ピープルアナリティクスサーベイ 2020-2021調査結果 人材データ活用の最前線―先進企業の最新動向―

ProFuture株式会社とPwCコンサルティング合同会社によるピープルアナリティクスに関する活用動向調査が第6回を迎えました。日本企業202社を対象に実施した今回のサーベイでは、人材データの分析にどの程度関心を持ち、どう活用し、どのような課題に取り組んでいるのかを調査しました。

本レポートでは、サーベイ結果を基に、人材データ分析における各企業の成熟度や抱える課題を可視化するため、「データ分析の高度化」と「活用データの多様性」という軸に基づいて企業を4つにグルーピングしました。「データ分析の高度化」の軸は人材データ活用の成熟度を示し、データからより多くの示唆を得られるレベルの高い分析を行っていることを、「活用データの多様性」の軸は従来型の人事基幹システムのデータだけでなく、昨今利用可能になっているワークスタイルデータなど新たなデータを活用していることを示します。ピープルアナリティクスの先進性を測る際に、分析の深さだけでなく、多様なデータを意思決定に活用できるかが一層重要になると考え、これらを各企業の成熟度を分析する主軸としました。調査結果から明らかなように、ピープルアナリティクスの先進企業は確実に増加しています(図表1)。

図表1:「Q:貴社において、人材データ分析を行うにあたり、どのようなデータを活用しているかお答えください。(複数選択可)」という設問への回答にて「パルスサーベイ」「健康関連情報」「ストレスチェック情報」「SNSに関連する情報」のいずれか1つ以上を回答した企業を「多様なデータ活用企業」としている。また「Q:貴社において、これまで実施したことがある人材データ分析の内容について、下記よりお答えください。(複数選択可)」という設問への回答にて「人材マネジメントに関する特定の指標について、多変量解析などの統計手法を用いて、要因分析や予測分析を実施」と回答した企業を「高度な分析実施企業」としている。両定義に当てはまる企業を先進企業として集計した。(全企業:2018年 n=312、2019年 n=236、2020年 n=202)

また、ピープルアナリティクスの先進企業に見る主要な傾向として3つの動向を捉えることができました。

  1. 活用データの多様化と新規収集の推進
    先進企業の定義の1つに含めているとおり、PwCではこれから活用データのさらなる多様化が進むと考えています。本サーベイの結果からは、多様なデータを活用する企業が全体の44%と活用データの多様化傾向が確認されており、リモートワークなどの働き方変化による影響が表れていると考えられます。また、先進企業は、ストレス情報やパルスサーベイといった個人性や動的性が高い情報を多くの企業が収集、活用していることが判明しました。いずれも従来の人事オペレーション上では必須ではない情報ですが、従業員の多様化する価値観や、日々のモチベーション変化をタイムリーに把握するニーズが高まった結果だと推察されます。
  2. 人事や経営層に続く、現場ユーザーへのデータ活用の広がり
    全体の約80%の企業において本社人事がデータ活用を担っていますが、さらに、経営層や部門人事、事業所人事のデータ活用も全体の約40%の企業で進んでおり、人材マネジメント状況把握のニーズがこれらの層では大きいと言えます。加えて、現場(マネージャー、社員本人)主導のデータ活用を強化したいと考える企業が全体の半分を超えていることから、データの活用層は今後さらに広がると考えられます。一方、実際に現場層でのデータ活用に取り組む企業の割合を見ると、先進企業においても6%と企業側の期待ほど広がってはおらず、分析ツールの導入においてさまざまな課題が生じていると推察されます。
  3. BIツール、専門分析ツールなどの利用の増加
    利用ツール面に着目すると、現在最も利用されているのは表計算ソフトですが、今後はBIツールをはじめとした他ツールとの使い分けが進むと想定しています。先進企業では、BIツールの利用率が33%(回答企業全体では19%)と各種ツールをより広く活用しており、ツール利用層の広がりも踏まえると、データを分かりやすく可視化する需要が高まっているためと推察されます。また、要因や予測といった高度な分析を支える専門的な統計分析ツールの利用も予想されるため、今以上に利用ツールと利用層の拡大が見込まれます。

本サーベイは、先述した先進企業の3つの動向とともに、「ピープルアナリティクスの経営効果をより高める4つのチャレンジ」も紹介し、ピープルアナリティクスに取り組んでいる先進企業2社の事例を掲載しました。加速するデータドリブンHRへの期待と顕在化する課題感に対して、各企業がどのようなアプローチで取り組んでいるのかを知るための一助となれば幸いです。

執筆者

北崎 茂

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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齋藤 冠郎

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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名取 淳

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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岩井 佑介

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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小野 すみれ

シニアアソシエイト, PwCコンサルティング合同会社

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