PwCコンサルティング、「PwC スポーツ産業調査2018」を発表

  • 世界のスポーツ産業のリーダーは業界の中期的成長率を全世界で7.0%と予測。アジアの回答が7.9%と最も楽観的
  • 収益源別では、従来型テレビ放映権が3.2%と低迷、一方デジタル放映権は11.5%と期待大
  • 種目別の成長期待では、eスポーツがサッカーを抜いて首位になるも、8割以上がオリンピック競技に含めるべきでないと回答
  • 業界が直面する脅威のトップは、若い消費者層の行動変化
  • 従来型スポーツはeスポーツから、ファンエンゲージメントを学ぶべきとの指摘

2019年3月6日
PwCコンサルティング合同会社

PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:足立 晋)は3月6日、「PwC スポーツ産業調査 2018‐岐路に立つスポーツ産業」を発表しました。PwC スイスが、世界42カ国470名のスポーツ産業のリーダー・関係者を対象に、今後のスポーツ産業の情勢について調査したレポートに、ここ数年内にスポーツのビッグイベントを控えている日本とグローバルとの結果比較および日本の若い消費者のインタビュー分析などを加えたものです。

スポーツのデジタル消費が進み、メディア界含め業界のビジネスモデルに破壊的な変化が起きている中、スポーツ産業のリーダー・関係者(以下、リーダー)は、業界を取り巻く情勢が不安定になると予想し、当事者としての戸惑いをうかがわせています。一方で、市場全体の今後の見通しにおいては、スポーツコンテンツへの強い需要にけん引され、安定した市場成長が見込めると考えていることが分かりました。

世界の経済成長が不透明感を増す中、スポーツ産業の中期的成長率予測は年間で7.0%に

PwCが1月に発表した「世界CEO意識調査」では、世界経済の成長が今後12カ月で減速すると考える世界のCEOが昨年の5%から30%まで急増するなど、世界経済の先行きに不透明感が増す中、スポーツ産業のリーダーは、今後3~5年の業界年間成長率を7.0%と予想しています。過去3~5年の予想値7.7%から若干の減速はあるものの、楽観的な成長見通しが示される結果となりました。エリア別では、アジアの回答者が最も楽観的で、7.9%の成長を予想しています。

消費者の視聴環境が変わり、業界全体のビジネスモデルの変革が加速しているにも関わらず、スポーツコンテンツそのものに対する強い需要にけん引された安定した市場成長が期待されているといえます。

【図表1】回答者の地域別による市場成長の見通し

収益源別の成長率では、デジタルメディア放映権が11.5%と最も有望で、従来型テレビ放映権(3.2%)の3倍以上に

収益源別の成長見通しをみると、デジタルメディア放映権が最も有望なセグメントとされ、今後3~5年で11.5%の年間成長率を示すと予想されています。従来型のテレビ放映権の予測成長率(3.2%)の3倍以上に相当します。

欧州サッカー5大リーグにおける従来テレビ視聴者の6割超が50歳以上とも報じられており、視聴者層の高齢化が顕著になりつつあります。こうした状況下で従来のテレビ放映権について大きな収益拡大が見込めない中、デジタルメディア放映権については今後力強い拡大が期待されているといえます。

Amazonによるプレミアリーグの放映権取得などが報じられるなど、いわゆる大手テクノロジー企業による放映権市場への参入を背景に、特にデジタルメディアの権利については今後さらなる競争の激化が予想されます。

収益増が見込まれるスポーツ分野としては、eスポーツがサッカーを逆転してトップに

どのスポーツが世界で最も収益増が見込めるかとの質問に対し、スポーツ業界のリーダーは今回eスポーツを一番に挙げています。昨年首位であったサッカーを上回る結果になりました。PwCの調査では、2022年までにeスポーツの市場規模が2017年比で2倍以上になると予想されており、既存のスポーツにとってもeスポーツは既に無視できない存在となっていることが明らかになったといえます。

現在議論となっているeスポーツのオリンピック競技化という視点からは、圧倒的多数となる83.7%が(まだ)オリンピック競技に含めるべきではないと回答しています。eスポーツは、いわゆるスポーツとは相いれないものとの見方がいまだ主流で、この議論はまだしばらく時間を要することが見込まれます。

【図表3】世界的に収益増加が見込まれるスポーツ

業界が直面する脅威のトップは、若い消費者層の行動変化

スポーツ産業のリーダーの3分の2以上が、業界にとっての脅威として若い消費者層の行動変化を挙げており、前年調査から15ポイント程度上昇しています。今後この世代の購買力が伸びていくことを考えると、業界にとってこの層の行動を理解することは最優先課題といえます。次いで、スポーツ以外のエンターテインメントへのアクセスの充実(54.2%)が前回の3位から浮上し、エンターテインメント分野の競争のし烈さを示した結果となっています。

若いデジタルネイティブを引き付けるeスポーツからは、ファンエンゲージメントを学ぶべき

eスポーツが若くて可処分所得の多いデジタルネイティブのファンを引き付けている一方で、ほとんどの従来スポーツにおいてファン層や視聴者が高齢化していることを考えると、どのようにして若いファン層を取り込むべきか、eスポーツから学べる点は多いといえます。

スポーツ産業に従事する今回の回答者は、従来のスポーツにおいても、著しい成長を見せるeスポーツから、ファンやゲーム愛好家の嗜好に合わせたプロモーション、コメントを通じたファンとの交流といった、ファンやコミュニティとのエンゲージメント(73.8%)、次いで革新的な競技形式(45.5%)について多くを学ぶことができると考えています。

一方でeスポーツ側ではビジネスモデルやエコシステムの未成熟などの課題を抱えており、リーグ運営やガバナンス、マネタイズの方法について、従来スポーツから学ぶべきとの指摘も聞かれます。

以上

※資料は「PwC スポーツ産業調査 2018」からダウンロードすることができます。

※本調査は2018年5月~6月にかけ、PwCスイスのPwCスポーツビジネス・アドバイザリー・チームが実施したもので、スポーツ産業に関わるシニアレベルまたはトップレベルの役職者にオンラインで質問票を送付し、世界42カ国の470名から回答を得ています。本報告書はこうした関係者からの回答を分析したものです。ドイツの大手独立系国際スポーツマーケティング会社であるIntelligent Research in Sponsoring社(IRIS)から提供されたデータなども加えています。

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