PwCにおける「個人の独立性」

PwCのパートナーとスタッフ、その家族に適用される独立性

「個人の独立性」とは

会計監査業務を行っているPwCは、監査クライアントとその関連企業などに対し、独立した第三者としての客観的な立場にあることが法令や規則などにより求められています。

この「独立性」に関する法令や規則などは、PwCのみならずPwCのパートナーとスタッフに対して、PwCの監査クライアントとの間に「経済的な依存関係がない」ことを要請しており、加えて、その「家族」に対しても同様の関係を求めています。

「経済的な依存関係がない」とは、PwCの監査クライアントとの間に「金銭的・経済的な取引関係」などの密接な関係がある場合に、独立性に関する法令や規制、PwCの独立性ポリシーなどにおいて、それらの関係が許容されている状態にあることを指します。

このように、PwCのメンバーとその家族がPwCの監査クライアントとの間に密接な関係にない状態を「個人の独立性」と呼んでいます。

なぜ「個人の独立性」を保持する必要があるのか

PwCは、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことをPurpose(存在意義)として掲げています。

会計監査業務を行うPwCは、事実上も外観上も、独立した立場にあることを貫かなければなりません。

これはPwCプロフェッショナルの特徴であり、クライアントや社会、そして資本市場における信頼を構築するために求められる姿勢でもあります。

ここに、PwCが「個人の独立性」を保持すべき理由があります。

誰が「個人の独立性」を保持しなければならないのか

「個人の独立性」を保持する必要があるのは、PwCのパートナー、クライアントサービスを行うスタッフ、そして、それらPwCメンバーの「家族」です。

「個人の独立性」を保持すべき「家族」の範囲とは

「個人の独立性」が要求されるのは、PwCメンバーの「家族」です。

なお、この場合の「家族」とは、具体的には次の方が対象となります。

  • 配偶者または配偶者と同等の者(法律婚・事実婚・扶養の有無を問わない)
  • 扶養している子(実質的な経済的支援を受けている子)
  • その他の扶養親族(実質的な経済支援を受けているその他の親族)

「金銭的・経済的な取引関係」とは

どのような場合に認められているか

「金銭的・経済的な取引関係」にはいくつかのケースがあり、独立性に関する法令や規制、PwC独立性ポリシーにおいてそれらの関係が認められています。

それぞれの項目をクリックして内容を確認してください。

投資関係

投資関係の例として、株式、債券、投資信託、MMF(マネー・ マーケット・ファンド、投資契約、オプション(プット/コール)、変額保険を通じて保有および運用するファンドなど、企業へのその他の投資、暗号資産(仮想通貨)のうち一定のものなどがあります。

状況によっては、PwCの監査クライアントやその関連企業などへの投資が制限されることがあります。

Checkpoint*1 で有価証券などを検索すると、保有が許容される投資関係かどうかを確認することができます。独立性グループに問い合わせて、投資関係の制限の制限について詳細な確認を行うことも可能です*3。保有が許容される投資関係であることを確認し、実際に購入手続を開始した場合は、14暦日以内に購入した銘柄をCheckpointに登録する必要があります。

クレジットカード

クレジットカードの「発行会社」を識別することが重要です。クレジットカードにはVisaやMastercard、JCBなどのブランド名や店舗の名称がありますが、カードの「発行会社」が独立性では重要になります。発行会社名は、通常はカードの裏面に記載されています。

PwCの監査クライアントやその関連企業などのうち、特定の企業が発行したクレジットカードについては、未払残高を一定金額未満にしておかなければならないなど、制限を受ける可能性があります。

PwCのメンバーはCES*2で検索することで、クレジットカードに関する独立性の要件や制限を確認することができます。必要であれば、独立性グループへの相談でも確認できます。

保険

保険の例として、自動車保険、火災保険、生命保険、傷害保険などがあります。

PwCの監査クライアントなどとの保険契約については、特定の場合において、新規の保険契約締結や、既存の保険契約の変更に際して、制限を受ける可能性があります。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、保険契約に関する独立性の要件や制限を確認することができます。

銀行口座

銀行口座の例として、当座預金口座、普通預金口座があります。

PwCの監査クライアントなどの銀行口座で保有する預金や証券については、特定の場合において、預金保護制度の保護対象とならないものが禁止されるなど、制限を受ける可能性があります。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、銀行口座に関する独立性の要件や制限を確認することができます。

オンライン決済ツール

オンライン(キャッシュレス)決済ツールには、PayPal(ペイパル)、LINE Pay(ラインペイ)、楽天Pay、PayPay(ペイペイ)、d払い、Square(スクエア)などがあります。

PwCの監査クライアントなどが提供するオンライン決済ツールについては、特定の場合において、所定の残高を保持することに制限を受ける可能性があります。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、オンライン決済ツールに関する独立性の要件や制限を確認することができます。

住宅ローンその他のローン

この例としては、住宅ローンや自動車ローン、当座借越があります。

PwCの監査クライアントなどからのローンについては、特定の場合において、新規ローン契約の締結や既存のローン契約の変更などに際して、制限を受ける可能性があります。状況によっては、ローン残高の弁済が必要になることがあります。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、ローンに関する独立性の要件や制限を確認することができます。

重要なリース契約

年間のリース料合計が世帯年収の5%以上となるリース契約が「重要なリース契約」となります(自動車リースおよび個人からのリースを除く)。一般的には、マンションやアパートの賃貸が該当します。

PwCの監査クライアントなどとの重要なリース契約については、特定の場合において、新規契約の締結や既存の契約の変更に際して、制限を受ける可能性があります。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、ローンに関する独立性の要件や制限を確認することができます。

証券口座

証券口座は、株式や投資信託など、有価証券その他のさまざまな投資銘柄の売買を可能にする投資用口座です。

PwCの監査クライアントなどの証券口座で保有する預金や証券については、特定の場合において、投資者保護制度の保護対象とならないものが禁止されるなど、制限を受ける可能性があります。

証券会社口座を保有することが認められる場合でも、証券会社が提供する口座機能やサービスに制限を受ける可能性があります。例えば、自動的にMRFなどのファンドを買い付ける「スイープ機能付き証券口座」や、ロボットアドバイザーによる自動投資、投資一任契約については、Checkpointに対象証券を全て登録する必要があり、そうでなければサービスの利用自体が禁止されます。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、証券会社や証券口座に関する独立性の要件や制限を確認することができます。

従業員持株制度等

PwCのメンバーとその家族が、従業員持株制度や株式報酬制度など「現在の」雇用関係に基づいて有価証券を取得している場合、その全てについて独立性の問題をクリアしなければなりません。

「過去の」雇用関係に基づいて取得した有価証券については、Checkpointに登録する必要があります。「現在の」雇用関係に基づく制度で保有、または付与されている有価証券については、Checkpointに登録したうえで、そのうち独立性の制限がある銘柄についてはCheckpointを通じて承認を受ける必要があります。

Checkpointで検索すると、その有価証券の独立性の制限を確認することができます。従業員持株制度などを通じた保有については、取得や付与の前にあらかじめ独立性の制限の有無を確認し、取得や付与から14暦日以内にCheckpointにその銘柄を登録する必要があります。登録の際には、従業員持株制度などに基づいていることが識別できるように、保有タイプ(Ownership type)を選択することになります。

信託、遺産、委任

信託、遺産、および委任は、個人が他人の金融資産を管理する法的契約の一種です。

あなたやあなたの家族が次の者に該当する場合は、対象となる資産および取引については、本人の資産および取引として扱われます。

  • 信託財産の受託者
  • 共同受託者
  • 委任契約の受任者
  • 財産の執行者または管理者

対象となる資産に有価証券が含まれる場合には、Checkpointで検索するとその有価証券の独立性の制限を確認することができます。

支配権を有する事業

一般に、個人や事業体が特定の事業体の50%以上を所有している場合には、その事業体を「支配」している(支配権がある)ことになります。

「個人の独立性」の要件は、あなたとあなたの家族が支配権を持つビジネスに関連するあらゆる金銭的・経済的な取引関係に及びます。

PwCのメンバーはCES*2で検索することによって、取引関係に関する独立性の要件や制限を確認することができます。


*1 Checkpointは、「個人の独立性の遵守」と「インサイダー取引防止」をサポートするPwC独自の有価証券管理システムで、PwCのメンバーは全員がアクセスできます。日本国内のみならず世界中で流通する有価証券などのデータが格納されており、PwCの監査クライアント情報と連携しています。
PwCメンバーが手続きを行うことにより、PwCメンバーの家族もCheckpointにアクセスして有価証券の検索・登録・削除を行うことが可能となります。

*2 Central Entity Serviceの略称で、PwCネットワークファームの監査クライアントなどが登録されているマスターデータベースです。保有している金融資産などがPwCの監査クライアントなどの発行するものであるかどうかを、PwCのメンバーは全員がアクセスし、調べることができます。

*3 独立性グループへの問い合わせ
独立性グループは、個人の独立性を含むPwCの独立性に関する業務を管理し、支援する部署です。PwCのパートナー、スタッフ、家族の金銭的・経済的な取引関係が認められるものであるかについて確認し、個人が独立性を遵守することをサポートしています。
家族の方が独立性グループへ問い合わせを行う場合は、 e-mailで行ってください。その場合には、PwCメンバー本人のPwCメールアドレスを必ず「CC」に入れて送信してください。もちろん、PwCメンバー本人から独立性グループへ問い合わせていただいても問題ありません。

問合せ先(e-mail):
jp_personal-independence-mbx@pwc.com

その金銭的・経済的な取引関係は独立性に問題がないか

独立性に関する法令や規則、PwC 独立性ポリシーなどに沿って、金銭的・経済的な取引関係が独立性に問題がないことを確認することが重要です。新しい取引や契約を行う前、既存の金融取引を変更する前には、独立性に問題がないことを確認する必要があります。

金銭的・経済的な取引関係が独立性に問題がないことを確認するには、次の方法があります。

PwCのメンバーは、CheckpointやCESを使用して、それらの取引関係を事前に確認することができます。

① Checkpoint(PwCの投資管理システム)

PwCのメンバーはCheckpointを検索・登録することにより、有価証券の保有が独立性に問題がないことを確認できます。Checkpointでは、独立性に問題が生じる可能性が高くなり、保有が禁止された有価証券を登録している者に対してアラート(通知)が自動で配信されます。

② CES(監査クライアントなどのデータベース)

PwCのメンバーはCESで検索することによって、有価証券の保有を含む全ての取引関係に関する独立性の要件や制限を確認することができます。

独立性グループへの問い合わせ

独立性グループは、個人の独立性を含むPwCの独立性に関する業務を管理し、支援する部署です。PwCのパートナー、スタッフ、家族の金銭的・経済的な取引関係が認められるものであるかについて確認し、個人の独立性の遵守をサポートします。

家族の方が独立性グループへ問い合わせを行う場合は、 e-mailで行ってください。その場合には、PwCメンバー本人のPwCメールアドレスを必ず「CC」に入れて送信してください。もちろん、PwCメンバー本人から独立性グループへ問い合わせていただいても問題ありません。

問合せ先(e-mail):
jp_personal-independence-mbx@pwc.com