久保田 正崇

執行役専務 アシュアランスリーダー/監査変革担当

監査のデジタル化を通じて、変わる社会を支えていきたい

profile

1997年に当時の青山監査法人入社。2006年にあらた監査法人(現PwCあらた有限責任監査法人)に転籍後、2016年10月にAI監査研究所発足に参加し、副所長を担当。その後2018年7月より、包括的に監査のデジタル化を進める監査業務変革推進部長、2019年9月に執行役専務(アシュアランスリーダー/監査変革担当)に就任。

監査業務のデジタル化のかじ取りを託されて

私は、2006年の当法人立ち上げ時から参画し、今日まで多様な業務に取り組んできました。目下のところでいえば、監査業務変革ならびにアシュアランスリーダーとしての役割があります。前者については、特に監査業務のデジタル化に注力しています。

私に白羽の矢が立った背景には、テクノロジー業界の監査を数多く経験し新たな技術とそのトレンドに関する知見があること、また、PwC米国のシカゴ事務所駐在経験を通じて培ったグローバルな視点が生かせることにあると認識しています。「テクノロジー」と「グローバル」という大きな流れの中で監査をどのようにデザインしていくかを組織や社内カルチャーなどソフトの面も含めて準備を進めていくことを会社から求められています。

2016年に現在のAI監査研究所の前身となる部門を立ち上げ、その後2回の変遷を経て、4年間でおよそ200人の部署となりました。また、研究テーマもロボティクスなどAI以外の領域に踏み込んでおり、監査業務を幅広いデジタル技術と連関させていく動きを加速させています。さらに、デジタルツールの開発や導入、それに併せてスタッフ全員向けのデジタル研修の主催など法人内の意識改革も進めています。

「AIを活用した監査業務」という新たな潮流を生み出していきたい

監査業務変革部のミッションは、社会的な観点でいえば、デジタル化成功の先鞭をつけることにあります。「AIに取って代わられる仕事」というテーマが出ると、会計士は必ず上位に名を連ねます。私たちはこうした見立てをアンチテーゼとし、AIを活用した監査業務という新たな潮流を生み出していきたいと考えています。監査業務は本来、企業から受け取るデータが豊富にあり、それらを分析、検証したうえで最終的に企業データと符合しているか結論を出す仕事なのですが、データの分析とその下準備に非常に時間がかかっています。私たちはこのような単純作業をAIに置き換え、人間の判断が必要な仕事だけ監査スタッフが担えるようなビジネスシーンを創造していく構想を持っています。そうなると、「人間の判断が必要な業務とは何か」について議論が及ぶと思うのですが、この点を見極めることで、人間が実施することを絞り込むことによって生産性向上を実現できます。監査業務については、財務諸表がステークホルダーをミスリードすることを防ぐために人間が実施することが必要な監査手続きを絞り込んでいきますが、これを通じて私たちが生産性向上を実践できれば、監査以外の業務でも同様の生産性向上が実現できるのではないかと考えています。

クライアントとのデジタル化の共進に尽力

監査のデジタル化は、まだ、緒に就いたばかりです。しかし、組織改革の面では相当進んでいます。具体的には、スタッフのマインドやデジタルツールの操作スキルが向上しています。全員参加のデジタル研修を通じて「デジタルツールを扱う」という認識の共有が全社的に徹底されており、2020年以降はいよいよ「使い込む」ステージに入ります。

当法人内のデジタル化推進の特徴は、一部の方たちだけが先端レベルのことを行うのでなく、全員のデジタルリテラシーの平均値を高めていくことに力点を置いている点です。この結果、クライアントのデジタル化に寄り添うことができ、ひいては当法人の競争優位にもつながっていきます。監査のデジタル化は、クライアントを巻き込むことが前提になります。監査側がいくらAI化を進めてもクライアントがアナログ会計のままでは従来型の「単純作業」はなくなりません。データやツールのレベル感はもちろん、経営者のマネジメントの姿勢がデジタルの知見を含んだものになっているかが監査のデジタル化には不可欠なのです。監査のデジタル化とともに、クライアントも私たちも一緒に進化していく、このようなチャレンジを私たちは「共進」と呼んでいます。クライアント企業が変わるきっかけを作るためにも社内全員のデジタルリテラシーを高め続け、クライアントとのデジタル化の共進に尽力していきます。

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