ヘルスケア業界における世界のM&A動向: 2023年上半期最新情報

M&Aは、2023年下半期においても、ヘルスケア・製薬企業にとって重要な変革手段であり続けるでしょう。

製薬・ライフサイエンス(PLS)とヘルスケアサービス(HCS)は、引き続き投資家の多大な関心を集めており、これは2023年後半にも続くことが予想されます。2023年のM&A見通しで強調したように、規制当局による独占禁止法上の監視が強化され、革新的なメガディールはより困難になっているとはいえ、M&Aは依然として貴重な変革手段です。大手製薬会社はパイプラインのギャップを埋めるために中規模のバイオテクノロジー企業への投資を追求し続けています。一方、ポートフォリオの見直しやノンコア事業の売却が依然として最優先課題となっています。プライベート・エクイティファームも革新的なヘルスケア事業の取得に資金を活用したいと考えています。

上半期においては、厳しい経済情勢、ならびに買い手と売り手間の期待価格のギャップにより、一部のディールが妨げられました。しかし、価格ギャップが縮小するにつれて、下半期にはディールの回復が期待されます。IPOが少ない状況下で、投資家の主要な出口戦略として売却が浮上しています。さらに、金利上昇に伴い、資金調達環境は厳しくなっているため、資本調達手段としての売却は重要性を増すでしょう。株価が低迷している上場企業も、キャッシュリッチなプライベート・エクイティファームによる非公開化取引の対象になる可能性があります。生成型AIの登場は市場に活気をもたらしており、ヘルスケア企業はそれを自社製品・サービスにどのように統合できるか、専門知識の取得を迫られています。

Health industry image

「難しい規制やマクロ経済情勢をうまく乗り切ることができる、経験豊富なヘルスケア業界のディールメーカーは、今後もM&Aを活用してイノベーションを起こし、自社の優先事項に沿って成長し、戦略的なポートフォリオ変革を実行するでしょう。そうしたことで、競合他社に先手をとることができるのです」

Christian MoldtPwCドイツ、パートナー、グローバルヘルス業界ディールズリーダー

ヘルスケア業界におけるM&Aを動かす主なテーマ

医薬・ライフサイエンス

  • 今後の数年間で、多くのトップセラー医薬品の特許が切れるため、大手製薬コングロマリット企業は自社のパイプラインの拡充と成長戦略を達成するために、クロスボーダーディールを含むM&Aの機会を積極的に模索しています。規制当局の監視により、2023年上半期に発表された一部の大型ディールですでに遅れが生じており、ディールメーカーは今後の革新的なディールに対して慎重になっております。ほとんどの企業は、より中小企業に重点を置いたM&Aを実行することで、規制上の摩擦を軽減しようとするでしょう。
  • 金利上昇と株価下落が重なり、M&Aの資金確保に向けては、企業の売却計画に対する圧力がさらにかかっています。特に大手製薬会社は、戦略的分野や注力分野と整合させながら、来るべき特許切れの影響を軽減し、ポートフォリオを最適化するための売却候補を積極的に検討しています。いくつかの主要な大手製薬会社における昨今の経営陣のサクセッションは、積極的なポートフォリオの見直しの引き金となり、売却と買収の両方を活発化させる可能性があります。
  • プライベート・エクイティファームは開発業務受託機関(CRO)、開発製造受託機関(CDMO)、メドテック企業に引き続き関心を示しています。マーケットにおけるバリュエーションの低下は、これらのセクターにおける非公開化ディールの機会をもたらしています。

ヘルスケアサービス

  • ヘルスケアの一般消費者への普及は続いています。ビタミン、ミネラル、サプリメント企業と栄養補助食品企業は高いマルチプルで取引されており、今後も魅力的な事業と予想されます。新たに分離した、純粋な一般用医薬品事業や消費者向けヘルスケア事業は、M&Aを通じて自社の変革を迅速に進め、非常に細分化された市場の中で、買収により製品ポートフォリオを拡大しようとしています。プライベート・エクイティファームはポートフォリオの買収と成長戦略の実行を継続し、さらなる規模拡大とコスト効率を実現していくことでしょう。
  • いまだに市場が細分化されたままの、個人クリニック、皮膚科、眼科、動物病院、その他の専門医療事業者およびサービスグループは、今後も統合が進むでしょう。最近これらのセクターでロールアップを実行したディールメーカーは、目指す利益率を達成し、数年後のエグジットに備えるために、統合と価値創造に注力する必要があるでしょう。
  • 医療と病院の現場から見ると、政府による財政支援は多くの国でパンデミック時代の最高水準から大幅に削減されています。同時に、医療および病院の運営者は、熟練した従業員の慢性的な不足と高い賃金インフレにより、オペレーション上およびコスト上の重大な課題に直面しています。こうした資金面と収益面の圧力が重なると、リストラの増加や再生型M&Aが行われる可能性があります。
  • このような課題は、患者ケアを中心に据えながら、業務を効率化し、顧客価値を生み出すデジタルソリューションに対する熱意をさらに強めています。現場オペレーションの課題に対して、技術ソリューションによって解決できることを長年認識してきたハイテク企業の間では、遠隔医療、医療技術・分析企業は、引き続き非常に有望な事業と見られています。生成AIに対する関心の高まりから、医療提供者の間では、患者エンゲージメントの強化、サポートの改善、患者満足度の向上、管理プロセスを効率化といったことを実現するための方法特定と開発を急いでいます。医療サービス企業は、パートナーシップや戦略的提携とともにM&Aを活用して、仮想アシスタントやチャットボットなどのAIを活用した新しいツール導入のための能力を獲得していくでしょう。これらのツールは、質問に答えるだけでなく、個別の健康に関する推奨事項を提供し、予約のスケジュール管理もサポートすることができます。

ヘルスケア業界の社会的利益がディールメーカーを魅了

  • ヘルスケア業界の企業は、環境・社会・ガバナンス(ESG)面で魅力的な投資機会を提供しています。その主な理由は、手頃な価格の医薬品や医療へのアクセスといったグローバルな社会的課題解決を求める投資家、ステークホルダー、政府機関の、日々進化する基準の多くを満たしているからです。その結果、より広範囲のESG要素がビジネスモデルに反映され、デューデリジェンスプロセスの一部として考慮されるようになるでしょう。

※本コンテンツは、PwC米国が2023年6月に公開した「Global M&A Trends in Health Industries: 2023 Mid-Year Update」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

ヘルスケア業界における各国のM&A動向については、以下の国・地域を選んでご覧ください。

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