをツールに適した形へ変換することに、非常に苦労します。

監査業務では、被監査会社から提供される多種多様なデータを取り扱います。提供されるものの中には手書きのメモや紙の請求書のようにアナログなものも多数存在し、それらをツールが処理できるデジタルデータに変換する必要があります。また、デジタルデータであってもツールにそのまま利用できるわけではありません。データは、ツールが処理しやすいよう加工する必要があるのです。

加工と一言で言っても、そのプロセスは3つに分かれます。データを理解し、定義し、規定するという作業です。まず、それぞれの内容を理解し、形式を把握して、適切なデータ構造に分類・定義します。請求書一つ取っても、世の中にある請求書を比べてみると、使用される言語、内訳や金額が記載されている場所、項目名などがさまざまです。人の目を解さないと内容や構造を理解するのが難しい複雑なフォーマットのものもあります。そのため、データの理解と定義にはマニュアルで実施しなければならないことも多く、ツールに適したデータを規定しデータ整形を完了させるまでには多大な時間と労力を要します。

 

やりたいこと、できること、しなければならないことを明確に

データ整形をはじめ、達成するまでに多くの時間と労力を要する課題に取り組むときは、”Will(やりたいこと)”、”Can(できること)”、”Must(やらなければならないこと)”にタスクを分類してみると進めやすくなります。具体的には、まずツールを活用してどのように業務を進められるようになりたいのかをデザインします(Will)。そして、技術的に実現可能なことを確認し(Can)、ツールを活用した業務を実現するために必要なデータはどのようなものかを整理します(Must)。必要なデータが明確になったら、現状利用しているデータについて、それぞれのデータ項目が何を表しているのか、どのようなデータ型で格納されているのかを把握し、データ加工を行います。ツールに適したデータにするための加工のポイントや手法を学び、経験値を増やしていくと、学びから得られた新たな知見を踏まえて完成イメージを洗練させることができます。

課題に対するアプローチが明確でない時、考えを整理するためのフレームワークを持っておくことは思考の負荷を下げるのに有効です。また”Will”・”Can”・”Must”の考え方は、やらなければならないことをこなす中で、できることが増えて成長につながり、やりたいことも洗練され、モチベーションを維持することもできます。

一つのソリューションのために加工したデータが、別のソリューションのアイデアを生むきっかけになることもあります。目の前の課題に丁寧に向き合い、経験を積み知見を広めていくことが、新たな挑戦をしていく上で重要です。

 

執筆者

久保田 正崇

代表, PwC Japanグループ

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熊木 純子

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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