財務報告が全てではない ‐ 投資家が語るESG投資の趨勢

2016-11-04

環境(Environment)・社会(Society)・ガバナンス(Governance)が企業にどのような影響を与えるかについて、投資家は、ますます関心を抱くようになっています。そこで、PwCは世界最大級の機関投資家に対し、IIRC(国際統合報告評議会)と共同でESG情報に関連するさまざまなトピックについてインタビューを実施しました。

このインタビューの結果、以下のことが明らかになりました。

ESG情報はいわゆる「グリーンウォッシング(※)」ではなく、企業パフォーマンスの重要な一面を捉えたものである。
ESG情報は財務情報と切り離されたものではなく、将来の財務への影響に関する先行指標となりうる。
ESG情報は、企業が環境にどのような影響を与えるかを説明する手段だけではなく、環境や他の分野が企業にどのような影響を与えるか、それに対して企業が何を行っているかを理解するための一助ともなる。
(※)グリーンウォッシング:本業での環境に対する悪影響を隠ぺいするために、表面的な環境保護活動を行うこと。

インタビューでは、統合されたESG情報により、投資意思決定に関する多くの重要な不確定要素を評価することが可能になるという発言が相次ぎました。

その一方で、極めて重要な点として、企業が報告するESG情報には企業ごとにギャップが存在すること、また、多くの企業では、ESG情報と他の情報開示との統合が進んでいないという発言もありました。この点に対し、明確なフレームワークを用いることが一助になること、さらには、投資家が求めているのは、ビジネスモデルと明確に関連した情報、あるいは企業がどのように価値を創造し、リスクを管理しているかということに直結した情報であるという点が本インタビューで明らかとなっています。

PwC Global